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日本神話

シタテルヒメ(下照比売命)とは何の神様か|家系図・物語

下照比売命  / シタテルヒメノミコト

太陽 国津神

オオクニヌシの娘。アメノワカヒコの妻となり、夫の死を嘆いた。

シタテルヒメとは何の神様か

シタテルヒメはひとことで言えば輝く女神です。

オオクニヌシタキリビメの娘で、アヂスキタカヒコネの妹です。

名の「シタテル」は下を照らすこと。その美しさが衣を通して輝いたためこの名がついたと日本書紀は記します。国譲りの使者アメノワカヒコの妻となりました。

シタテルヒメの漢字表記と読み方

読みは「したてるひめ」です。「シタ」は下「テル」は照るです。

日本書紀は、その光が衣を通して輝いたためこの名がついたと記します。下から照らすという表現は、内側から光るという意味に読めます。

兄のアヂスキタカヒコネが「タカヒコネ(高い日の子)」であるのに対し、妹が「シタテル(下を照らす)」上と下で対になっています。

下照比売命(したてるひめのみこと)

古事記での表記。

下光比売命(したてるひめのみこと)

古事記に併記される表記。

高照姫(たかてるひめ)

日本書紀に見える別名とする説がある。

シタテルヒメの物語

  1. 裏切った使者の妻になる
  2. 夫の死を嘆く
  3. 兄を讃える歌を詠む
  4. 下照比売と高比売は同じ神か
  5. ニギハヤヒとの関係はあるか
  6. 夷振の歌は何を伝えたか

裏切った使者の妻になる

アメノワカヒコは、国譲りの使者として葦原中国へ降りました。

ところがオオクニヌシの娘シタテルヒメを妻とし、自ら国を得ようと企てます。八年たっても高天原へ復命しませんでした。

任務を裏切らせた側という位置に、この女神は立っています。ただし記紀は、彼女自身が何かを企てたとは記しません。

夫の死を嘆く

アメノワカヒコは、高天原からの返し矢に胸を貫かれて死にます。

シタテルヒメの泣く声は風に響いて天まで届いたと古事記は記します。父のアマツクニタマがそれを聞き、降りてきて喪屋を建て、八日八夜にわたって弔いました。

泣き声が天に届く。

嘆きの大きさを、距離で表した表現です。

兄を讃える歌を詠む

弔問に来た兄アヂスキタカヒコネが、死者と間違えられて激怒し、喪屋を斬って飛び去りました。

シタテルヒメは、飛び去った神が誰であるかを人々に知らせるために歌を詠みます。

天なるや 弟棚機の 項がせる 玉の御統 御統に 穴玉はや み谷 二渡らす 阿治志貴高日子根の神ぞ

これが夷振(ひなぶり)の起こりとされます。

夫を失った直後に、兄のために歌う。記紀の女神で、これほど言葉を残した例は多くありません。

下照比売と高比売は同じ神か

古事記では天若日子の妻を下照比売と呼び、葬儀の場面では高比売という名も用います。同じ場面の人物を指すと読むのが一般的ですが、なぜ名が変わるかには諸説があります。

日本書紀にも下照姫・高照姫など似た名が現れ、本文と一書で系譜が同じではありません。表記だけで単純に別人・同一人物を決めず、資料ごとに確認します。

ニギハヤヒとの関係はあるか

検索ではニギハヤヒの妃とする説が出ますが、古事記で下照比売の夫は天若日子です。ニギハヤヒの妃として知られるのは登美夜毘売・御炊屋姫など別の名です。

後世の系図や同一視説を扱う場合も、記紀本文の基本系譜と混ぜません。父はオオクニヌシ、母はタキリビメ、兄はアヂスキタカヒコネです。

夷振の歌は何を伝えたか

天若日子とよく似た兄アヂスキタカヒコネが死者と間違われ、怒って喪屋を斬り飛ばします。下照比売は、飛び去る神の名を知らせるため歌を詠みます。これが夷振の起こりとされます。

美容の神という現代的連想より、言葉によって兄を識別し、名を伝えた役割が古事記で確認できる特徴です。

シタテルヒメの家系図と家族

シタテルヒメの親: オオクニヌシタキリビメ

シタテルヒメのきょうだい: アヂスキタカヒコネ

シタテルヒメの妻・夫: アメノワカヒコ

シタテルヒメの性格と人物像

シタテルヒメは、間に立つ女神です。

出雲の神の娘でありながら、天から降った神の妻になりました。夫が裏切り、殺され、兄が怒って去る。すべての場面で、彼女は選ぶ側ではありません

それでも最後に歌を詠み、兄の名を人々に伝えました。行動ではなく言葉で場に関わった女神です。名の「照る」が示すとおり、自ら動くのではなく、光を当てる位置にいます。

シタテルヒメを祀る神社

美保神社の祭神は三穂津姫命と事代主神で、下照比売本人ではありません。オオクニヌシの子女という近さだけで関連社にしないため、従来のカードを外しました。下照比売・比売許曽神・倭文社の同一視には資料ごとの差があるため、祭神と由緒を確認してから掲載します。

シタテルヒメが現代に残した痕跡

シタテルヒメの名は、歌に残りました

夷振(ひなぶり): シタテルヒメが兄を讃えて詠んだ歌。歌の形式の起こりとされる。

シタテルヒメのご利益

縁結び

天と国の神を結んだ婚姻による。

芸能・和歌

夷振という歌の起こりを作ったことによる。

美容

光が衣を通して輝いたという名の由来による。

シタテルヒメについてよくある質問

シタテルヒメとはどんな神様ですか。

オオクニヌシとタキリビメの娘です。国譲りの使者アメノワカヒコの妻となり、夫の死を嘆きました。兄はアヂスキタカヒコネです。

名前の意味は何ですか。

「下を照らす」です。日本書紀は、その美しさが衣を通して輝いたためこの名がついたと記します。

夷振とは何ですか。

シタテルヒメが兄アヂスキタカヒコネを讃えて詠んだ歌です。歌の形式の起こりとされます。

シタテルヒメはニギハヤヒの妻ですか。

古事記では天若日子の妻です。ニギハヤヒの妃として知られる別名の女神とは区別します。

下照比売と高比売は同じですか。

古事記では同じ葬儀場面の人物を指すと一般に読まれます。ただし名称が変わる理由や日本書紀の系譜には諸説があります。

シタテルヒメと併せて覚えたい言葉・用語

国譲り(くにゆずり)

オオクニヌシが葦原中国の統治権を天津神に明け渡した出来事。

葦原中国(あしはらのなかつくに)

高天原と黄泉の国の間にある地上の世界。のちの日本の国土にあたる。

高天原(たかまがはら)

天上にある神々の国。アマテラスが治める。

一書(あるふみ)

日本書紀が本文とは別に併記する異伝。「一書に曰く」の形で複数載る。

カー(kꜣ/生命力)

人と一緒に生まれ、死後も供物を受け取る生命力。クヌムがろくろで人を作るとき、肉体とカーの二体を同時に形作った。