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日本神話

アメノワカヒコ(天若日子)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

天若日子  / アメノワカヒコ

天津神

国譲りの使者。裏切って八年戻らず、返し矢で死ぬ。

アメノワカヒコとは何の神様か

アメノワカヒコはひとことで言えば裏切った使者です。国譲りのため、二番目に地上へ遣わされました

ところがオオクニヌシの娘シタテルヒメを妻にし、自分が国を治めようと考えて八年も戻りませんでした

問いただしに来た雉を射殺すと、その矢は高天原まで届きます。投げ返された矢が、寝ていたこの神の胸を貫きました。「返し矢恐るべし」の由来です。

アメノワカヒコの漢字表記と読み方

読みは「あめのわかひこ」です。「アメ」は天「ワカ」は若い「ヒコ」は男を指します。

天の若者という、そのままの名です。

「ワカ」という語が入っている神は、日本神話では未熟さや若さを含意することがあります。

ワカヒルメワクムスヒなど、いずれもまだ完成していないという意味を持ちます。

この神の場合、任務を全うできなかった若さとして読めます。

天若日子(あめのわかひこ)

古事記での表記。

天稚彦(あめわかひこ)

日本書紀での表記。

アメノワカヒコの物語

  1. 二番目の使者
  2. 雉を射殺す
  3. 返し矢
  4. 葬儀と、そっくりな義兄

二番目の使者

高天原は、地上を治めるために使者を送りました。

一人目 ─ アメノホヒ
オオクニヌシに媚びて、三年戻らなかった。
二人目 ─ アメノワカヒコ
天之麻迦古弓天之波波矢を授けられて降った。

武器まで持たされた、正式な使者です。

しかしアメノワカヒコもまた、戻りませんでした。オオクニヌシの娘シタテルヒメを妻にし、八年が過ぎます。

雉を射殺す

高天原は、鳴女(なきめ)という雉を遣わして問いただすことにしました。

雉はアメノワカヒコの家の門の木にとまり、問いかけます。

そのとき、天佐具売(あめのさぐめ)という女がそそのかしました。

この鳥の鳴き声は、たいへん悪い。射殺してしまいなさい。

アメノワカヒコは弓を取り、雉を射殺します。

その矢は雉の胸を貫き、そのまま高天原まで飛んで行きました

返し矢

矢を手にしたタカミムスヒは、血が付いているのを見て言いました。

もしアメノワカヒコが命に背いていないなら、この矢は当たるな。もし邪心があるなら、この矢に当たれ。

そう告げて、矢を穴から投げ返します。

矢は落ちてきて、朝の床に寝ていたアメノワカヒコの胸を貫き、殺しました。

「返し矢恐るべし」という言葉は、ここから生まれました。

放った矢が自分に返ってくる。裏切りの報いとして、これ以上ないほど直接的な形です。

葬儀と、そっくりな義兄

妻シタテルヒメの泣き声が天まで届き、親族が降りてきて葬儀を行いました。

そこへ、シタテルヒメの兄アヂスキタカヒコネが弔いに来ます。

ところが、この二人は姿がそっくりでした。アメノワカヒコの父と妻が、死者が生き返ったと思って抱きつきます

穢らわしい死人と、我を見間違えるとは。

怒ったアヂスキタカヒコネは、剣で喪屋を切り倒し、蹴り飛ばしました。

飛んでいった喪屋は、美濃の喪山になったと記されます。

アメノワカヒコの家系図と家族

アメノワカヒコの親: アマツクニタマ

アメノワカヒコの妻・夫: シタテルヒメ

アメノワカヒコの性格と人物像

アメノワカヒコは、寝返った神です。

任務を与えられ、武器を持たされて降り、そのまま現地の女性と結婚して八年帰りませんでした。

しかも、問いただしに来た使者を射殺しています。

単なる怠慢ではなく、明確な離反です。

ただし、悪人としては描かれていません。妻が泣き、親族が葬儀を営み、義兄と見間違えられるほど親しまれていた姿も記されます。

現地に溶け込みすぎた者として読むこともできます。

アメノワカヒコを祀る神社

アメノワカヒコを祀る社はほとんどありません。裏切った使者として描かれるためです。

岐阜県美濃市に喪山天神社があり、この神の喪屋が落ちた地と伝えます。

各地に「喪山」の伝承地があり、物語が実際の地形と結びつけられてきたことが分かります。

大和神社(おおやまとじんじゃ)

二十二社

地図で開く

大和神社の住所: 奈良県天理市新泉町306

大和神社の御祭神: 日本大国魂大神ほか

大和神社のご利益: 国土安泰

アメノワカヒコを祀る社ではない。国土の神を祀る古社として並べた。

周辺の宿をさがす

大和神社へ参拝するときの、奈良県天理市の宿を探せます。

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アメノワカヒコが現代に残した痕跡

アメノワカヒコの物語は、ことわざに残りました

返し矢恐るべし: 放った矢が自分に返ってくること。裏切りの報いを表す言葉。

喪山: アヂスキタカヒコネが蹴り飛ばした喪屋が落ちた地とされる。岐阜県美濃市などに伝承地がある。

天邪鬼: そそのかした天佐具売が語源とされる。

アメノワカヒコのご利益

厄除け

返し矢の教訓による。

アメノワカヒコについてよくある質問

アメノワカヒコとはどんな神様ですか。

国譲りのため二番目に地上へ遣わされた使者です。オオクニヌシの娘を妻にし、自分が国を治めようとして八年戻りませんでした。

返し矢とは何ですか。

この神が射殺した雉の血がついた矢を、タカミムスヒが高天原から投げ返したものです。矢は寝ていたこの神の胸を貫きました。

なぜ義兄と間違えられたのですか。

妻の兄アヂスキタカヒコネと姿がそっくりだったためです。父と妻が死者が生き返ったと思って抱きつき、怒った義兄が喪屋を切り倒しました。

アメノワカヒコと併せて覚えたい言葉・用語

国譲り(くにゆずり)

オオクニヌシが葦原中国の統治権を天津神に明け渡した出来事。

高天原(たかまがはら)

天上にある神々の国。アマテラスが治める。