鏡を作った神。八咫鏡の作者。

イシコリドメとは何の神様か
イシコリドメの漢字表記と読み方
読みは「いしこりどめ」です。「イシコリ」は石で作った鋳型で金属を凝り固めること、「ドメ」は女性を表す語とされます。
つまり名前が鋳造という技術をそのまま指しています。日本神話のなかで、技術名が神名になっている数少ない例です。
伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)
古事記での表記。
石凝姥命(いしこりどめのみこと)
日本書紀および多くの神社での表記。
天糠戸神(あめのぬかどのかみ)
日本書紀の一書では、この神の子がイシコリドメとされる。
イシコリドメの物語
八咫鏡を作る ─ 岩屋戸の中心装置
鏡が果たした役割 ─ 自分の姿を見せる
この鏡が、岩屋戸を開かせる決め手になります。
ウズメの舞に神々が笑い、不審に思ったアマテラスが戸を細く開けて問いました。ウズメが「あなたより貴い神がおいでになったので喜んでいるのです」と答え、そのとき──
天児屋命と布刀玉命が、その鏡を差し出してアマテラスに見せた。
映っていたのは自分自身でした。それを別の神だと思ったアマテラスが、もっとよく見ようと身を乗り出した瞬間、タヂカラオが引き出します。
太陽神を、自分の姿を見せることで外へ出した。 この仕掛けの中心にあったのが、イシコリドメの作った鏡です。
三種の神器となる
天孫降臨の際、アマテラスはこの鏡をニニギに授けました。そのとき、こう告げます。
この鏡は、もっぱら我が御魂として、我が前を拝むように、いつき祀りなさい。
鏡はアマテラス自身であると明言した場面です。
この鏡は八尺瓊勾玉、草薙剣?とあわせて三種の神器となり、伊勢神宮の御神体として今日まで受け継がれています。
職人が作った一枚の鏡が、皇位の象徴になった。 日本神話で、作られた物がこれほど重い意味を持つ例は他にありません。
鏡作部の祖として ─ 技術者の系譜
イシコリドメは天孫降臨にも随伴し、五柱の伴神のひとりとして地上へ降りました。
そして鏡作部の祖神とされます。鏡作部は朝廷に仕えて鏡を製作した技術者集団で、大和の鏡作郷(現在の奈良県田原本町周辺)を拠点としました。
地名がそのまま「鏡作」であり、奈良県田原本町には鏡作坐天照御魂神社が今も鎮座しています。
また和歌山の日前神宮に伝わる日像鏡は、八咫鏡より前にこの神が鋳造したものと伝わります。失敗作だったので改めて八咫鏡を作ったという伝承もあり、職人の神らしい逸話が残されています。
イシコリドメの家系図と家族
イシコリドメの性格と人物像
イシコリドメは、作ることで物語を動かした神です。
戦わず、踊らず、言葉も発しません。鏡を一枚作っただけです。
しかしその鏡がなければ、アマテラスは岩屋戸から出ませんでした。ウズメの舞も、タヂカラオの力も、鏡がなければ意味をなしません。仕掛けの中心にあったのは、この神の作った物です。
そして同じ鏡が三種の神器となり、伊勢神宮の御神体として千数百年受け継がれています。
神話に登場する職人が、これほど長く残る物を作った例は他にありません。 名前が技術そのものであることも含めて、作る側の神として一貫しています。
イシコリドメを祀る神社
イシコリドメを祀る社は、鏡や金属加工に関わる土地に分布しています。奈良の鏡作郷、和歌山の日前宮が代表です。
製造業や技術者の信仰を集める点が、他の神と異なる特徴です。
鏡作坐天照御魂神社(かがみつくりにいますあまてるみたまじんじゃ)
延喜式内大社/鏡作部の本拠地
鏡作部の本拠地に鎮座する社です。周辺は古代に「鏡作郷」と呼ばれ、地名がそのまま技術者集団の名でした。
御神体は三神像鏡とされ、ここで鏡が作られていたことを伝えています。
毎年2月には鏡開きにちなむ神事が行われ、鏡や金属加工に携わる企業の参拝があります。
奈良盆地のなかでも古い祭祀の跡が濃く残る地域にあります。
田原本町周辺には鏡作の名を持つ社が複数ある。近鉄田原本駅から徒歩圏。
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日前神宮・國懸神宮(ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)
紀伊国一宮/八咫鏡より前に作られた鏡を祀る
ひとつの境内に二つの神宮が並び立つ社です。御神体は日像鏡と日矛鏡。
この二面は、イシコリドメが八咫鏡より前に鋳造した鏡と伝わります。先に作られた鏡を祀る社として、伊勢神宮と並ぶ格式を持つとされてきました。
相殿にイシコリドメが祀られており、作った神と作られた鏡が同じ社にいるという構成になっています。
和歌山電鐵日前宮駅からすぐ。二つの神宮を続けて参拝する。
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イシコリドメが現代に残した痕跡
イシコリドメの名は、三種の神器のひとつに残りました。
八咫鏡: 天岩戸の儀式で作った鏡が、のちに三種の神器のひとつとなり、伊勢神宮の御神体とされる。
鏡作神社: 奈良県磯城郡田原本町。鏡作りの一族が祀った社。周辺には「鏡作」を冠する社が複数ある。
鏡職人の祖神: 金属加工・鏡製造の守護神として信仰された。
イシコリドメのご利益
技術向上・ものづくり
鏡作部の祖神であることによる。金属加工や製造業の信仰を集める。
開運・厄除け
鏡が邪気を祓うとされることによる。
眼病平癒
「よく映す」という鏡の性格から、目に関わる祈願がなされる。
美容
姿を映す鏡の神であることによる。
イシコリドメが登場するゲーム・アニメ
イシコリドメが登場するゲーム・アニメ
天岩戸を扱った作品
鏡を作る役として登場します。
三種の神器を扱った作品
八咫鏡の作り手として言及されることがあります。
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イシコリドメについてよくある質問
イシコリドメは何の神様ですか。
鏡と金属加工の神です。天の岩屋戸の際に八咫鏡を作り、鏡作部の祖神とされます。
八咫鏡を作ったのは誰ですか。
イシコリドメです。天の金山の鉄を材料に、鍛冶の天津麻羅とともに作りました。
八咫鏡は今どこにありますか。
伊勢神宮の内宮に御神体として祀られています。天孫降臨の際、アマテラスが「私の御魂として祀りなさい」と告げてニニギに授けたものです。
イシコリドメの名前の意味は。
「イシコリ」は石で作った鋳型で金属を凝り固めること、「ドメ」は女性を表します。鋳造という技術そのものが名になっています。
イシコリドメを祀る神社はどこですか。
奈良県田原本町の鏡作坐天照御魂神社が代表です。和歌山市の日前神宮・國懸神宮にも祀られています。
イシコリドメと併せて覚えたい言葉・用語
天の岩屋戸(あまのいわやと)
アマテラスが閉じこもった岩の洞窟。太陽が隠れて世界が闇になった。
三種の神器(さんしゅのじんぎ)
八咫鏡・草薙剣・八尺瓊勾玉の三つ。天孫降臨の際にニニギへ授けられた。
天孫降臨(てんそんこうりん)
アマテラスの孫ニニギが高天原から地上へ降りたこと。
草薙剣(くさなぎのつるぎ)
ヤマタノオロチの尾から出た剣。三種の神器のひとつ。天叢雲剣ともいう。