本文へ移動

日本神話

天探女とは何の神様か|家系図・物語

天探女  / アメノサグメ

冥界 天津神

アメノワカヒコに雉を射させた女神。天邪鬼の語源とされる。

天探女とは何の神様か

天探女はひとことで言えばそそのかす女神です。

アメノワカヒコに仕え、高天原が遣わした雉の鳴女を「鳴き声が悪い、射殺すべきだ」と告げました。

その矢が返ってアメノワカヒコ自身を貫きます。主人を破滅させた助言でした。天邪鬼(あまのじゃく)の語源とする説があります。

天探女の漢字表記と読み方

読みは「あめのさぐめ」です。「サグメ」は探る女を指します。

物事を探り、先を読む能力を持つとされます。それが悪い方向に働いたのがこの神です。

天邪鬼(あまのじゃく)の語源とする説があり、「あまのさぐめ」が転じたと考えられています。

天探女(あめのさぐめ)

古事記での表記。

天佐具売(あめのさぐめ)

別の表記。

天探女の物語

  1. 雉を射させる
  2. 返し矢が主人を殺す
  3. 天邪鬼になる
  4. 天探女の能力は「心を読む」ことか
  5. 天邪鬼の語源で確定しているか
  6. 天津神か国津神か

雉を射させる

アメノワカヒコが八年たっても復命しないため、高天原は雉の鳴女を遣わしました。

雉はアメノワカヒコの家の門の木にとまり、天の言葉を伝えます。

これを聞いた天探女が告げました。

この鳥は鳴き声が悪い。射殺すべきです。

アメノワカヒコは弓を取り、雉を射抜きます。そそのかされて放った矢でした。

返し矢が主人を殺す

矢は雉の胸を貫き、そのまま天まで届きました

タカミムスヒが血のついた矢を見て、投げ返します。

もし命に背いているなら、この矢に当たれ。

矢は寝ていたアメノワカヒコの胸を貫きました

天探女の一言が、主人を死なせたことになります。この神がその後どうなったかは記されません。

天邪鬼になる

天邪鬼(あまのじゃく)は、人の心に逆らう存在とされます。

「あまのさぐめ」が転じたとする説が有力です。人の心を探り、逆のことを言う。天探女の性格がそのまま受け継がれています。

探る女が、へそ曲がりになる。

民話では、瓜子姫を騙す悪役として登場します。仏像では、四天王に踏まれる姿で表されることもあります。

神が力を失って妖怪になるという零落の例のひとつです。

天探女の能力は「心を読む」ことか

神名の「サグ」は探ることと解する説が多く、天上の隠れた意図を探る女、探偵役の女と説明されます。また、鳴女の声を「悪い」と判断したことから、鳥の鳴き声で吉凶を占う巫女的な存在とみる説もあります。

ただし古事記は、読心術や未来予知という能力名を付けていません。検索でいう「能力」は、進言した行為から研究者がどう性格づけるかとして答えるのが正確です。

天邪鬼の語源で確定しているか

天佐具売を昔話の天邪鬼・アマンジャクと結びつける説はあります。しかし「あめのさぐめ」がそのまま「あまのじゃく」へ変化したと確定しているわけではありません。サグメを「逆女」と読む説には、古代の表記音から批判もあります。

関連づける説はある
語源として確定ではない

この二段階を明示すれば、神話の天佐具売と後世の妖怪を混同せずに説明できます。

天津神か国津神か

古事記の名には「天」が付き、風土記逸文には天若日子に従って天降った神とする記述があります。一方、日本書紀の一書は国神と記します。そのため所属は研究上も意見が分かれています。

「天探女」という名前だけで天津神と断定することも、日本書紀の一書だけで国津神と断定することもできません。資料ごとの差そのものが、この神の重要な論点です。

天探女の家系図と家族

天探女の性格と人物像

天佐具売を、理由のない悪意だけで動く女神と断定することはできません。古事記で確実なのは、鳴女の声を悪いものと判断し、天若日子に射るよう進言したことです。

その姿には、相手の心や隠れたものを探る者、鳥の鳴き声から吉凶を判断する巫女、物語を反転させるトリックスターなど複数の解釈があります。悪女という評価も解釈の一つとして扱います。

天探女を祀る神社

今回確認した公的・研究機関の資料では、天佐具売本人を祭神とする代表社を確定できませんでした。

美保神社の主祭神は三穂津姫命と事代主神です。国譲りの物語に関係するというだけでは天佐具売の関連神社にならないため、掲載から外しました。

天探女が現代に残した痕跡

天探女の名は、言葉と妖怪に残りました

天邪鬼(あまのじゃく): 人の心に逆らう存在。「あまのさぐめ」が転じたとする説がある。

四天王に踏まれる邪鬼: 仏像で、四天王の足下に描かれる小鬼。天邪鬼と重ねられた。

天探女のご利益

天佐具売は古事記で信仰や祈願の対象として描かれません。物語上の悪役だから厄除けになる、という推測ではご利益を設定できないため、確認できるご利益は未掲載です。

天探女についてよくある質問

天探女とはどんな神ですか。

天若日子に仕え、天から来た雉の鳴女を射るよう進言した神です。その矢が天若日子の死につながりました。

天探女の能力は何ですか。

古事記は能力名を明記しません。名から隠れたものを探る役、鳥の声で吉凶を判断する巫女とみる説があります。

天探女は天邪鬼の語源ですか。

天邪鬼と関連づける説はありますが、語源として確定していません。神話の天佐具売と後世の妖怪は分けて説明する必要があります。

天探女は天津神ですか。

資料によって扱いが異なります。天から降った神とみる資料がある一方、日本書紀の一書は国神と記しており、解釈が分かれます。

天探女を祀る神社はありますか。

今回確認した公的・研究機関の資料では、本人を祭神と明示する代表社を確定できませんでした。

天探女と併せて覚えたい言葉・用語

高天原(たかまがはら)

天上にある神々の国。アマテラスが治める。

一書(あるふみ)

日本書紀が本文とは別に併記する異伝。「一書に曰く」の形で複数載る。

天津神(あまつかみ)

高天原に生まれた、あるいは高天原から降りてきた神々。

国津神(くにつかみ)

もともと地上にいた神々。出雲の神々が代表。

国譲り(くにゆずり)

オオクニヌシが葦原中国の統治権を天津神に明け渡した出来事。