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中国神話

孫悟空とは何の神様か|家系図・物語

孫悟空  / ソンゴクウ

西遊記

石から生まれた猿。天界を暴れ回り、五百年閉じ込められ、経を取りに西へ向かった。

孫悟空とは何の神様か

孫悟空はひとことで言えば小説から信仰へ移った猿です。

はじめに断っておくべきことがあります。孫悟空は、古くから伝わる神ではありません。 明の時代に成った小説『西遊記』の登場人物であり、そこに至るまでの語り物の積み重ねの中で形づくられました。

ただし現在では、道教の廟に斉天大聖として祀られる例があります。小説の人物が信仰の対象になった、まれな例です。

物語では、石から生まれた猿として現れます。仙術を学んで七十二の変化と觔斗雲を手に入れ、竜宮から如意棒を奪い、天界の役職を軽んじられたことに怒って斉天大聖を名乗り、大暴れします。

最後は釈迦の手のひらから出られず、五行山の下に五百年閉じ込められました。

解いたのは三蔵法師です。以後、頭の輪で御されながら、経を取りに西へ向かいます。

孫悟空の漢字表記と読み方

日本語ではそんごくうと読みます。

「孫」という姓も「悟空」という名も、仙術の師から与えられたものとされます。猿には姓がないので、猿を意味する字から「孫」が選ばれたと語られます。

斉天大聖という号は、自分で名乗ったものです。 「天に斉しい大聖」の意で、天界の役職が低すぎることへの不満から掲げました。

道教の廟では、この斉天大聖の名で祀られます。 福建省や台湾に、斉天大聖を主神とする廟が実在します。

日本では、夏目漱石や中島敦など多くの作家が題材にし、孫悟空の名は西遊記を読んだことのない人にも知られています。

孫悟空(そんごくう)

一般的な表記。「悟空」は仙術の師である須菩提祖師から与えられた名とされる。

斉天大聖(せいてんたいせい)

天に斉しい大聖の意。天界に不満を持って自ら名乗った号で、道教の廟ではこの名で祀られる。

美猴王(びこうおう)

花果山の猿たちの王となったときの呼び名。

孫悟空の物語

  1. 石から生まれる ─ 天界を騒がせるまで
  2. 五行山の五百年 ─ 釈迦の手のひら
  3. 小説から信仰へ ─ 斉天大聖として祀られる

石から生まれる ─ 天界を騒がせるまで

物語は、東勝神洲の花果山にある一つの石から始まります。

天地の精気を受けた石が割れ、石の猿が生まれました。猿たちの王となり、美猴王と呼ばれます。

やがて死を恐れるようになり、仙術を求めて旅に出ました。師から七十二の変化と、一飛びで十万八千里を行く觔斗雲を授かります。

武器を求めて東海の竜宮へ行き、海底を鎮めていた棒を持ち去りました。これが如意棒です。大きさを自在に変えられ、耳の中にしまえます。

さらに冥界へ乗り込み、寿命を記した帳面から自分の名を消しました。

死なない体を、自分で手に入れた。

天界は懐柔を図り、馬の世話係の役を与えます。位が低いと知って怒った悟空は下界へ戻り、斉天大聖を名乗りました。

位を与えられて怒る、という筋書きが、この人物の性格をよく表しています。

五行山の五百年 ─ 釈迦の手のひら

天界は、悟空を蟠桃園の番人にしました。西王母の桃を管理する役です。

悟空は桃を食べてしまいます。 不老不死になる桃です。さらに西王母の宴に招かれなかったことを知って荒らし、太上老君の丹薬まで飲み干しました。

天界の軍勢が差し向けられますが、勝てません。ついに釈迦が現れます。

この手のひらから飛び出せたら、天の位を譲ろう。

悟空は觔斗雲で飛び、世界の果てと思った場所の柱に印を残して戻ります。ところが、

その柱は、釈迦の指であった。

十万八千里を飛んでも、手のひらの外に出られていなかった。

釈迦は五本の指を山に変え、悟空をその下に封じました。五行山の下で、五百年。

解いたのは、経を求めて西へ向かう三蔵法師でした。以後、悟空は頭の輪(緊箍児)で御されながら供をします。

小説から信仰へ ─ 斉天大聖として祀られる

孫悟空は、創作の人物です。 ここを曖昧にしてはいけません。

『西遊記』は明の時代に成った小説で、玄奘三蔵の実際の旅を下敷きにしながら、猿の従者という着想を加えて作られました。その猿の原型については、インドの叙事詩に出る猿の英雄ハヌマーンの影響を指摘する説と、中国の水を鎮める猿の伝承(無支祁など)に由来するとする説があります。どちらとも決まっていません。

ところが、この小説の人物が信仰の対象になりました。

福建省や台湾には、斉天大聖を主神として祀る廟が実在します。日本の統治期の台湾の記録にも、その信仰が記されています。

物語の登場人物が、廟に祀られる。

中国の民間信仰では、これは珍しいことではありません。関羽も『三国志演義』によって広まり、媽祖も実在の女性が神になりました。語られることが、信仰を作るという筋道があります。

ただし、伝承としての神と小説の人物は、別のものとして押さえておく必要があります。

孫悟空の家系図と家族

ふつうのつながり きょうだい 敵対・国ゆずり 本によって話がちがう

孫悟空の性格と人物像

孫悟空の人物像は、「抑えられることを最も嫌う」という一点です。

死を恐れて仙術を学び、寿命の帳面から自分の名を消しました。死という抑えを自分で外しています。

天界に招かれても、位が低いと知れば怒って飛び出す。桃を食べ、宴を荒らし、丹薬を飲む。制止するものを、片端から破っています。

それが、五行山の下に五百年閉じ込められて終わる。もっとも動きたい者が、もっとも長く動けなくされました。

解かれたあとも、頭の輪で御されます。三蔵が経を唱えれば締めつけられる。自由を得たと同時に、新しい枷を負っています。

力では誰にも負けないのに、いつも誰かに抑えられている。

この構図が、物語の最後まで続きます。

それでも旅を降りません。 何度も追い返されながら戻ってくる。抑えられることを嫌う者が、抑えてくる相手のもとへ帰る。この矛盾が、孫悟空という人物の芯にあります。

孫悟空ゆかりの地と遺跡

斉天大聖を祀る廟の住所を、一次情報で確かめられませんでした。 そのため、この欄には何も入れていません。

福建省と台湾には、斉天大聖を主神として祀る廟が実在します。台湾の廟では、子どもの守り神として願われる例が知られます。ただし、それぞれの公式の案内を確かめられなかったため、住所は書きません。

日本に孫悟空を祀る社はありません。 物語としては広く親しまれていますが、信仰としては入っていないからです。

物語の舞台とされる花果山は、江蘇省連雲港市に同名の山があり、観光地として整えられています。ただしこれは物語にちなんで名付けられたもので、祀る場所ではありません。

孫悟空が現代に残した痕跡

孫悟空の名は、物語と言葉に残りました。

如意棒: 大きさを自在に変えられる棒。思いのままになるものを指す言い方として、現代でも通じる。

觔斗雲: 一飛びで十万八千里を行く雲。速い乗り物のたとえに用いられる。

「釈迦の手のひら」: どれほど動いても相手の想定の内側にいることのたとえ。この場面に由来する。

斉天大聖廟: 福建省や台湾にある、孫悟空を主神として祀る廟。小説の人物が信仰の対象になった例。

孫悟空のご利益

厄除け

斉天大聖として祀られる廟では、魔を退ける神とされる。

必勝

天界の軍勢にも負けなかった強さから、勝ちを願う対象とされる。

旅の安全

経を求めて西へ向かう旅の供をしたことから、道中の守りに結び付けられる。

病除け

台湾の斉天大聖廟では、子どもの病を除く願いを受ける例が知られる。

孫悟空が登場するゲーム・アニメ

孫悟空は、中国神話に由来する存在の中で、創作にもっとも多く登場します。 力が強く、口が悪く、上に逆らうという性格が、主人公に向いているためでしょう。

いっぽう、五行山の下で五百年を過ごしたという部分は省かれがちです。物語の中で最も長い時間が、いちばん語られません。

孫悟空が登場するゲーム

西遊記を題材にした作品群

中国と日本の双方で、繰り返し題材にされています。

女神転生シリーズ

斉天大聖の名で登場することがあります。

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孫悟空が登場するアニメ・漫画・映像

ドラゴンボール

主人公の名と、尾を持つ設定、如意棒と觔斗雲が『西遊記』から取られています。

最遊記

『西遊記』を下敷きにした作品。四人の旅という骨格が受け継がれています。

ドラマ「西遊記」

日本でも繰り返し映像化され、そのつど新しい孫悟空像が作られてきました。

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孫悟空についてよくある質問

孫悟空は神様ですか。

もとは小説『西遊記』の登場人物です。古くから伝わる神ではありません。ただし現在では、福建省や台湾に斉天大聖として祀る廟が実在し、信仰の対象にもなっています。

孫悟空はどうやって生まれたのですか。

東勝神洲の花果山にあった石が、天地の精気を受けて割れ、石の猿として生まれたとされます。父も母もいません。

なぜ五百年も閉じ込められたのですか。

天界で暴れたためです。西王母の桃を食べ、宴を荒らし、太上老君の丹薬を飲み干しました。釈迦が「この手のひらから飛び出せたら天の位を譲ろう」と言い、飛び出せなかった悟空を五本の指が変じた五行山の下に封じたとされます。

孫悟空の原型は何ですか。

わかっていません。インドの叙事詩に出る猿の英雄ハヌマーンの影響を指摘する説と、中国の水を鎮める猿の伝承に由来するとする説があります。どちらとも決まっていません。