オオクニヌシの五世孫。名の意味がまったく分からない神。
タヒリキシマルミとは何の神様か
タヒリキシマルミはひとことで言えば意味の分からない名を持つ神です。古事記の大国主の系譜に、五世の孫として登場します。
十七世神の一柱です。
神名のみが記され、事績は語られません。そのため名義も不明です。十七世神のなかでも、とくに手がかりの乏しい名として挙げられます。
タヒリキシマルミの漢字表記と読み方
読みは「たひりきしまるみ」です。
名義は不明です。
「タヒリキ」と「シマルミ」に分け、平坦な島と海を読み取ることもできます。しかし真相は分かりません。
古事記の神名は、漢字で日本語の音を写したものです。音は残っても、元の言葉が失われれば意味は取れなくなります。この神は、その典型です。
多比理岐志麻流美神(たひりきしまるみのかみ)
古事記での表記。
タヒリキシマルミの物語
十七世神のなかでも特に
十七世神には、意味の取りにくい名が並びます。
フカブチノミズヤレハナ ─ 深い淵の水が流れ出す始め。読める。
アメノヒバラオオシナドミ ─ 天の霊原から吹く風の神霊。読める。
タヒリキシマルミ ─ 読めない。
同じ系譜のなかでも、この神だけが解釈を拒みます。
他の神名には、水や風や国といった手がかりになる語が含まれます。しかしこの名には、それがありません。
九文字のうち、意味の取れる部分がないのです。
両親も水の神
この神の親をたどると、水につながります。
父 ミカヌシヒコ(甕主日子神) ─ 甕を主る男神。
母 ヒナラシビメ(比那良志毘売) ─ 水神オカミの娘。
母方の祖父がオカミ、つまり水を司る神です。
十七世神の系譜には、オカミの娘が二度嫁いでいます。ヒカワヒメと、このヒナラシビメです。
水の神の家と、出雲の系譜が繰り返し縁を結んでいることになります。
妻と子
この神の婚姻も、系譜に記されます。
妻 活玉前玉比売神 ─ 比々羅木之其花麻豆美神の娘。
子 美呂浪神(ミロナミ)。
妻の父の名「比々羅木之其花麻豆美神」は、柊(ひいらぎ)を含みます。
柊は、葉のとげで邪気を払うとされる木です。節分に鰯の頭とともに戸口へ挿す習わしが、いまも残ります。
植物の名を持つ神が、この系譜に入っていることになります。
多比鹿神社
意味の分からない名ですが、祀る社があります。
多比鹿神社 ─ 三重県三重郡菰野町田光。主祭神。
社名の「多比鹿(たびか)」と、神名の「多比理(たひり)」が音で通じます。
式内社の祭神を古い神名に当てはめる作業は、江戸時代以降に広く行われました。この社もその例と考えられます。
菰野町は鈴鹿山脈の東麓にあり、出雲からはるかに離れています。音の一致だけで、神が遠くへ運ばれた形です。
タヒリキシマルミの家系図と家族
タヒリキシマルミの性格と人物像
タヒリキシマルミは、読めない神です。
九文字の名を持ちながら、その意味を説明できる人はいません。事績もありません。親と妻と子の名が記されるだけです。
しかし、読めないという事実そのものが価値を持ちます。
古事記が編まれた八世紀の時点で、すでに意味の失われた古い言葉が写されていたのかもしれません。分からないまま残された名は、それ以前の時代の存在を示す証拠になります。
タヒリキシマルミを祀る神社
この神を主祭神とするのは、三重県三重郡菰野町田光の多比鹿神社です。
社名の「多比鹿」と神名の「多比理」が音で通じることによります。
菰野町は鈴鹿山脈の東麓にあり、出雲からは遠く離れています。式内社の祭神を古い神名に当てはめる作業が、江戸時代以降に広く行われた結果と考えられます。
タヒリキシマルミが現代に残した痕跡
タヒリキシマルミの名は、意味の分からないまま残りました。
十七世神: この神が属する出雲の系譜。ヤシマジヌミから数えて第十一代にあたる。
多比鹿神社: 三重県菰野町の社。音の一致からこの神を主祭神とする。
比々羅木: 柊のこと。この神の妻の父の名に含まれる。
タヒリキシマルミのご利益
五穀豊穣
十七世神として豊かさを担うことによる。
水の恵み
母方が水神オカミの家であることによる。
タヒリキシマルミについてよくある質問
タヒリキシマルミとはどんな神様ですか。
古事記の大国主の系譜に五世の孫として登場する神です。十七世神の一柱で、神名のみが記され事績は語られていません。
名前の意味は何ですか。
不明です。「タヒリキ」「シマルミ」から平坦な島と海を読み取ることもできますが、真相は分かっていません。
祀っている神社はありますか。
三重県菰野町の多比鹿神社です。社名の「多比鹿」と神名の「多比理」が音で通じることによります。