ギリシャ神話の神一覧|家系図・相関図と物語の流れ
ギリシャ神話に登場する神を166柱収録しています。 物語の流れに沿って読む順番を示し、神どうしのつながりは相関図でたどれます。 ホメロスとヘシオドスで記述が分かれる箇所は、どちらか一方に決めず両方を出典つきで載せています。
ギリシャ神話とは
ギリシャ神話とは、古代ギリシャで語られていた神々と英雄の物語です。紀元前8世紀ごろに文字で記され、以後西洋文化の土台になりました。
主神はゼウス。妻ヘラ、海のポセイドン、冥界のハデス、知恵のアテナ、光のアポロンなどが登場します。
この神話をほかと分けるのは、神々が人間そのものだという点です。
嫉妬し、浮気し、拗ね、負ける。全能ではなく、運命にも逆らえない。
ゼウスは怪物テュポーンに一度敗れ、自分の子の死すら止められません。
もうひとつの特徴が、世代交代が暴力で起きることです。
ウラノスは子に討たれ、クロノスも子に倒された。
三代目のゼウスだけが倒されずに済みました。
そして、創造主がいません。 世界は誰かが作ったのではなく、カオスから勝手に生じました。 聖書の創世記と根本的に異なる点です。
ギリシャ神話は誰がいつ作ったのか|どこの国の神話か
ギリシャ神話は特定の誰かが創作したものではありません。 各地に伝わった話が、詩人たちによって形を与えられたものです。
いつ作られたのか。
文字で記されたのは紀元前8〜7世紀ですが、それ以前から口伝えで存在していました。
証拠があります。線文字Bで書かれた紀元前13世紀の粘土板に、
ゼウス、ヘラ、ポセイドン、アテナ、ディオニュソス
と読める神名が記録されています。ホメロスより500年古いのです。
どこの国の神話か。
古代ギリシャ、つまり現在のギリシャ本土・エーゲ海の島々・小アジア西岸(現在のトルコ)です。アテネ、スパルタ、テーバイといった都市国家がそれぞれ独自の伝承を持ちました。
何語で書かれたか。
古代ギリシャ語です。ただしオウィディウス『変身物語』だけはラテン語で、ローマ人が書いています。
なぜ残ったのか。
ローマがギリシャ文化を取り込み、自分たちの神と対応させたためです。
ゼウス=ユピテル、ヘラ=ユノー、アテナ=ミネルウァ。
ローマ帝国を通じてヨーロッパ全域に広まり、ルネサンスで再発見されました。現在の西洋文学・美術・心理学の用語の多くが、ここから来ています。
ホメロスとヘシオドスの違い
ギリシャ神話には、一冊の正典がありません。 複数の詩人と著作家が、それぞれ違う形で伝えました。
重要なのは、神話が宗教の教典ではなかったことです。詩であり、劇であり、教育の教材でした。そのため書き手ごとに内容が違います。
神統記(しんとうき)紀元前700年頃
ヘシオドスによる叙事詩。ギリシャ神話の家系図はこの書が骨格になっています。
世界の始まりから、ウラノス・クロノス・ゼウスと続く三代の世代交代、そしてゼウスの支配確立までを歌います。
冒頭でヘシオドスは、自分がムーサに会ったと書きます。羊を飼っていたところへ女神が現れ、こう告げたと。
私たちは、嘘を本当のように語ることもできる。そして望むなら、真実を語ることもできる。
詩とは何かを、詩の内側で問うた最初期の例とされます。
イリアス・オデュッセイア(イリアス・オデュッセイア)紀元前8世紀頃
ホメロスに帰される二つの叙事詩。ヨーロッパ文学の出発点とされます。
『イリアス』はトロイア戦争?の十年目、アキレウスの怒りから五十日ほどを描きます。戦争全体ではありません。
『オデュッセイア』は、戦後にオデュッセウスが十年かけて帰郷する話です。
重要なのは、神々が人間の争いに直接介入することです。アテナは槍を導き、アフロディーテは戦場で傷つき、ゼウスは天秤で運命を量ります。
ホメロスという個人が実在したかは、二千年以上議論が続いています。
ギリシャ神話(アポロドーロス)(ギリシャしんわ)1〜2世紀頃
「ビブリオテーケー(文庫)」とも呼ばれる神話の集成です。
特徴は、系譜を体系的に整理していることです。誰が誰の子か、どの英雄が何をしたかが順に並びます。
異説を「〜という者もいる」と併記する箇所が多い。
物語としての面白さより、事典としての正確さを目指した書物です。現在の神話事典の多くが、この書を土台にしています。
著者は不明で、アポロドーロスという名は後から付けられたものとされます。
変身物語(へんしんものがたり)8年頃
ホメロス風讃歌(ホメロスふうさんか)紀元前7〜5世紀頃
ギリシャ神話の世界のしくみ|オリュンポス・冥界ハデス・タルタロス8件
ギリシャ神話の世界は、天・地・地下の三層に分かれます。
ティタノマキア?のあと、くじ引きで三兄弟に分けられました。
ゼウスが天、ポセイドンが海、ハデスが冥界。大地とオリュンポスは共有。
『イリアス』でポセイドンは「ゼウスは私と同じ取り分を持つにすぎない」と語ります。最高神が絶対の上位ではないことが、この分割に表れています。
オリュンポス(Ὄλυμπος/神々の住む山)
神々が住む山。実在する山で、ギリシャ最高峰(標高2,917メートル)です。
頂は雲に隠れ、そこから上は永遠に晴れているとされました。神々の宮殿はヘファイストスが建てたものです。
アイテル(Αἰθήρ/上空の輝き)
人間が吸う空気(アエル)より上にある、澄んだ輝きの層。神々が呼吸するものとされます。カオスの孫にあたる原初の神でもあります。
大地(Γαῖα/人間の世界)
三神の共有とされた領域。ガイアそのものでもあります。中心はデルフォイで、ゼウスが東西の果てから放った二羽の鷲が出会った地点とされました。
オケアノス(Ὠκεανός/世界を巡る大河)
大地の縁を円環状に流れる大河。ギリシャ人にとって、世界の果てはここでした。太陽も星もこの河から昇り、この河に沈みます。Ocean の語源です。
ハデス(冥界)(Ἅιδης/死者の国)
アスポデロスの野(Ἀσφόδελος/大多数の死者の場所)
ほとんどの死者が行く場所。善でも悪でもなかった者が、影のように過ごします。『オデュッセイア』でアキレウスは「地上で貧しい農夫の下男である方が、死者全体を支配するよりましだ」と語りました。
エリュシオン(Ἠλύσιον/英雄の楽園)
英雄と善き者が行く楽園。雪も嵐もなく、西風が吹き続けるとされます。「至福者の島」とも呼ばれました。
タルタロス(Τάρταρος/最も深い奈落)
神々に逆らった者が落とされる場所。ティタン神族?が封じられています。
青銅の金床を天から落とせば、大地に届くまで九日。大地からタルタロスまで、さらに九日。
シシュポスやタンタロスも、ここで終わらない罰を受けています。
ギリシャ神話のあらすじと有名な話をざっくり読む順番
ギリシャ神話は、おおよそ次の八つの場面で進みます。上から順に読めば、世界の始まりから英雄の時代まで一続きで理解できます。
骨格は明快です。三代にわたる世代交代、そして神々の時代から人間の時代への移行。
世界が生じる ─ 誰も作っていない
まず最初に、カオスが生じた。
ヘシオドス『神統記』の一行目です。カオスは「混沌」ではなく、何もない裂け目を意味します。
続いてガイア(大地)、タルタロス?(奈落)、エロス(愛)が生じました。並列に生じただけで、誰かが作ったのではありません。
ギリシャ神話に創造主はいない。
ガイアは配偶者なしにウラノス(天)と海と山を生み、そのウラノスを夫としてティタン神族を生みました。
一度目の世代交代 ─ 鎌が振るわれる
ウラノスは生まれた子を憎み、大地の奥深くへ押し込め続けました。
押し込められる先は、ガイア自身の体のなかです。苦しんだ女神は鎌を作り、子らに問いました。
父に報いてくれる者はいないか。
答えたのは末子クロノスだけでした。夜に降りてきた父を掴み、鎌で切り落とします。
切り落とされた体からアフロディーテが、落ちた血から復讐の女神と巨人が生まれました。
天と大地は、この一撃で離れました。
二度目の世代交代 ─ 石にすり替える
クロノスは「自分の子に倒される」と予言され、生まれた子を次々に呑み込みました。
父と同じことをしています。 押し込める場所が、大地から自分の腹に変わっただけです。
六人目を身ごもったレアは、両親に相談してクレタ島で密かに産み、
産着に包んだ石を、赤子と偽って夫に呑ませた。
この一手が、すべてを決めました。
育ったゼウスは父に吐き薬を飲ませ、兄姉が生きたまま出てきます。
ティタノマキア ─ 閉じ込められた者を味方にする
ゼウスとティタン神族の戦いは、十年続いても決着しませんでした。
転機はガイアの助言です。
タルタロスに閉じ込められている者たちを解放せよ。
一つ目の巨人キュクロプスと、百腕のヘカトンケイル。ウラノスとクロノスが二代にわたって閉じ込めていた者たちでした。
礼として作られたのが、ゼウスの雷霆、ポセイドンの三叉の矛、ハデスの姿を消す兜です。
勝利後、世界はくじ引きで分けられました。天・海・冥界。大地は共有です。
最後の挑戦 ─ ゼウスが一度敗れる
ガイアは、ティタンを落とされた報復にギガンテスを送り、さらにテュポーンを生みました。
頭は星に届き、肩から百の蛇の頭が生えていた。
オリュンポスの神々は動物に姿を変えてエジプトへ逃げます。 残ったゼウスは──
手足の腱を抜かれ、洞窟に閉じ込められた。
最高神が敗北しています。
ヘルメスが腱を取り戻し、再戦でゼウスはエトナ山の下に押し込めました。
この勝利で、オリュンポスの支配が確定します。
オリュンポスの神々 ─ 人間くさい神たち
支配が固まると、物語は神々の日常へ移ります。
ゼウスは女神・ニンフ?・人間との間に子をもうけ続け、ヘラはその相手と子を罰し続けました。
アテナはポセイドンとアテネの都市を争って勝ち、ヘファイストスは妻の不倫を網で捕らえて神々に見せ、アレスはアテナに石を投げつけられて倒れます。
神々は嫉妬し、拗ね、騙し、負ける。
この人間くささが、ギリシャ神話の最大の特徴です。
季節と冥界 ─ 世界の仕組みが決まる
ペルセポネが花を摘んでいたところを、ハデスが攫いました。
母デメテルは世界を止めます。
種は芽を出さず、人類は飢えて滅びかけた。
人類が滅べば神々への供物も絶えるため、神々全体が折れました。
しかしペルセポネは、去り際にザクロを口にしていました。冥界の食べ物を口にした者は完全には戻れません。
娘が地下にいるあいだ、大地は実らない。
季節はこうして生まれました。
ギリシャ神話の神一覧・名前と登場人物166柱
ギリシャ神話の主神級の神 26柱
物語の骨格を作る神々です。まずここから覚えると全体がつかめます。
アスクレピオス
ASCLEPIUS 芸 英雄 主神級アテナ
ATHENA 戦 オリュンポス十二神 主神級アドニス
ADONIS 大地 英雄 主神級アフロディーテ
APHRODITE 大地 オリュンポス十二神 主神級アポロン
APOLLO 太陽 オリュンポス十二神 主神級アリアドネ
ARIADNE 大地 英雄 主神級エロス
EROS 芸 原初の神 主神級カロン
CHARON 冥界 原初の神 主神級セイレーン
SIRENS 海 原初の神 主神級ゼウス
ZEUS 雷 オリュンポス十二神 主神級タナトス
THANATOS 冥界 原初の神 主神級テティス
THETIS 海 原初の神 主神級テミス
THEMIS 大地 ティタン神族 主神級ネメシス
NEMESIS 戦 原初の神 主神級ハデス
HADES 冥界 オリュンポス十二神 主神級パンドラ
PANDORA 大地 英雄 主神級パーン
PAN 大地 原初の神 主神級プシュケ
PSYCHE 芸 英雄 主神級ヘカテー
HECATE 冥界 ティタン神族 主神級ヘラ
HERA 大地 オリュンポス十二神 主神級ヘラクレス
HERACLES 戦 英雄 主神級ヘリオス
HELIOS 太陽 ティタン神族 主神級ポセイドン
POSEIDON 海 オリュンポス十二神 主神級メドゥーサ
MEDUSA 戦 原初の神 主神級モルペウス
MORPHEUS 芸 原初の神 主神級レト
LETO 大地 ティタン神族ギリシャ神話の重要な神 86柱
主要な場面で動く神々です。
アイオロス
AEOLUS 海 英雄アクタイオン
ACTAEON 大地 英雄アケロオス
ACHELOUS 大地 原初の神アケロン
ACHERON 冥界 原初の神アトラス
ATLAS 大地 ティタン神族アトロポス
ATROPOS 冥界 ティタン神族アナンケ
ANANKE 冥界 原初の神アマルテイア
AMALTHEA 大地 原初の神アムピトリテ
AMPHITRITE 海 原初の神アルテミス
ARTEMIS 月 オリュンポス十二神アレス
ARES 戦 オリュンポス十二神アレトゥーサ
ARETHUSA 大地 原初の神イノ
INO 海 英雄イピゲネイア
IPHIGENIA 月 英雄ウラニア
URANIA 芸 原初の神エイレイテュイア
EILEITHYIA 大地 原初の神エイレネ
EIRENE 大地 ティタン神族エウリュディケ
EURYDICE 冥界 英雄エキドナ
ECHIDNA 冥界 原初の神エコー
ECHO 大地 原初の神エピメテウス
EPIMETHEUS 大地 ティタン神族エリス
ERIS 戦 原初の神エリニュス
ERINYES 冥界 原初の神オケアノス
OCEANUS 海 ティタン神族オリオン
ORION 戦 英雄カオス
CHAOS 大地 原初の神カリオペ
CALLIOPE 芸 原初の神カリス
CHARITES 芸 原初の神カリスト
CALLISTO 月 英雄カリュプソ
CALYPSO 海 ティタン神族ガイア
GAIA 大地 原初の神ガラテイア
GALATEA 海 原初の神キマイラ
CHIMERA 火 原初の神キュクロプス
CYCLOPES 火 原初の神キルケー
CIRCE 芸 原初の神クラトス
CRATOS 戦 原初の神クレイオ
CLIO 芸 原初の神クロト
CLOTHO 冥界 ティタン神族クロノス
CRONUS 大地 ティタン神族グラウコス
GLAUCUS 海 英雄ケト
CETO 海 原初の神サテュロス
SATYR 芸 原初の神スカマンドロス
SCAMANDER 大地 原初の神スキュラ
SCYLLA 海 原初の神ステュクス
STYX 冥界 ティタン神族セメレ
SEMELE 火 英雄セレネ
SELENE 月 ティタン神族タルタロス
TARTARUS 冥界 原初の神タレイア
THALIA 芸 原初の神ダフネ
DAPHNE 大地 原初の神テュケ
TYCHE 大地 原初の神ディオスクロイ
DIOSCURI 戦 英雄ディオニュソス
DIONYSUS 芸 オリュンポス十二神デイモス
DEIMOS 戦 原初の神デメテル
DEMETER 大地 オリュンポス十二神トリトン
TRITON 海 原初の神ドリュアス
DRYADS 大地 原初の神ナイアス
NAIADS 大地 原初の神ニケ
NIKE 戦 原初の神ニュクス
NYX 冥界 原初の神ネレイス
NEREIDS 海 原初の神ネレウス
NEREUS 海 原初の神ハルモニア
HARMONIA 芸 英雄ヒュアキントス
HYACINTHUS 大地 英雄ヒュギエイア
HYGIEIA 芸 原初の神ヒュブリス
HYBRIS 戦 原初の神ヒュプノス
HYPNOS 冥界 原初の神ヒュペリオン
HYPERION 太陽 ティタン神族プルートス
PLUTUS 大地 原初の神プロテウス
PROTEUS 海 原初の神プロメテウス
PROMETHEUS 火 ティタン神族ヘスペリデス
HESPERIDES 大地 原初の神ヘファイストス
HEPHAESTUS 火 オリュンポス十二神ヘベ
HEBE 大地 原初の神ヘルマプロディトス
HERMAPHRODITUS 芸 原初の神ヘルメス
HERMES 芸 オリュンポス十二神ペルセポネ
PERSEPHONE 冥界 オリュンポス十二神ホーライ
HORAE 大地 ティタン神族ポボス
PHOBOS 戦 原初の神ポルキュス
PHORCYS 海 原初の神ポントス
PONTUS 海 原初の神マイア
MAIA 月 ティタン神族ムネモシュネ
MNEMOSYNE 芸 ティタン神族メティス
METIS 芸 ティタン神族メルポメネ
MELPOMENE 芸 原初の神ラケシス
LACHESIS 冥界 ティタン神族ギリシャ神話の関連する神 54柱
特定の場面に現れる神々です。
アイオーン
AION 芸 原初の神アイテール
AETHER 太陽 原初の神アステリア
ASTERIA 月 ティタン神族アストライア
ASTRAEA 大地 ティタン神族アストライオス
ASTRAEUS 月 ティタン神族アネモイ
ANEMOI 海 ティタン神族アパテ
APATE 冥界 原初の神アルペイオス
ALPHEUS 大地 原初の神アンテロス
ANTEROS 芸 原初の神アーテ
ATE 戦 原初の神イアペトス
IAPETUS 大地 ティタン神族イリス
IRIS 芸 原初の神ウラノス
URANUS 大地 原初の神エウテルペ
EUTERPE 芸 原初の神エウノミア
EUNOMIA 大地 ティタン神族エウリュノメ
EURYNOME 海 ティタン神族エウリュビア
EURYBIA 海 原初の神エオス
EOS 太陽 ティタン神族エニュオ
ENYO 戦 原初の神エラト
ERATO 芸 原初の神エルピス
ELPIS 大地 原初の神エレボス
EREBUS 冥界 原初の神オネイロス
ONEIROS 冥界 原初の神オレイアス
OREADS 大地 原初の神カイロス
KAIROS 芸 原初の神クリュメネ
CLYMENE 海 ティタン神族クレイオス
CRIUS 大地 ティタン神族ケール
KERES 冥界 原初の神コイオス
COEUS 大地 ティタン神族コロニス
CORONIS 大地 英雄ゼロス
ZELUS 戦 原初の神タウマス
THAUMAS 海 原初の神テイア
THEIA 太陽 ティタン神族テュポーン
TYPHON 戦 原初の神テルプシコレ
TERPSICHORE 芸 原初の神ディオネ
DIONE 大地 ティタン神族ドリス
DORIS 海 ティタン神族ヒュメナイオス
HYMENAIOS 芸 原初の神ビア
BIA 戦 原初の神ピリュラ
PHILYRA 大地 ティタン神族プリアポス
PRIAPUS 大地 原初の神プレゲトン
PHLEGETHON 火 原初の神ヘスティア
HESTIA 火 オリュンポス十二神ヘメラ
HEMERA 太陽 原初の神ペイトー
PEITHO 芸 原初の神ペルセス
PERSES 大地 ティタン神族ポイベ
PHOEBE 月 ティタン神族ポリュヒュムニア
POLYHYMNIA 芸 原初の神ムーサ
MUSES 芸 原初の神メノイティオス
MENOETIUS 冥界 ティタン神族メリノエ
MELINOE 冥界 原初の神メンテ
MINTHE 冥界 原初の神レア
RHEA 大地 ティタン神族レテ
LETHE 冥界 原初の神ギリシャ神話の家系図・相関図(わかりやすい系譜)
神を押すと、その神につながる線だけが残ります。山吹色の破線は本によって話がちがう箇所です。 この図には、物語の筋の中心になる28柱を置いています。 収録している166柱それぞれの相関図は、各神のページにあります。
ギリシャ神話の最高神・最初の神・最強の神・12神
ギリシャ神話の最高神は誰か
ゼウスです。天空と雷を司り、秩序・誓約?・客人の保護を担います。
ただし全能ではありません。 怪物テュポーンには一度敗れて腱を抜かれ、ヘラに謀られて眠らされ、運命の女神モイライ?には逆らえません。
『イリアス』では、自分の子サルペドンを助けたいと望みながら、運命を変えれば秩序が崩れると諭されて諦めます。
最高神が、運命に従っている。
ここがギリシャ神話の骨格です。
この神を見る: ゼウス
ギリシャ神話の12神とは誰か
ギリシャ神話で最初に生まれたのは誰か
カオスです。ヘシオドス『神統記』の一行目に登場します。
ただし「混沌」ではありません。原語は「口を開ける」に由来し、何もない裂け目・空隙を指します。
続いてガイア(大地)、タルタロス、エロスが生じました。
重要なのは、カオスがガイアを生んだのではないことです。並列に生じただけで、
誰も世界を作っていません。
ギリシャ神話で最強は誰か
神々のなかではゼウスです。雷霆を持ち、他の神々全員を相手にしても勝つと『イリアス』で自ら宣言します。
ただし怪物テュポーンには一度敗れています。 手足の腱を抜かれ、洞窟に閉じ込められました。
人間・英雄ではヘラクレスです。ネメアの獅子を素手で絞め殺し、ケルベロスを武器なしで捕らえ、神になった唯一の英雄です。
神々の側で最強はゼウス、敵の側で最強はテュポーン、英雄で最強はヘラクレス。
ギリシャ神話の女神一覧と女神の名前12柱
ギリシャ神話の女神は、役割が明確に分かれています。 知恵、愛、狩り、穀物、竈、勝利、争い。
注目すべきは、処女を選んだ女神が三柱いることです。アテナ、アルテミス、ヘスティア。
誰にも属さないことを、自分で選んだ。
アルテミスは三歳のときに父ゼウスへ「永遠に処女でいること」を願い、認められました。
ギリシャ神話の神器と武器一覧12点
ギリシャ神話の武器と道具は、その多くがヘファイストスかキュクロプスの作です。
神々は自分で作りません。作る神は一柱だけで、他は使う側です。
アキレウスの盾(ἀσπίς/ヘファイストス作)
大地・天・海、太陽と月と星座、二つの町、耕地と葡萄畑と踊りの場が刻まれた盾。文学作品のなかで美術品を詳細に描写する手法(エクフラシス)の原点。
関わる神: ヘファイストス
ギリシャ神話に登場する動物・怪物・幻獣一覧14件
ギリシャ神話には怪物が多く登場します。 その大半がテュポーンとエキドナという一組の子です。
英雄の物語は、この怪物の子孫を倒す話でもある。
動物も重要です。梟はアテナ、孔雀はヘラ、鷲はゼウス。神を示す記号として機能しました。
メドゥーサ(Μέδουσα/見た者を石にする女怪)
ゴルゴン三姉妹の一柱で、唯一死ぬ身だった。髪が蛇で、見た者を石に変える。ペルセウスに討たれ、その血から天馬ペガサスが生まれた。首はアテナの胸当てに付けられた。
関わる神: アテナ
ペガサス(Πήγασος/翼のある天馬)
ポセイドンとメドゥーサの子。首を斬られたメドゥーサの血から飛び出した。蹄で打った場所からヒッポクレネの泉が湧き、詩の霊感を与えるとされた。
関わる神: ポセイドン
キマイラ(Χίμαιρα/三つの獣が混ざった怪物)
獅子の頭、山羊の胴、蛇の尾を持ち、口から火を吐く。英語 chimera は「空想上の産物」「異なる要素の混合」を指す語になった。
関わる神: テュポーン
セイレーン(Σειρήν/歌で船乗りを惑わす)
歌で船乗りを引き寄せて難破させる。オデュッセウスは船員の耳を蜜蝋で塞ぎ、自分は帆柱に縛りつけて通り抜けた。もとは鳥の姿で、人魚の姿は後世のもの。
関わる神: ムーサ
スフィンクス(Σφίγξ/謎を出す怪物)
女の頭、獅子の体、鳥の翼。テーバイの道で謎を出し、解けない者を殺した。オイディプスが解いたため自ら死んだ。エジプトのスフィンクスとは別の存在。
関わる神: テュポーン
ケイロン(Χείρων/賢者のケンタウロス)
他のケンタウロスと違い、医術・音楽・狩りに通じた賢者。アキレウス、イアソン、アスクレピオスを育てた。ヘラクレスの毒矢に当たり、不死を捨てて死んだ。いて座になったとされる。
関わる神: ヘラクレス
ギリシャ神話のその他の神々|風の神・太陽神・運命の女神7件
オリュンポス十二神以外にも、役割の明確な神々が多数います。とくに検索されることの多い存在をまとめます。
風の神アネモイ(Ἄνεμοι/四方の風)
四方の風を司る兄弟です。北風ボレアス(激しく冷たい)、西風ゼフュロス(穏やかで春を運ぶ)、南風ノトス(夏の嵐)、東風エウロス。
ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」の左で吹いているのがゼフュロスです。
風をまとめて管理する神としてアイオロスもおり、『オデュッセイア』で風を袋に入れて渡しました。部下が中身を金貨と思って開けたため、船は元の場所へ戻されます。
太陽神ヘリオス(Ἥλιος/本来の太陽神)
本来の太陽神です。アポロンではありません。
毎日、四頭立ての馬車で天を横切ります。すべてを見下ろすため、アフロディーテの不倫もハデスの略奪も、この神が目撃しました。
息子パエトンが父の車を借りて暴走し、大地を焼いたため、ゼウスが雷で撃ち落としました。サハラ砂漠ができた理由として語られます。
後世にアポロンと同一視されました。
月の女神セレネ(Σελήνη/本来の月の女神)
本来の月の女神です。アルテミスではありません。ヘリオスの姉妹にあたります。
美しい羊飼いエンデュミオンを愛し、ゼウスに願って永遠の眠りを与えました。老いず、死なず、しかし目覚めない。
毎晩会いに行くとされます。
後世にアルテミスと同一視されました。
愛の神エロス(Ἔρως/原初の神でもある)
二つの顔を持ちます。
ヘシオドス『神統記』では、カオス・ガイアと並んで最初に生じた原初の神です。神々を結びつける根源の力でした。
後世にはアフロディーテの子とされ、弓矢を持つ幼い姿になります。黄金の矢は恋に落とし、鉛の矢は恋を拒ませます。
ローマ名クピド(キューピッド)。
恋人プシュケとの物語は、「見てはならない」という禁を破る話として広く知られます。
虹の女神イリス(Ἶρις/神々の伝令)
虹を神格化した女神で、ヘルメスと並ぶ神々の伝令です。とくにヘラに仕えました。
虹が天と地をつなぐことから、神々と人間のあいだを行き来する役目とされます。
虹彩(iris)、アイリス(花)の語源です。
運命の三女神モイライ(Μοῖραι/運命を定める)
「ギリシャ神話の天使」について(ἄγγελος/伝令の意)
ギリシャ神話に天使はいません。 キリスト教の概念です。
ただし、混同されやすい存在がいます。
翼を持つニケ(勝利の女神)、翼を持つエロス(愛の神)、翼のサンダルのヘルメス。
これらの図像が、後世の天使像に影響を与えました。キリスト教美術の翼のある人物像は、ギリシャ・ローマの勝利の女神像を下敷きにしています。
なお英語 angel の語源であるギリシャ語 ἄγγελος は、もともと「伝令」を意味する普通名詞でした。
ギリシャ神話の神を属性でさがす
「雷神」「海の神」「太陽神」のように、司るものから神を探すこともできます。
ギリシャ神話では、同じ領域を複数の神が分担することがあります。太陽は本来ヘリオス、月はセレネでしたが、後世にアポロンとアルテミスが同一視されました。
ギリシャ神話の冥界の神:
ギリシャ神話の大地の神:
パンドラ
・ヘスペリデス
・アリアドネ
・アドニス
・ヒュアキントス
・アクタイオン
・エコー
・アマルテイア
・コロニス
・エイレイテュイア
・ヘベ
・エイレネ
・エルピス
・プルートス
・パーン
・ナイアス
・ドリュアス
・オレイアス
・アレトゥーサ
・アルペイオス
・アケロオス
・スカマンドロス
・テュケ
・ホーライ
・エウノミア
・ピリュラ
・ディオネ
・テミス
・レト
・イアペトス
・コイオス
・クレイオス
・ペルセス
・エピメテウス
・ダフネ
・プリアポス
・アストライア
・アフロディーテ
・デメテル
・アトラス
・クロノス
・レア
・ヘラ
・カオス
・ガイア
・ウラノス
ギリシャ神話の戦いの神:
ギリシャ神話の海の神:
ギリシャ神話の芸能の神:
ギリシャ神話の雷神:
ギリシャ神話ゆかりの地と、いま行ける遺跡8件
ギリシャ神話は、遺跡が実在します。 北欧神話と大きく違う点です。
神殿、神託所、競技場。いま実際に歩ける場所が数多く残っています。
以下は、神話とのつながりがはっきりしている土地です。
アテネ(アクロポリス)(Athens)
アテネ(アクロポリス)の場所: ギリシャ アッティカ地方
アテネ(アクロポリス)と神話のつながり: アテナがポセイドンとの争いに勝ち、都市の名になった
アテナの都市です。ポセイドンが塩水の泉を、アテナがオリーブを贈り、有用と判断されたオリーブが勝ちました。
アクロポリスにはパルテノン神殿、エレクテイオン(アテナとポセイドンを同時に祀る)、アテナ・ニケ神殿(翼をもいだ勝利の女神)が並びます。
南斜面にはディオニュソス劇場があり、ギリシャ悲劇はここで初演されました。
デルフォイ(Delphi)
デルフォイの場所: ギリシャ ポキス地方 パルナッソス山麓
デルフォイと神話のつながり: 古代世界の中心とされたアポロンの神託所
「世界のへそ(オンファロス)」とされた地です。ゼウスが東西の果てから放った二羽の鷲が、ここで出会ったと伝えられます。
もとはガイアの神託所で、アポロンが大蛇ピュトンを討って奪いました。
神殿の入口には「汝自身を知れ」「度を越すなかれ」が刻まれ、国家の決定にも用いられました。
山の斜面に神殿・劇場・競技場が段になって並び、遺跡としての完成度が高い場所です。
オリンピア(Olympia)
オリンピアの場所: ギリシャ ペロポネソス半島
オリンピアと神話のつながり: ゼウスへの祭礼として古代オリンピックが開かれた地
古代オリンピックが四年ごとに開かれた聖域です。期間中は戦争を休止する取り決め(聖なる休戦)がありました。
世界七不思議「オリンピアのゼウス像」(高さ12メートル、象牙と黄金)がありましたが、現存しません。
ヘラ神殿はゼウス神殿より古く、現在もオリンピックの聖火がここで採火されます。
デロス島(Delos)
デロス島の場所: ギリシャ キクラデス諸島
デロス島と神話のつながり: アポロンとアルテミスが生まれた聖なる島
ヘラの妨害でどこの土地にも産所を与えられなかったレトが、海に漂う浮島でようやく出産した地です。
島全体が聖域とされ、島内での出産と埋葬が禁じられました。
ライオンのテラス(大理石のライオン像が並ぶ参道)で知られます。
現在も無人島で、宿泊は禁止されています。
エレウシス(Eleusis)
エレウシスの場所: ギリシャ アッティカ地方 エレフシナ
エレウシスと神話のつながり: デメテルとペルセポネの秘儀が二千年続いた地
エレウシスの秘儀?が行われた聖域です。デメテルが老女の姿でたどり着き、神殿を建てよと命じた地とされます。
参加資格は広く、男女・身分・国籍を問いませんでした。 奴隷でも参加できます。古代ギリシャの制度としては異例です。
内容は現在も分かっていません。 数万人が参加しながら、誰一人漏らさなかったからです。漏らせば死罪でした。
ミュケナイ(Mycenae)
ミュケナイの場所: ギリシャ ペロポネソス半島
ミュケナイと神話のつながり: トロイア戦争の総大将アガメムノンの都
トロイア戦争でギリシャ軍を率いたアガメムノンの都とされます。
獅子門と、巨大な石を積んだ城壁が残ります。あまりに大きな石のため、巨人キュクロプスが積んだと古代人は考えました(キュクロプス式石積み)。
1876年、シュリーマンが黄金のマスクを発掘し「アガメムノンの顔を見た」と打電しましたが、年代が数百年古く、別人であることが後に判明しています。
エトナ山(Mount Etna)
エトナ山の場所: イタリア シチリア島
エトナ山と神話のつながり: 怪物テュポーンが封じられた活火山
ゼウスがテュポーンを押し込めたとされる山です。
山が火を噴くのは、この怪物が下で暴れているから。
ヨーロッパ最大の活火山で、現在も噴火を繰り返しています。神話が、いまも進行中の自然現象と結びついている珍しい例です。
別の伝えでは、ヘファイストスの工房がこの山の下にあるともされます。
ギリシャ神話の神の名前の読み方と原語表記
ギリシャ神話の神には、ギリシャ名とローマ名があります。ローマがギリシャ文化を取り込む際、自分たちの神と対応させたためです。
惑星の名はローマ名、ブランドや学術用語はギリシャ名というように、現代への残り方が分かれています。
以下が主な対応です。
ゼウス/ユピテル(Jupiter): 天空と雷の最高神。木星の名。フランス語 jeudi、イタリア語 giovedì(木曜日)の語源。
ヘラ/ユノー(Juno): 婚姻の女王。六月 June の語源で、ジューン・ブライドの習慣もこの女神による。
ポセイドン/ネプトゥーヌス(Neptune): 海の神。海王星の名。元素ネプツニウムもここから。
ハデス/プルート(Pluto): 冥界の王。冥王星の名。ギリシャでの婉曲表現プルートン(富める者)から。
アテナ/ミネルウァ(Minerva): 知恵と戦略。「ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ」というヘーゲルの言葉で知られる。
アポロン/アポロ(Apollo): 光と予言。ローマ固有の名を持たず、ギリシャ名がそのまま用いられた珍しい例。
アルテミス/ディアナ(Diana): 狩りと月。英語圏の女性名ダイアナの由来。アルテミス計画の名はギリシャ名から。
アレス/マルス(Mars): 戦の神。火星と三月 March の語源。ギリシャでは嫌われ、ローマでは重んじられた。
アフロディーテ/ウェヌス(Venus): 愛と美。金星の名。媚薬を指す aphrodisiac はギリシャ名から。
ヘファイストス/ウルカヌス(Vulcan): 鍛冶と炎。火山 volcano の語源。
ヘルメス/メルクリウス(Mercury): 伝令と商業。水星と水銀の名。commerce、merchant、market の語源でもある。
デメテル/ケレース(Ceres): 穀物。シリアル cereal の語源。準惑星ケレスの名。
ディオニュソス/バックス(Bacchus): 葡萄酒。日本では「バッカス」の形で知られる。
ヘスティア/ウェスタ(Vesta): 竈の火。ローマでは国家の火を守る神として、ギリシャよりはるかに重視された。
クロノス/サートゥルヌス(Saturn): ティタンの王。土星と土曜日 Saturday の語源。
ニケ/ウィクトリア(Victoria): 勝利。ギリシャ名はブランド NIKE に、ローマ名は英語 victory になった。
エリス/ディスコルディア(Discordia): 争い。英語 discord(不和)の語源。準惑星エリスの名。
ムーサ/カメーナエ(Muses): 学芸の九女神。museum と music の語源。
読み方の揺れについて: ギリシャ語の音を写す方法が定まっていないため、アテナ/アテーナー、アポロン/アポローンなど表記が揺れます。どれが間違いということはありません。
ギリシャ神話が由来の星座一覧12件
星座の名の多くが、ギリシャ神話に由来します。
現在の88星座は、2世紀の天文学者プトレマイオスが整理した48星座を土台にしています。そのほとんどが、神話の登場人物や動物です。
神々が、誰かを天に上げた。
これが星座になる典型的な経緯です。以下は、由来がはっきりしているものです。
おおぐま座・こぐま座(Ursa Major / Ursa Minor)
アルテミスの侍女カリストとその子アルカスです。
ゼウスに騙されて身ごもったカリストは女神に追放され、ヘラによって熊に変えられました。十六年後、成長した息子が森で母と知らずに槍を構えたため、ゼウスが二人を天に上げます。
ヘラは最後まで許さず、この二つの星座が海に沈まないようにしました。北の空を回り続けて休めないようにするためです。
北極星の周りを回る星座は、この罰によります。
オリオン座(Orion)
巨人の狩人オリオンです。死因は書物によって分かれます。
アルテミスが誤って射たとも、女神を襲おうとして罰せられたとも、「すべての獣を狩り尽くす」と豪語して大地から蠍を送られたとも伝えられます。
いずれの説でも星座になり、
さそり座が昇ると、オリオン座は西へ沈む。
今も逃げ続けています。
さそり座(Scorpius)
オリオンを刺した蠍です。ガイアあるいはアルテミスが送りました。
オリオン座と同時に空に見えることがないのは、追い続けているためとされます。
中心の赤い一等星アンタレスは「火星に対抗するもの」の意で、赤い色が火星(アレス)に似ていることによります。
ヘルクレス座(Hercules)
英雄ヘラクレスです。
ひざまずいた姿で描かれ、古くは単に「ひざまずく者」と呼ばれていました。誰なのか分からなくなっていた時期があります。
隣接するうみへび座は、彼が倒したヒュドラとされます。
ペガスス座(Pegasus)
天馬ペガサスです。ポセイドンとメドゥーサの子で、首を斬られたメドゥーサの血から生まれました。
蹄で打った場所からヒッポクレネの泉が湧き、詩の霊感を与えるとされます。
近くのペルセウス座、アンドロメダ座、カシオペヤ座、ケフェウス座、くじら座は、すべて同じ物語の登場人物です。
アンドロメダ座・ペルセウス座・カシオペヤ座(Andromeda / Perseus / Cassiopeia)
ひとつの物語が、まとめて星座になった例です。
王妃カシオペヤが「娘は海のニンフより美しい」と誇ったため、ポセイドンが怪物を送りました。娘アンドロメダは生贄として岩に鎖でつながれ、
メドゥーサを討った帰りのペルセウスが助けます。
怪物はくじら座に、父王はケフェウス座になりました。六つの星座が隣り合って、一つの物語を作っています。
おうし座(プレアデス)(Taurus / Pleiades)
すばるとして知られる星団は、アトラスの七人の娘プレアデスです。オリオンに追われ、ゼウスが天に上げて鳩に変えたとされます。
肉眼で見えるのは六つ。
一つ足りない理由に、いくつもの説明が作られました。人間と結婚したので恥じて隠れた、トロイアの滅亡を嘆いて姿を消した、など。
おうし座本体は、ゼウスがエウロペを攫うために化けた牡牛とされます。
いて座(Sagittarius)
賢者のケンタウロスケイロンとされます。
アキレウス、イアソン、医神アスクレピオスを育てた師です。ヘラクレスの毒矢が誤って当たり、不死のため死ねずに苦しみ続けました。
自ら不死を手放し、プロメテウスに譲って死んだ。
ゼウスが天に上げたとされます。
こと座(Lyra)
オルフェウスの竪琴です。もとはヘルメスが亀の甲羅で作り、アポロンへ渡り、オルフェウスの手に渡りました。
妻を取り戻せず、失意のうちに死んだオルフェウスの竪琴を、ゼウスが天に上げたとされます。
一等星ベガ(織姫星)を含みます。
かんむり座(Corona Borealis)
アリアドネの冠です。
テセウスに置き去りにされた彼女を、ナクソス島でディオニュソスが見出して妻としました。婚礼の冠を天に上げたのがこの星座です。
みずがめ座(Aquarius)
ガニュメデスです。トロイアの美しい少年で、ゼウスが鷲の姿で攫い、神々に酒を注ぐ役にしました。
木星の衛星ガニメデの名もこの少年によります。
おとめ座(Virgo)
諸説あります。正義の女神アストライアとする説が有力です。
人間の世界が悪くなったため、神々のなかで最後まで地上に残り、ついに天へ去ったとされます。隣接するてんびん座は、彼女が持っていた秤です。
デメテルあるいはペルセポネとする説もあります。
ギリシャ神話が描かれた絵画・彫刻・イラストと、その場面6件
ギリシャ神話は、西洋美術でもっとも描かれた主題です。
理由がふたつあります。ルネサンス期に古典が再発見されたこと、そして神話ならば裸体を描けたことです。
重要なのは、画家が読んだのが多くの場合オウィディウス『変身物語』だったことです。ヘシオドスやホメロスではありません。
以下は、とくに知られている作品です。
ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ/1485年頃)
ヴィーナスの誕生が描く場面: アフロディーテが海の泡から生まれ、貝殻に乗ってキプロス島へ流れ着く場面
ヴィーナスの誕生の所蔵: イタリア フィレンツェ ウフィツィ美術館
ルネサンスを代表する絵画です。左から西風ゼフュロスが吹き、右で季節の女神が衣を差し出しています。
注目すべきは、当時のフィレンツェがキリスト教社会だったことです。異教の女神を等身大の裸で描くのは、それまで考えられませんでした。
古代の再発見が、何を可能にしたかを示す作品です。
我が子を食らうサトゥルヌス(ゴヤ/1823年頃)
我が子を食らうサトゥルヌスが描く場面: クロノス(サートゥルヌス)が自分の子を呑み込む場面
我が子を食らうサトゥルヌスの所蔵: スペイン マドリード プラド美術館
ゴヤが自宅の壁に直接描いた「黒い絵」の一枚です。人に見せるために描かれたものではありません。
見開いた目、掴んだ体、噛みちぎった腕。
神話画というより、恐怖そのものを描いた作品として評価されています。壁から剥がされてキャンバスに移され、現在プラド美術館にあります。
同じ場面を描いたルーベンスの作品も同館にあり、比較して見られます。
プロセルピナの略奪(ベルニーニ/1622年)
プロセルピナの略奪が描く場面: ハデスがペルセポネを攫う場面
プロセルピナの略奪の所蔵: イタリア ローマ ボルゲーゼ美術館
大理石の彫刻です。ベルニーニが23歳のときの作。
もっとも知られているのが、
ハデスの指が、娘の腿に食い込んでいる表現です。
大理石でありながら、柔らかい肉に指が沈むように見えます。技術の限界を超えたとされる箇所で、写真でも繰り返し取り上げられます。
同じ美術館にある「アポロとダフネ」も同じ作者で、指先が月桂樹の葉に変わっていく瞬間を彫っています。
パリスの審判(ルーベンス/1638年頃ほか)
パリスの審判が描く場面: パリスが三女神から最も美しい者を選ぶ場面
パリスの審判の所蔵: イギリス ロンドン ナショナル・ギャラリーほか
三人の裸婦を同時に描ける主題として、画家に好まれました。ルーベンス、クラーナハ、ワトーなど作例が非常に多くあります。
ルーベンスは同じ主題を複数回描いています。
見分け方があります。
孔雀を連れているのがヘラ、兜と盾がアテナ、エロスを伴うのがアフロディーテ。
持ち物で誰かが分かるようになっています。
ラオコーン(作者不詳/紀元前1世紀頃)
ラオコーンが描く場面: トロイアの神官と息子が大蛇に襲われる場面
ラオコーンの所蔵: バチカン美術館
1506年にローマで発掘された古代彫刻です。木馬を城内に入れることに反対した神官が、蛇に襲われる場面を描いています。
発掘現場にはミケランジェロが駆けつけました。この一体が、ルネサンスの彫刻に決定的な影響を与えたとされます。
苦痛の表現をどこまで描くべきか、という議論(レッシング『ラオコーン』)の出発点にもなりました。
サモトラケのニケ(作者不詳/紀元前200〜190年頃)
サモトラケのニケが描く場面: 勝利の女神が船の舳先に降り立つ場面
サモトラケのニケの所蔵: フランス パリ ルーヴル美術館
頭部と両腕を失いながら、世界でもっとも有名な彫刻のひとつです。
海戦の勝利を記念して、サモトラケ島に奉納されたものです。
向かい風を受け、衣が体に貼りつき、翼が後ろへ広がっている。
止まっているのに動いて見える効果が高く評価されています。ルーヴルの階段の踊り場という配置も、見え方を計算したものです。
ギリシャ神話が登場するアニメ・ゲーム・漫画・映画
ギリシャ神話は、現代の創作でもっとも使われている神話です。名前だけを借りたものから、筋書きごと下敷きにしたものまであります。
ここでは、原典との関係がはっきりしている作品に絞って挙げます。
ギリシャ神話が登場するアニメ・漫画
聖闘士星矢
アテナを守る聖闘士たちの物語。星座を鎧の意匠に用い、ポセイドン編・ハデス編と神話の構造を物語に取り込みました。日本でギリシャ神話が広く知られた最大の要因です。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
ヘスティア、ヘファイストス、フレイヤなど各神が「眷族」を率いる設定です。ヘスティアが広く知られたのはこの作品によります。
女神転生シリーズ
ギリシャの神々が悪魔・神霊として多数登場します。
ギリシャ神話が登場するゲーム
God of War(ギリシャ編)
2005年の第一作から、ギリシャ神話を舞台にしたシリーズです。アレスを倒し、ゼウスと対決する筋書きは「父を倒して王になる」という原典の構造を踏まえています。
Hades(ハデス)
冥界を舞台に、脱出を繰り返す作品です。ハデスを悪役にせず、原典に近い「厳格だが不当ではない王」として描いた点が評価されています。
Assassin's Creed オデッセイ
ペロポネソス戦争期のギリシャが再現され、デルフォイやアテネを実際に歩けます。
Age of Mythology
ギリシャ・エジプト・北欧の神話勢力で戦う戦略ゲームです。
ギリシャ神話が登場する映画・演劇
ギリシャ悲劇
アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスの作品は現在も世界中で上演されています。「オイディプス王」「メデイア」「バッコスの信女」などが代表です。
ディズニー「ヘラクレス」
1997年。ヘラを実母、ハデスを悪役とするなど、原典と大きく異なります。妻子を殺す場面も当然ながら省かれています。
パーシー・ジャクソン シリーズ
現代を舞台に、神々の子である少年たちを描きます。
ギリシャ神話で書物ごとに記述が分かれるところ3件
記述が分かれるところ
神統記紀元前700年頃
第116〜122行
- カオス ─ ともに世界の始まりに生じる ─ エロス
ヘシオドス『神統記』では、エロスはカオス・ガイア・タルタロスと並んで世界の始まりに生じた原初の神であり、親を持たない。
ギリシャ神話(アポロドーロス)1〜2世紀頃
諸伝
- アフロディーテ ─ 後代ではアフロディーテの子とされる ─ エロス
後代の詩と美術では、エロスはアフロディーテの子として描かれる。父はアレス、ヘルメス、ゼウスなど諸説あって定まらない。原初の神が女神の子に置き換わった例。
記述が分かれるところ
神統記紀元前700年頃
第139〜146行
- ウラノス ─ 三兄弟として生まれる ─ キュクロプス
ヘシオドス『神統記』のキュクロプスは、ウラノスとガイアの子である三兄弟である。ブロンテス、ステロペス、アルゲスといい、腕のよい鍛冶としてゼウスの雷霆を鍛えた。
イリアス・オデュッセイア紀元前8世紀頃
オデュッセイア 第9歌
- ポセイドン ─ ポリュペモスの父 ─ キュクロプス
ホメロス『オデュッセイア』のキュクロプスは、法も掟も持たない羊飼いの一族として描かれる。その一人ポリュペモスはポセイドンの子であり、鍛冶とはまったく結び付かない。同じ名で別の一族が語られている。
記述が分かれるところ
神統記紀元前700年頃
第927〜929行
- ヘラ ─ ひとりで生む ─ ヘファイストス
ヘシオドス『神統記』は、ゼウスがひとりでアテナを生んだことに対抗して、ヘラがひとりでヘファイストスを生んだと記す。父はいない。
イリアス・オデュッセイア紀元前8世紀頃
イリアス 第1歌
- ゼウス ─ ゼウスとヘラの子 ─ ヘファイストス
ホメロス『イリアス』では、ヘファイストスはゼウスとヘラの子として描かれる。母をかばって天から投げ落とされたのもゼウスによる、と本人が語る。
ギリシャ神話のおすすめの本・漫画(マンガ)・絵本
ギリシャ神話の本は、目的によって選ぶべきものが変わります。 原典を読むのか、筋書きを知るのか、子どもと読むのか。
登場人物が非常に多いため、いきなり事典から入ると挫折しやすい分野です。物語版から始めるのが確実です。
はじめての一冊(入門・おすすめ)
『ギリシア神話』(アポロドーロス/高津春繁訳・岩波文庫)
原典そのものですが、事典的に整理されているため引きやすい本です。系譜がはっきりしており、異説も併記されています。
『ギリシア・ローマ神話』(ブルフィンチ)
19世紀に書かれた古典的な入門書です。物語として読みやすく、長く読み継がれています。
原典を読む
『神統記』(ヘシオドス/廣川洋一訳・岩波文庫)
世界の始まりと神々の系譜。ギリシャ神話の家系図はこの一冊が骨格です。分量は多くありません。
『イリアス』『オデュッセイア』(ホメロス/松平千秋訳・岩波文庫)
ヨーロッパ文学の出発点。長いですが、神々が人間の争いに介入する様子は他では読めません。
『変身物語』(オウィディウス/中村善也訳・岩波文庫)
姿が変わる話の集成。後世の絵画と文学が下敷きにしたのはこの書です。美術を見る前に読むと理解が変わります。
図解・事典で調べる
『ギリシア神話小事典』
人名・地名から引ける形式です。登場人物が多いギリシャ神話では、手元にあると便利です。
図解つきの神話事典
系譜図と絵が併載されたものが複数出ています。誰が誰の子か分からなくなったときに役立ちます。
子どもと読む・漫画で読む
里中満智子『ギリシア神話』
漫画版として広く読まれています。登場人物の関係が視覚的に分かるため、家系図を覚えるのに向いています。
児童向けのギリシャ神話絵本
複数の出版社から出ています。パンドラの箱、イカロスの翼、ミダス王の手など、教訓的な話が選ばれる傾向があります。
どれか一冊だけ選ぶなら、ブルフィンチかアポロドーロスです。前者は読み物として、後者は調べ物として使えます。
そのうえで、美術館へ行く前にオウィディウス『変身物語』を読むことをおすすめします。絵の意味が変わります。 ダフネがなぜ木になっているのか、なぜ指先から葉が出ているのかが分かります。
ギリシャ神話についてよくある質問
ギリシャ神話とは何ですか。
古代ギリシャで語られていた神々と英雄の物語です。紀元前8世紀ごろに文字で記され、以後の西洋文学・美術・思想の土台になりました。
ギリシャ神話の神様は何柱いますか。
数え切れません。オリュンポス十二神が中心ですが、原初の神、ティタン神族、ニンフ、概念の神を含めると膨大です。本サイトでは検索需要の大きい28柱を収録しています。
ギリシャ神話の12神とは誰ですか。
確実に入るのはゼウス、ヘラ、ポセイドン、デメテル、アテナ、アポロン、アルテミス、アレス、アフロディーテ、ヘファイストス、ヘルメスの十一柱です。残り一枠をヘスティアとディオニュソスが争います。ハデスは冥界に住むため通常は含まれません。
ギリシャ神話の最高神は誰ですか。
ゼウスです。ただし全能ではなく、怪物テュポーンに一度敗れ、運命の女神モイライには逆らえません。自分の子の死すら変えられませんでした。
ギリシャ神話とローマ神話の違いは何ですか。
ローマがギリシャの神々を自分たちの神と対応させたものです。ゼウス=ユピテル、ヘラ=ユノーのように名前が変わります。ただし扱いが変わる神もおり、アレスはギリシャで嫌われ、ローマではマルスとして建国の祖の父になりました。
ギリシャ神話は誰が作ったのですか。
特定の作者はいません。各地の伝承を詩人たちが形にしたものです。紀元前13世紀の線文字B粘土板にすでにゼウスやアテナの名が記録されており、文字になる前から存在していました。
ギリシャ神話はどこの国の神話ですか。
古代ギリシャです。現在のギリシャ本土、エーゲ海の島々、小アジア西岸(現在のトルコ)を含みます。都市国家ごとに独自の伝承がありました。
ギリシャ神話に創造主はいますか。
いません。カオス、ガイア、タルタロス、エロスは並列に「生じた」と記されるだけで、誰かが世界を作ったのではありません。聖書の創世記と根本的に異なる点です。
ハデスは悪い神様ですか。
違います。掟を破った場面が神話にひとつもなく、ヘラクレスにケルベロスの持ち出しを許可し、オルフェウスの願いも聞き入れています。悪役として描かれるのは後世の創作によるものです。
星座の名前はギリシャ神話に由来しますか。
多くがそうです。現在の88星座は2世紀のプトレマイオスが整理した48星座を土台としており、そのほとんどが神話の登場人物や動物です。おおぐま座、オリオン座、ペルセウス座などが代表です。
ギリシャ神話と北欧神話の違いは何ですか。
もっとも大きな違いは、神々が不死かどうかと世界が終わるかどうかです。ギリシャの神々は生まれつき不死で世界も続きますが、北欧の神々は林檎で若さを保つだけで、しかも自分たちが滅びることを知っています。
ギリシャ神話と日本神話の違いは何ですか。
ギリシャ神話は詩や劇として語られ、正典がありません。日本神話は国家事業として編まれ、古事記・日本書紀という書物があります。また日本神話は天皇家の系譜へつながる形で終わりますが、ギリシャ神話は英雄の時代のあと神々が退いていきます。
ギリシャ神話の怪物にはどんなものがいますか。
ケルベロス、ヒュドラ、キマイラ、メドゥーサ、ミノタウロス、セイレーン、スフィンクスなどです。多くがテュポーンとエキドナという一組の子で、英雄たちに討たれます。
ギリシャ神話の有名な話・面白い話を教えてください。
パンドラの箱(原典では壺)、イカロスの翼、ミダス王の手、トロイアの木馬、オルフェウスの振り返り、ナルキッソスと水仙、アリアドネの糸などです。いずれも短く、教訓として語りやすいため広く知られています。
パンドラの箱とは何ですか。
ヘファイストスが作った最初の女性パンドラが開けた容器です。原典では箱ではなく壺(ピトス)で、16世紀にエラスムスがラテン語訳で取り違えたことから箱として広まりました。あらゆる災いが飛び出し、「エルピス」だけが残ります。この語は「希望」とも「予兆」とも訳せます。
イカロスの話とは何ですか。
名工ダイダロスがクレタ島の迷宮から脱出するため、蝋で羽根を固めた翼を作りました。父は「高く飛びすぎるな、低く飛びすぎるな」と戒めましたが、息子イカロスは太陽に近づきすぎて蝋が溶け、海へ落ちて死にます。「イカロスの翼」は思い上がりへの戒めとして使われます。
メドゥーサとはどんな怪物ですか。
ゴルゴン三姉妹の一柱で、唯一死ぬ身でした。髪が蛇で、見た者を石に変えます。ペルセウスが磨いた盾に映しながら首を斬り、その血から天馬ペガサスが生まれました。首はアテナの胸当てアイギスに付けられています。
メディア(メデイア)とは誰ですか。
コルキスの王女で強力な魔女です。金羊毛を求めて来たイアソンに恋し、裏切って国を出ました。のちにイアソンが別の女性と結婚しようとしたため、我が子を殺して復讐します。エウリピデスの悲劇『メデイア』は現在も上演される代表作です。
ギリシャ神話の巨人にはどんな種類がいますか。
三種類います。ティタン神族(ウラノスとガイアの子。クロノス、アトラスなど)、ギガンテス(ウラノスの血から生まれ、神々と戦った)、そして一つ目のキュクロプスと百腕のヘカトンケイルです。テュポーンはこれらとは別格の怪物です。
ギリシャ神話のタトゥーによく使われる図案は何ですか。
メドゥーサ、アテナの兜、雷霆、月桂冠、翼などが多く用いられます。ただし古代ギリシャ人自身が入れ墨をこうした意匠で入れていた記録はほとんどありません。現代のデザインとして再構成されたものです。
ギリシャ神話の服装はどんなものですか。
男女ともキトン(長い布を留め具で肩に留めた衣)と、その上に羽織るヒマティオンが基本でした。絵画で神々が着ている衣も同じ形です。縫製がほとんどなく、一枚の布を体に巻いて留める構造でした。
ギリシャ神話の基本用語
トロイア戦争(トロイアせんそう)
ギリシャ軍とトロイアの十年に及ぶ戦争。パリスがスパルタ王妃ヘレネを連れ去ったことから始まった。ホメロス『イリアス』はその十年目を描く。
ティタノマキア(Titanomachia)
ゼウス率いるオリュンポスの神々と、クロノス率いるティタン神族の戦争。十年続き、解放されたキュクロプスとヘカトンケイルの加勢で決着した。
ケルベロス(Κέρβερος)
冥界の門を守る三つ首の犬。入る者は通すが、出る者は通さない。テュポーンとエキドナの子。
ティタン神族(ティタンしんぞく)
ウラノスとガイアの子である十二柱の神々。クロノスを王とし、ゼウスとの十年戦争に敗れてタルタロスへ落とされた。「タイタン」とも表記する。
タルタロス(Τάρταρος)
冥界よりさらに深い奈落。神々に逆らった者が落とされる。ティタン神族が封じられている。青銅の金床を天から落とせば大地まで九日、大地からここまでさらに九日かかるとされる。
ニンフ(Νύμφη)
山・森・泉・木に宿る若い女神たち。神ではあるが不死ではなく、宿る木や泉が滅べば死ぬとされた。ギリシャ神話で最も数の多い存在。
パリスの審判(パリスのしんぱん)
エリスが投げ入れた黄金の林檎を巡り、ヘラ・アテナ・アフロディーテのうち誰が最も美しいかをトロイアの王子パリスが判定した出来事。トロイア戦争の発端。
誓約(うけい)
神意を問うための占い。あらかじめ結果の意味を決めておき、どちらが起きるかで是非を判断する。
モイライ(Μοῖραι)
運命の三女神。クロトが命の糸を紡ぎ、ラケシスが長さを測り、アトロポスが断つ。ゼウスですら逆らえない。
オリュンポス十二神(オリュンポスじゅうにしん)
オリュンポス山に住む主要な神々。ゼウス、ヘラ、ポセイドン、デメテル、アテナ、アポロン、アルテミス、アレス、アフロディーテ、ヘファイストス、ヘルメスの十一柱は確実で、残り一枠をヘスティアとディオニュソスが争う。
エレウシスの秘儀(エレウシスのひぎ)
デメテルとペルセポネの物語を核とする儀式。約二千年続き、身分や国籍を問わず参加できた。口外は死罪で、内容は現在も分かっていない。