宗像三女神の一柱。のちに弁財天と重ねられた。
イチキシマヒメとは何の神様か
イチキシマヒメの漢字表記と読み方
読みは「いちきしまひめ」です。「イチキ」は神に仕えて祀ることを意味するとされ、神を祀る女性そのものを表す名という解釈があります。
厳島(いつくしま)の名も、この「イチキシマ」が転じたものとする説があります。「斎(いつ)く島」=神を祀る島、という読み方です。
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
一般的な表記。
狭依毘売命(さよりびめのみこと)
古事記に見える別名。
イチキシマヒメの物語
誓約で生まれた三女神
古事記ではアマテラスがスサノオの十拳剣を受け取り、噛み砕いて吹き出すと三女神が生まれます。物実はスサノオの剣なので三女神をスサノオの子とし、アマテラスが引き取って宗像に鎮座させます。
日本書紀には神名・誕生順・鎮座地の異なる伝えがあります。
市杵島姫命と弁財天は同じか
神仏習合の中で同一視されましたが、起源は異なります。弁財天はインドの河川神サラスヴァティーに由来する仏教の天部、市杵島姫命は日本神話の宗像三女神です。
神仏分離後も弁財天・市杵島姫命を併せて信仰する場所はありますが、すべての弁天社の祭神を一律に置き換えません。
瀬織津姫と同じ神か
水や祓いに関係する女神として同一視説が検索されますが、古事記・大祓詞では別の神名です。市杵島姫命は宗像三女神、瀬織津姫は大祓詞の祓戸神として現れます。
後世の同一視を紹介する場合も、古典本文の系譜を先に示します。
宗像大社の三宮と古事記の配置
現在の宗像大社では田心姫神を沖津宮、湍津姫神を中津宮、市杵島姫神を辺津宮に祀ります。古事記の鎮座順は現在の配置と一致しません。
また沖ノ島は現在、神職以外の上陸が禁止されています。過去の女人禁制だけを現在の案内として書かず、公式の立入規則を示します。
イチキシマヒメの家系図と家族
イチキシマヒメの性格と人物像
記紀に市杵島姫命個人の性格や行動はほとんど描かれません。確実なのは、宗像三女神の一柱として海北道中を守る位置に置かれたことです。
財運・芸能の信仰は弁財天との習合後に広がった層です。「三女神のうちこの神だけが全国へ広まった」とせず、宗像・厳島・弁天という複数の信仰経路を分けます。
イチキシマヒメを祀る神社
イチキシマヒメを祀る社は、水辺に集中します。
宗像・厳島という海の社に加え、弁財天と重ねられたことで池や島の社にも広く祀られました。「弁天」と付く場所の多くが、この神を祭神としています。
三女神のうち、この神だけが全国規模で広がったのはそのためです。
宗像大社 辺津宮(むなかたたいしゃ へつみや)
全国の宗像神社・厳島神社の総本社
三宮のうち本土に置かれた宮。沖津宮(沖ノ島)・中津宮(大島)とあわせて世界遺産。
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厳島神社(いつくしまじんじゃ)
全国の厳島神社の総本社
海に建つ社殿で知られる。社名は「イチキシマ」に由来するとする説がある。
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イチキシマヒメが現代に残した痕跡
イチキシマヒメの名は、地名と弁天信仰に残りました。
厳島(いつくしま): 広島の宮島の正式な島名。「イチキシマ」が転じたとする説がある。
弁天という地名: 弁天島・弁天池・弁天町など、全国に多い。弁財天と重ねられた名残。
イチキシマヒメのご利益
海上安全
航路を守る三女神としての本来の職能。
財運
弁財天と重ねられたことによる。
芸能・音楽
弁財天が琵琶を持つ姿で描かれることによる。
交通安全
海の道から広がり、移動全般の守りとされる。
イチキシマヒメについてよくある質問
市杵島姫命と弁財天は同じ神ですか。
神仏習合で同一視されましたが起源は別です。市杵島姫命は宗像三女神、弁財天はインドのサラスヴァティーに由来します。
市杵島姫命と瀬織津姫は同じですか。
古典では別の神です。市杵島姫命は誓約で生まれた宗像三女神、瀬織津姫は大祓詞の祓戸神です。
沖ノ島には女性以外なら上陸できますか。
現在は一般人の立入が禁止され、神職以外は渡島できません。過去の女人禁制だけでなく、現在の公式規則を確認する必要があります。
市杵島姫命は宗像大社のどこに祀られていますか。
宗像大社の辺津宮に祀られます。田心姫神は沖津宮、湍津姫神は中津宮で、三宮を合わせて宗像大社と呼びます。古事記の鎮座順と現在の案内は表記差にも注意します。
市杵島姫命と弁財天は完全に同じ神ですか。
神仏習合の中で広く同一視されましたが、起源まで同一ではありません。市杵島姫命は日本神話の宗像三女神、弁財天は仏教を通じて受容された尊格です。
沖ノ島は現在も女人禁制ですか。
現在は性別を問わず一般の上陸が禁止され、宗像大社の神職のみが祭祀などで上陸します。過去の女人禁制だけを現在の規則として書かず、時点を明示する必要があります。
イチキシマヒメと併せて覚えたい言葉・用語
誓約(うけい)
神意を問うための占い。あらかじめ結果の意味を決めておき、どちらが起きるかで是非を判断する。