水神オカミの娘。十七世神の水の系譜を始めた女神。
ヒカワヒメとは何の神様か
ヒカワヒメはひとことで言えば水の血を持ち込んだ女神です。水神オカミの娘で、フハノモヂクヌスヌの妻にあたります。
生んだ子はフカブチノミズヤレハナ。
ここから孫のオミヅヌへと、水の名を負う神が三代続きます。その始まりに、この女神がいます。
ヒカワヒメの漢字表記と読み方
読みは「ひかわひめ」です。「日」はヒと読み、霊・氷・檜などの借訓、「河」は正訓で河川の意とされます。
「命」が付かないのは、巫女性を表すと解されます。
名義は「霊的な川に奉仕する巫女」とする説があります。
また、「氷川」と同じとして、武蔵の氷川神社と関連づける説もあります。ただし直接の記録はありません。
日河比売(ひかわひめ)
古事記での表記。
日河比売(ひかはひめ)
歴史的仮名遣いでの読み。
ヒカワヒメの物語
父は水を司る神
水の三代
この女神から始まる三代は、水の名で並びます。
ヒカワヒメ ─ 霊的な川の巫女。
子 フカブチノミズヤレハナ ─ 深い淵の水が流れ出す始め。
孫 オミヅヌ ─ 偉大な水の主。
川、淵、そして水の主。
流れが下って集まり、主となる。順序が名の意味と一致しています。
十七世神の系譜のなかで、この部分だけがまとまって水に関わります。川の流域を支配した一族の記憶とみる読み方もあります。
もう一人のオカミの娘
十七世神には、オカミの娘がもう一人嫁いでいます。
ヒナラシビメ(比那良志毘売) ─ オカミの娘。ミカヌシヒコの妻。子はタヒリキシマルミ。
同じ家から、二度嫁いでいることになります。
一度目がこの女神、二度目がヒナラシビメです。
古代の婚姻では、同じ家どうしが代を重ねて縁を結ぶことが珍しくありませんでした。
水の神の家と、出雲の系譜が繰り返し結ばれている。系譜の作りとして、意識的なものだった可能性があります。
氷川との関係
この女神の名について、興味深い説があります。
「日河」は「氷川」と同じではないか。
武蔵国一宮の氷川神社(埼玉県さいたま市)は、スサノオを主祭神とします。
荒川の流域に、氷川という名の社が二百社以上あります。
この女神はスサノオの系譜に嫁いだ神ですから、名の一致は無関係ではないかもしれません。
ただし、直接の記録はありません。音が同じであること以上の根拠は、いまのところ示されていません。
ヒカワヒメの家系図と家族
ヒカワヒメの性格と人物像
ヒカワヒメは、流れを始めた女神です。
事績はありません。物語もありません。あるのは、水神の娘であることと、水の名を持つ三代を生んだことだけです。
しかし、その三代が出雲の系譜の中心部を占めます。
オオクニヌシの祖先をたどると、この女神に行き着きます。血のなかに水を持ち込んだ、その一点で系譜のなかに位置を得ました。名だけの神が果たす役割の、はっきりした例です。
ヒカワヒメゆかりの地と遺跡
この女神を祀る社は、確認されていません。
古事記の系譜に名が現れるだけの女神です。
父のオカミを祀る社は京都の貴船神社をはじめ各地にあり、子のフカブチノミズヤレハナや孫のオミヅヌを主祭神とする社もあります。女神の代だけが、社を持ちません。
貴船神社(きふねじんじゃ)
二十二社
この女神の父にあたる水神オカミを祀る。
周辺の宿をさがす
ヒカワヒメが現代に残した痕跡
ヒカワヒメの名は、系譜のなかに残りました。
十七世神: この女神の子と孫が属する出雲の系譜。
オカミ: この女神の父。水を司る神で、雨乞いに祈られた。
氷川: 武蔵国の社名。この女神の名と同じとする説がある。
ヒカワヒメのご利益
水の恵み
水神オカミの娘であることによる。
子孫繁栄
水の名を負う三代を始めたことによる。
ヒカワヒメについてよくある質問
ヒカワヒメとはどんな神様ですか。
古事記にのみ登場する女神です。水神オカミの娘で、フハノモヂクヌスヌとの間にフカブチノミズヤレハナを生みました。
名前の意味は何ですか。
「霊的な川に奉仕する巫女」とする説があります。「命」が付かないのは巫女性を表すためだと解されます。
氷川神社と関係がありますか。
「日河」を「氷川」と同じとして関連づける説がありますが、直接の記録はありません。音が一致すること以上の根拠は示されていません。