オオクニヌシの六番目の妻。鳥を捕らえることを名に負う。
トトリとは何の神様か
トトリの漢字表記と読み方
読みは「ととり」です。「トトリ」は鳥取、つまり鳥を捕らえることを指します。
古代の日本では、鳥は人間の霊魂を運ぶと考えられていました。
その鳥を捕まえることは神事でした。名義は「鳥を捕まえること」と考えられます。
別名の鳥甘(とりかい)は、鳥を飼うことを指します。捕らえるだけでなく、飼い馴らす役目も含まれていたのかもしれません。
鳥取神(ととりのかみ)
古事記での表記。
鳥耳神(とりみみのかみ)
別の表記。
鳥甘神(とりかいのかみ)
別の表記。
トトリの物語
六番目の妻
鳥が魂を運ぶ
鳥取部という職
鳥取は、職掌の名としても残りました。
鳥取部(ととりべ) ─ 鳥を捕らえて朝廷に献じる職。
由来を語る話は、古事記と日本書紀の双方の垂仁天皇段にあります。ただし筋書きは同じではありません。
垂仁天皇の子ホムチワケは、大人になっても物を言えませんでした。古事記では、空を飛ぶ鵠(くぐい)の声を聞いて片言を発し、山辺大鶙が各地を追って捕らえます。ただし、それでも御子は物を言えませんでした。
鳥取造の名が出るのは、日本書紀のほうです。鵠を見て声を発した御子のために天湯河板挙が追って捕らえ、その功によって鳥取造の姓を賜り、鳥取部が定められたと記されます。
鳥を捕らえることが、言葉と結びつけて語られるという話です。
なぜ記録が少ないのか
この女神について、古事記が記すのは一行だけです。
八嶋牟遅能神の娘、名は鳥耳神。大国主神と結ばれて、鳥鳴海神を生んだ。
祀る社も、確認されていません。
理由は、オオクニヌシの妻のなかで物語を与えられなかったからです。
ヤガミヒメには因幡の白兎があり、スセリビメには根の国?の試練があり、ヌナカワヒメには歌の応酬があります。
しかしこの女神には、何もありません。系譜をつなぐ役だけが与えられました。それでも、そこから十七世神の後半すべてが続きます。
トトリの家系図と家族
トトリの性格と人物像
トトリは、名だけが鮮やかな女神です。
事績はありません。物語もありません。社もありません。
しかし、鳥を捕らえるという名は、古代の信仰の核心に触れています。
鳥は魂を運ぶものでした。それを捕らえるのは神事でした。その名を負った女神が、オオクニヌシの子を生み、系譜を先へつないだ。名の意味だけで記憶される神の、典型的な例です。
トトリゆかりの地と遺跡
この女神を祀る社は、確認されていません。
古事記の系譜に名が現れるだけの女神です。
名と同じ鳥取という地名は、鳥取県として残ります。ただし、この女神と鳥取県を直接結ぶ記録はありません。鳥を捕らえる職掌である鳥取部が各地にいたことによる名です。
トトリが現代に残した痕跡
トトリの名は、鳥取という語に残りました。
鳥取部: 鳥を捕らえて朝廷に献じる職。日本書紀の垂仁天皇段で、天湯河板挙が鳥取造の姓を賜ったと記される。
十七世神: この女神の子トリナルミから系譜の後半が続く。
ホムチワケ: 鵠を見て声を発した皇子。日本書紀では、これが鳥取造の由来の話につながる。
トトリのご利益
子孫繁栄
トリナルミを生み、系譜をつないだことによる。
縁結び
オオクニヌシの妻の一柱であることによる。
トトリについてよくある質問
トトリとはどんな神様ですか。
古事記にのみ登場する国津神です。ヤシマムヂの娘で、オオクニヌシの六番目の妻とされ、トリナルミを生みました。
名前の意味は何ですか。
「鳥を捕まえること」です。古代の日本では鳥は人間の霊魂を運ぶと考えられ、鳥を捕らえることは神事でした。
鳥取県と関係がありますか。
直接結ぶ記録はありません。鳥を捕らえる職掌である鳥取部が各地にいたことによる地名です。
トトリと併せて覚えたい言葉・用語
根の国(ねのくに)
地の底にあるとされる国。スサノオが最終的に治める。黄泉の国と同一視されることもある。