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海の神一覧|日本・ギリシャ・北欧の海の神と祀る神社

海は、渡るものであり、怖いものでもあります。その両方が神の性格に出ます。

ただし、エジプトには海の神がいません。

砂漠の国だからです。代わりにいるのは川の神と、すべての始まりである水の神。

このページでは、収録している水と海の神を横に並べて比べます。

海の神とは

海そのもの、海の生き物、航海を司る神です。

海に面した土地では、海の神が生活の要になります。漁も交易も海を渡るので、機嫌を損ねると死に直結します。

そのため海の神には共通の性格があります。

気まぐれで、荒々しい。

一方、内陸や砂漠の神話では海の神が育ちません。代わりに川や原初の水が神になります。

日本の海の神|ワタツミと海幸山幸 6柱

日本の海の神はワタツミ(綿津見・海神)です。イザナギの禊から生まれた三柱の総称で、志賀海神社(福岡)などに祀られています。

よく知られるのは海幸山幸の話です。

兄ホデリ(海幸彦)の釣り針をなくした弟ホオリ(山幸彦)が、海神の宮を訪ね、

針を見つけ、潮を操る珠を得て、兄を従える。

海神の娘トヨタマヒメと結ばれますが、出産の姿を覗かれて海へ帰ります。その子ウガヤフキアエズの子が神武天皇とされ、天皇家は海神の血を引くことになります。

コトシロヌシは釣りをする神で、えびす様と同一視され、商売繁盛の神として広く祀られました。

スサノオも、本来は海原を任された神です。

ギリシャの海の神|ポセイドン 1柱

ポセイドンです。ゼウス・ハデスの兄弟で、くじ引きで海を引き当てました。

三叉の矛トリアイナで海を荒らし、地面を割ります。

地震の神でもある。

ギリシャ人は、地震は海の神が地面を揺らすから起きると考えました。「大地を揺るがす者」という称号を持ちます。

温厚な神ではありません。 アテナとアテネの守護を争って敗れ、その地に塩水の泉を残しました。オデュッセウスの帰郷を十年妨げたのもこの神です。

海の神を怒らせると、帰れない。

航海の民にとって、これは比喩ではありませんでした。

北欧の海の神|ニョルズとヨルムンガンド 2柱

ニョルズは航海と漁、そして富をもたらす神です。ヴァン神族の出で、和平の人質としてアース神族へ来ました。

山の女神スカジと結婚しますが、

海辺を好む夫と、山を好む妻。

互いの家に住めず、別居に終わります。北欧神話には珍しい、生活の噛み合わなさを描いた話です。

ヨルムンガンドは海の蛇。ロキの子で、

世界を一周し、自分の尾をくわえている。

この蛇が尾を離すとき、ラグナロクが始まります。トールと相討ちになる相手です。

北欧の海は、渡るものであると同時に世界を囲う境界でした。

エジプトの水の神|ヌンとハピ 4柱

エジプトには海の神がいません。 地中海に面してはいますが、エジプト人は海を恐れ、ほとんど出ませんでした。

代わりにいるのがナイルの神です。

ハピは氾濫そのものの神。太った体と垂れた胸で描かれます。

氾濫は災害ではなく、恵み。

毎年の氾濫が肥沃な土を運び、エジプトの農業を成立させました。ハピの姿が豊かなのはそのためです。

ヌンは原初の水。世界が生まれる前からあり、今も世界の外側を満たしていると考えられました。

世界は、水の中に浮かんでいる泡のようなもの。

ソベクはワニの神で、ナイルの危険そのもの。テフヌトは湿気の女神です。

海の神がいない神話がある

並べると、水の神の性格が土地によって違うことがわかります。

神話代表する神水の姿性格
日本ワタツミ・ホオリ海(豊かな漁場)恵み。王家の血筋につながる
ギリシャポセイドン海(交易の道)気まぐれ。地震も起こす
北欧ニョルズ・ヨルムンガンド海(世界の境界)富と、世界の終わりの引き金
エジプトハピ・ヌン川と原初の水恵み。海の神はいない

土地の水との付き合い方が、そのまま神の性格になっています。

日本とギリシャは海の民。エジプトは川の民。北欧は海を境界と見た。

日本では海神の娘が天皇家の祖先になり、海が王権の正統性に組み込まれています。

ギリシャのポセイドンが地震を起こすのは、エーゲ海が地震地帯だからです。海の異変と地面の揺れが、同じ神の仕業として結ばれました。

エジプトのハピが太っているのは、氾濫が恵みだったからです。他の神話なら洪水は罰ですが、ナイルの氾濫は待ち望まれるものでした。同じ「水があふれる」現象が、逆の意味を持ちます。

海の神についてよくある質問

日本の海の神は誰ですか。

ワタツミ(綿津見・海神)です。イザナギの禊から生まれた三柱の総称で、志賀海神社などに祀られています。海幸山幸の話では、海神の宮でホオリが潮を操る珠を得ます。

海の神を祀る神社はどこですか。

志賀海神社(福岡)、住吉大社(大阪)などが知られます。えびす様として祀られるコトシロヌシは、西宮神社(兵庫)や美保神社(島根)が本社です。各神のページに住所と地図を載せています。

ギリシャ神話の海の神はポセイドンですか。

そうです。ゼウス・ハデスの兄弟で、くじ引きで海を得ました。三叉の矛で海を荒らし、地震も起こします。「大地を揺るがす者」という称号を持ちます。

エジプト神話に海の神はいますか。

いません。エジプト人は海を恐れてほとんど出ず、代わりにナイルの氾濫の神ハピ、原初の水ヌン、ワニの神ソベクがいます。

なぜポセイドンは地震の神でもあるのですか。

エーゲ海一帯が地震地帯だったためと考えられます。海の異変と地面の揺れが同じ神の仕業として結ばれ、「大地を揺るがす者」と呼ばれました。

海の神の一覧(収録しているすべての神々) 81柱

本文で取り上げなかったものも含めて、この属性に属する神々をすべて並べています。名前を押すと個別ページへ移ります。

アイオロス

AEOLUS 海 ギリシャ神話

アシナダカ

ASHINADAKA 海 日本神話

アヌケト

ANUKET 海 エジプト神話

アネモイ

ANEMOI 海 ギリシャ神話

アムピトリテ

AMPHITRITE 海 ギリシャ神話

アメノツドヘチネ

AMENOTSUDOHECHINE 海 日本神話

イチキシマヒメ

ICHIKISHIMAHIME 海 日本神話

イノ

INO 海 ギリシャ神話

イブキドヌシ

IBUKIDONUSHI 海 日本神話

ウァジ・ウェル

WADJ-WER 海 エジプト神話

ウェニーリア

VENILIA 海 ローマ神話

ウガヤフキアエズ

UGAYAFUKIAEZU 海 日本神話

ウツシヒカナサク

UTSUSHIHIKANASAKU 海 日本神話

エウリュノメ

EURYNOME 海 ギリシャ神話

エウリュビア

EURYBIA 海 ギリシャ神話

エーギル

AEGIR 海 北欧神話

オケアノス

OCEANUS 海 ギリシャ神話

オトタチバナヒメ

OTOTACHIBANA 海 日本神話

オミヅヌ

OMIZUNU 海 日本神話

カリュプソ

CALYPSO 海 ギリシャ神話

ガラテイア

GALATEA 海 ギリシャ神話

キサガイヒメ・ウムギヒメ

KISAGAIHIME 海 日本神話

クリュメネ

CLYMENE 海 ギリシャ神話

クロアントス

CLOANTHUS 海 ローマ神話

グラウコス

GLAUCUS 海 ギリシャ神話

ケト

CETO 海 ギリシャ神話

コトシロヌシ

KOTOSHIRONUSHI 海 日本神話

サテト

SATET 海 エジプト神話

サラーキア

SALACIA 海 ローマ神話

シオツチオジ

SHIOTSUCHI 海 日本神話

スキュラ

SCYLLA 海 ギリシャ神話
主神級

スサノオ

SUSANOO 戦 海 日本神話
主神級

セイレーン

SIRENS 海 ギリシャ神話

セオリツヒメ

SEORITSUHIME 海 日本神話

セルゲストゥス

SERGESTUS 海 ローマ神話

ソベク

SOBEK 海 エジプト神話

タウマス

THAUMAS 海 ギリシャ神話

タキリビメ

TAKIRIBIME 海 日本神話

タギツヒメ

TAGITSUHIME 海 日本神話

タヒリキシマルミ

TAHIRIKISHIMARUMI 海 日本神話

タマヨリビメ

TAMAYORIHIME 海 日本神話
主神級

テティス

THETIS 海 ギリシャ神話

テフヌト

TEFNUT 海 エジプト神話

デーイオペーア

DEIOPEA 海 ローマ神話

トヨタマヒメ

TOYOTAMAHIME 海 日本神話

トリトン

TRITON 海 ギリシャ神話

ドリス

DORIS 海 ギリシャ神話

ニョルズ

NJORD 海 北欧神話

ヌン

NUN 海 エジプト神話
主神級

ネプトゥーヌス

NEPTUNUS 海 ローマ神話

ネレイス

NEREIDS 海 ギリシャ神話

ネレウス

NEREUS 海 ギリシャ神話

ノッケン

NOKKEN 海 北欧神話

ハトメヒト

HATMEHIT 海 エジプト神話

ハピ

HAPI 海 エジプト神話

ハヤアキツヒコ

HAYAAKITSUHIKO 海 日本神話

ハラエドノオオカミ

HARAEDONOOKAMI 海 日本神話

ヒカワヒメ

HIKAWAHIME 海 日本神話

ヒルコ

HIRUKO 海 日本神話

フカブチノミズヤレハナ

FUKABUCHINOMIZUYAREHANA 海 日本神話

プロテウス

PROTEUS 海 ギリシャ神話

ホオリ

HOORI 海 日本神話

ホデリ

HODERI 海 日本神話
主神級

ポセイドン

POSEIDON 海 ギリシャ神話

ポルキュス

PHORCYS 海 ギリシャ神話

ポントス

PONTUS 海 ギリシャ神話

ミーセーノス

MISENUS 海 ローマ神話

ムネーステウス

MNESTHEUS 海 ローマ神話

ヤマタノオロチ

YAMATANOOROCHI 海 日本神話

ヨルムンガンド

JORMUNGANDR 海 北欧神話

ラーン

RAN 海 北欧神話
主神級

ワタツミ

WATATSUMI 海 日本神話

中筒男命

NAKATSUTSUNOO 海 日本神話

住吉三神

SUMIYOSHI 海 日本神話

天鳥船

AMENOTORIFUNE 海 日本神話

底筒男命

SOKOTSUTSUNOO 海 日本神話

御毛沼命

MIKENU 海 日本神話

波の乙女

AEGIS DOETR 海 北欧神話
主神級

玄武

GENBU 海 中国神話

稲飯命

INAHI 海 日本神話

表筒男命

UWATSUTSUNOO 海 日本神話

ほかの属性で見る

このページに出てきた言葉

禊(みそぎ)

水で身を洗い、穢れを落とすこと。イザナギはこれによって三貴子を生んだ。

アース神族(あーすしんぞく)

オーディンを主神とする神々の一族。戦いと支配を担う。アースガルズに住む。

ヴァン神族(ヴぁんしんぞく)

豊穣と富を担う神々の一族。アース神族と戦って和睦し、ニョルズ・フレイ・フレイヤが人質としてアースガルズへ渡った。

ラグナロク(Ragnarök)

北欧神話の終末。神々と巨人が戦い、双方がほぼ全滅して世界が焼け落ち、海に沈む。そののち新しい大地が浮かび上がる。