宗像三女神の長女。沖ノ島に祀られ、オオクニヌシの妻となった。
タキリビメとは何の神様か
タキリビメの漢字表記と読み方
読みは「たきりびめ」です。日本書紀では「たごりひめ」と読み、表記も田心姫となります。
「タキリ」は水の霧を指すとされ、海上に立つ霧を表すという解釈があります。三女神の名は、それぞれ水の異なる姿を表していると読めます。
多紀理毘売命(たきりびめのみこと)
古事記での表記。
田心姫神(たごりひめのかみ)
日本書紀での表記。読みも異なる。
タキリビメの物語
誓約で生まれ、沖ノ島に降りる
スサノオが高天原?に上ったとき、アマテラスは弟の心を疑いました。
互いの持ち物を交換して噛み砕き、生まれた神で潔白を証す方法がとられます。アマテラスがスサノオの剣を噛んで吐いた霧から、三柱の女神が生まれました。
三女神は筑紫の宗像に降ろされ、大陸へ渡る航路を守る役を負います。タキリビメはもっとも沖、沖ノ島に祀られました。
オオクニヌシの妻となる
沖ノ島という場所
沖津宮のある沖ノ島は、九州本土から約60キロ沖にあります。
島全体が神域とされ、いまも女人禁制で、上陸は厳しく制限されています。島から持ち出すことも禁じられてきました。
そのため古代の奉献品がほぼ手つかずで残り、「海の正倉院」と呼ばれます。2017年に世界遺産となりました。
タキリビメ・タゴリヒメ・田心姫は同じか
古事記の多紀理毘売命と、日本書紀・宗像大社の田心姫神は一般に同じ宗像三女神の一柱として扱われます。読みはたきりびめ/たごりひめなど資料で異なります。
表記違いを別の神と数えるのではなく、どの資料の名称と配置を説明しているかを示します。
古事記と宗像大社で鎮座地が違う
古事記は多紀理毘売命を辺津宮、市寸島比売命を中津宮、多岐都比売命を沖津宮に置きます。一方、宗像大社公式では田心姫神が沖津宮、湍津姫神が中津宮、市杵島姫神が辺津宮です。
これは誤植ではなく伝承差です。記事では、神話本文と現在の神社祭祀を並べて示します。
沖ノ島への上陸と参拝方法
沖ノ島は島全体が御神体とされ、現在は一般の上陸を認めていません。「女人禁制だから男性は行ける」という理解も現状とは異なります。
参拝は宗像大社の辺津宮や、大島北部の沖津宮遙拝所から行えます。観光情報と信仰上の禁忌を混ぜず、公式の現在案内に従います。
タキリビメの家系図と家族
タキリビメの性格と人物像
タキリビメは、もっとも遠くに置かれた神です。
三女神のうち沖ノ島という最も隔たった場所に祀られ、上陸すら許されません。一方で、出雲のオオクニヌシと結ばれて子を生むという、人の世に近い面も持ちます。
遠さと近さが同居している神です。
タキリビメを祀る神社
古事記では多紀理毘売命を辺津宮、宗像大社の現在の祭祀では田心姫神を沖津宮に祀ります。古典間・祭祀伝承で三女神の配置が異なるため、「長女だから必ず沖津宮」と一つに固定できません。
沖ノ島は一般参拝者が上陸できません。宗像大社公式は、大島の沖津宮遙拝所を沖津宮に向かって参拝する場所として案内しています。
タキリビメが現代に残した痕跡
タキリビメの名は、沖ノ島に残りました。
海の正倉院: 沖ノ島の呼び名。持ち出しが禁じられてきたため、古代の奉献品がほぼ手つかずで残る。
女人禁制: 沖ノ島はいまも女性の上陸を認めていない。世界遺産となった後も続いている。
タキリビメのご利益
海上安全
航路を守る三女神としての本来の職能。
交通安全
海の道から広がったもの。
縁結び
オオクニヌシと結ばれ、子をなしたことによる。
タキリビメについてよくある質問
タキリビメとはどんな神様ですか。
アマテラスとスサノオの誓約で生まれた宗像三女神の長女です。沖ノ島の沖津宮に祀られ、オオクニヌシの妻となりました。
タキリビメとタゴリヒメは同じですか。
同じ神です。古事記では多紀理毘売命(たきりびめ)、日本書紀では田心姫神(たごりひめ)と記されます。
沖ノ島には行けますか。
一般の上陸はできません。島全体が神域とされ、女人禁制と厳しい制限が続いています。参拝は本土の辺津宮で行います。
タキリビメの子は誰ですか。
オオクニヌシとの間に、アヂスキタカヒコネとシタテルヒメを生んだと古事記に記されます。
タキリビメと田心姫神は同じですか。
一般に同じ宗像三女神の一柱として扱われます。古事記・日本書紀・神社で表記と配置が異なります。
沖ノ島には男性なら上陸できますか。
現在は一般の上陸自体が認められていません。大島の沖津宮遙拝所などから参拝できます。
タキリビメと併せて覚えたい言葉・用語
誓約(うけい)
神意を問うための占い。あらかじめ結果の意味を決めておき、どちらが起きるかで是非を判断する。
天津神(あまつかみ)
高天原に生まれた、あるいは高天原から降りてきた神々。
高天原(たかまがはら)
天上にある神々の国。アマテラスが治める。