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日本神話

ヤシマムヂ(八島牟遅能神)とは何の神様か|家系図・物語・ゆかりの地

八島牟遅能神  / ヤシマムヂノカミ

大地 国津神

トトリの父。オオクニヌシの妻の父として名だけが記される。

ヤシマムヂとは何の神様か

ヤシマムヂはひとことで言えば婿がオオクニヌシだった神です。古事記にのみ登場し、娘のトトリがオオクニヌシの妻になりました。

名の「八島」は多くの島、「牟遅」は貴人。名義は「多くの島の貴人」と考えられます。

名がヤシマジヌミとよく似ますが、別の神です。系譜上の位置がまったく違います。

ヤシマムヂの漢字表記と読み方

読みは「やしまむぢ」、現代仮名遣いでは「やしまむじ」です。

「ヤシマ」は多くの島「ムヂ」は貴人「ノ」は格助詞を指します。

「ムヂ」は、オオクニヌシの別名オオナムヂの「ムヂ」と同じ語です。

尊い者を意味します。大日孁貴の「貴(むち)」も同じ語で、いずれも高い位を表します。

八島牟遅能神(やしまむぢのかみ)

古事記での表記。

八島牟遅能神(やしまむじのかみ)

現代仮名遣いでの読み。

ヤシマムヂの物語

  1. ヤシマジヌミとの違い
  2. 娘トトリが生んだ子
  3. 鳥という名の連なり
  4. なぜ記録が少ないのか

ヤシマジヌミとの違い

この神の名は、ヤシマジヌミと紛らわしいものです。

ヤシマジヌミ(八島士奴美神) ─ スサノオクシナダヒメの子。十七世神の初代。
ヤシマムヂ(八島牟遅能神) ─ トトリの父。系譜上の位置は別。

共通するのは、名に「八島」を持つことだけです。

両者を結ぶ記述は古事記にありません。同じ語を含む名が、離れた場所に二度現れているにすぎません。

古事記の系譜には、こうした似た名の取り違えを招く箇所がいくつもあります。

娘トトリが生んだ子

この神の役割は、娘を通して系譜をつなぐことです。

娘 トトリ(鳥取神) ─ オオクニヌシの妻。
生まれた子 トリナルミ(鳥鳴海神)。

トリナルミから、十七世神の後半が続きます。

クニオシトミタヒリキシマルミアメノヒバラオオシナドミ、そしてトオツヤマサキタラシへ。

つまりこの神は、系譜の後半すべての起点にいます。名しか記されていないにもかかわらず、位置としては重要です。

鳥という名の連なり

娘と孫の名には、が入っています。

トトリ(鳥取神) ─ 鳥を捕まえること。
トリナルミ(鳥鳴海神) ─ 鳥が鳴く海。

古代の日本では、鳥は人の魂を運ぶと考えられていました。

ヤマトタケルが死後に白鳥になったのは、その考え方の表れです。

鳥を捕まえることは神事でした。鳥取部という職の名も残っています。この神の系譜は、鳥に関わる集団の記憶を伝えているのかもしれません。

なぜ記録が少ないのか

この神について古事記が記すのは、一行だけです。

八嶋牟遅能神の娘、名は鳥耳神。

それ以外に何もありません。祀る社も確認されていません。

理由は、娘の父であること以外に用がなかったからです。

古事記の系譜では、婚姻相手の親の名がしばしば記されます。誰の家から嫁を迎えたか、という情報が必要だからです。

この神は、その情報を成り立たせるためだけに置かれた名です。國學院大學の古典文化学事業も、この神について概要と系譜のほかに記すべき事項を持ちません。

ヤシマムヂの家系図と家族

ヤシマムヂの子・子孫: トトリトトリ

ヤシマムヂの性格と人物像

ヤシマムヂは、娘のためだけにいる神です。

事績はありません。社もありません。名の意味は「多くの島の貴人」という立派なものですが、その島を治めた話はどこにもありません。

それでも、この神がいなければ十七世神の後半は始まりません。

系譜という仕組みのなかでは、接続点になることが役割です。物語を持たない神が、構造のうえで欠かせない位置にいる。古事記の系譜の読み方を教えてくれる例です。

ヤシマムヂゆかりの地と遺跡

この神を祀る社は、確認されていません

古事記に娘の父として名が現れるだけの神です。

名の似たヤシマジヌミを祀る社は、島根県雲南市の須我神社をはじめ各地にありますが、それらはこの神を祀る社ではありません。混同しやすい点です。

出雲大社(いずもおおやしろ)

出雲国一宮

地図で開く

出雲大社の住所: 島根県出雲市大社町杵築東195

出雲大社の御祭神: 大国主大神

出雲大社のご利益: 縁結び

この神の婿にあたるオオクニヌシを祀る。

周辺の宿をさがす

出雲大社へ参拝するときの、島根県出雲市の宿を探せます。

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ヤシマムヂが現代に残した痕跡

ヤシマムヂの名は、古事記の一行に残りました

十七世神: この神の孫トリナルミから系譜の後半が続く。

鳥取部: 鳥を捕らえる職。娘トトリの名と結びつけて語られる。

ヤシマムヂのご利益

国土安泰

名の「多くの島の貴人」による。

子孫繁栄

トトリの父であることによる。

ヤシマムヂについてよくある質問

ヤシマムヂとはどんな神様ですか。

古事記にのみ登場する神で、オオクニヌシの妻となったトトリの父です。名だけが記され、事績はありません。

ヤシマジヌミと同じですか。

別の神です。ヤシマジヌミはスサノオとクシナダヒメの子で十七世神の初代、ヤシマムヂはトトリの父であり、系譜上の位置がまったく違います。

名前の意味は何ですか。

「多くの島の貴人」です。「ムヂ」はオオナムヂの「ムヂ」と同じ語で、尊い者を指します。