オオクニヌシを逃がした神。五十猛神と同一とされる。
オオヤビコとは何の神様か
オオヤビコの漢字表記と読み方
読みは「おおやびこ」です。「オオヤ」は大きな屋(や)、「ヒコ」は男神を指します。
「ヤ(屋)」は家・屋根のことです。つまり大きな家の男神、あるいは大きな屋根を意味します。
家を建てるには木が要ります。五十猛神と同一とされるのは、この結びつきによります。
五十猛神は、スサノオとともに樹木の種を持って降り、日本中に木を植えたとされる神です。
大屋毘古神(おおやびこのかみ)
古事記での表記。
五十猛神(いたけるのかみ)
同一とされる神。木の神。
大屋彦神(おおやひこのかみ)
別の字を当てた表記。
オオヤビコの物語
二度殺されるオオクニヌシ
オオクニヌシは、八十神(やそがみ)という多くの兄たちにいじめられました。
一度目 ─ 焼いた大岩を「猪だ」と言って転がし落とし、抱きついて焼け死ぬ。
二度目 ─ 木の割れ目に挟んで、楔を抜いて殺す。
二度とも、母サシクニワカヒメが神に頼んで生き返らせました。
母は言います。
ここにいては、必ず滅ぼされます。
そして木の国(紀伊)のオオヤビコのもとへ逃がしました。
木の俣をくぐらせる
八十神は、追ってきました。矢をつがえて引き渡しを迫ります。
オオヤビコは、オオクニヌシを木の俣(また)をくぐらせて逃がしました。
木の俣より漏き逃がして
木の分かれ目をすり抜けさせた、という記述です。
そして告げます。
須佐能男命の坐す根の堅州国に参向へ。必ずその大神、議りたまはむ。
スサノオのところへ行け。必ず助言をくださるという意味です。
この一言が運命を変える
オオクニヌシは、この助言に従って根の国へ行きます。
そこでスセリビメと出会い、スサノオの試練を受けます。
蛇の室に寝かされる。ムカデと蜂の室に寝かされる。野原で火をかけられる。
すべてを乗り越え、スサノオの太刀と弓と琴を持って逃げ出します。
スサノオは去っていく背に叫びました。
その太刀と弓で八十神を追い払い、大国主神となれ。
オオヤビコの一言がなければ、この展開はありませんでした。
木の神として
オオヤビコは、五十猛神と同一とされます。
五十猛神は、スサノオとともに天から降り、樹木の種を日本中にまいた神です。
杉と樟は舟に。檜は宮に。槙は棺に。
スサノオが用途まで定めたと日本書紀は記します。
和歌山の伊太祁曽神社が本社で、紀伊国一宮にあたります。
「紀伊」という国名は「木の国」に由来するとされます。木材の産地であったためです。
オオヤビコの家系図と家族
オオヤビコの性格と人物像
オオヤビコは、かくまった神です。
追われてきた者を隠し、逃がし、行き先を教えました。
戦って追い返したのではありません。通り抜けさせたのです。
木の俣をくぐらせるという方法も、木の神らしいものです。
この神がしたことは、それだけです。しかしオオクニヌシが国の主になる道筋は、ここから始まりました。
オオヤビコを祀る神社
オオヤビコを祀るのは、和歌山の伊太祁曽神社が中心です。紀伊国一宮にあたります。
「紀伊」という国名は「木の国」に由来するとされます。木材の産地であったためです。
島根県には大屋神社があり、オオクニヌシを逃がした伝えが残ります。出雲と紀伊の両方に、この神の痕跡があります。
伊太祁曽神社(いたきそじんじゃ)
紀伊国一宮
同一とされる五十猛神を祀る。木の神の本社。
社名は伊太祁曽、住所は伊太祈曽と字が異なる。
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オオヤビコが現代に残した痕跡
オオヤビコの名は、紀伊の地に残りました。
紀伊(木の国): 木材の産地であったことに由来するとされる国名。
木の俣: 木の分かれ目。オオクニヌシをすり抜けさせて逃がした。
オオヤビコのご利益
厄除け
追われる者をかくまった伝えによる。
家内安全
「オオヤ(大きな屋根)」の名の意味による。
林業守護
五十猛神と同一とされ、木の神であることによる。
オオヤビコについてよくある質問
オオヤビコとはどんな神様ですか。
オオクニヌシが兄たちに追われたとき、木の俣をくぐらせて逃がした神です。「スサノオのところへ行け」と助言しました。
五十猛神と同じですか。
同一とされます。五十猛神はスサノオとともに樹木の種を日本中にまいた木の神で、和歌山の伊太祁曽神社に祀られます。
なぜ木と関係があるのですか。
名の「オオヤ」は大きな屋根を指し、家を建てるには木が要るためです。逃がした方法も「木の俣をくぐらせる」というものでした。
オオヤビコと併せて覚えたい言葉・用語
根の国(ねのくに)
地の底にあるとされる国。スサノオが最終的に治める。黄泉の国と同一視されることもある。