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日本神話

イシコリドメ(石凝姥命)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

伊斯許理度売命  / イシコリドメノミコト

大地 天津神

鏡を作った神。八咫鏡の作者。

イシコリドメの姿を描いた図

「鏡作坐天照御魂神社 本殿」 / CC0 出典

イシコリドメとは何の神様か

イシコリドメはひとことで言えば鏡の神です。天の岩屋戸の際、アマテラスを外へ導くための八咫鏡を作りました。

名は「石凝」=石で作った鋳型で金属を凝り固める、という意味に解されます。鋳造という技術そのものが名になっています。

この神が作った鏡は、のちに天孫降臨ニニギへ授けられ、三種の神器のひとつとなりました。アマテラスは「この鏡を私の御魂として祀りなさい」と告げており、伊勢神宮の御神体はこの鏡です。

鏡作部の祖神とされ、鏡や金属の加工に携わる人々の信仰を集めてきました。

神器を作った職人の神という、日本神話でも珍しい立場にあります。

イシコリドメの漢字表記と読み方

読みは「いしこりどめ」です。「イシコリ」は石で作った鋳型で金属を凝り固めること、「ドメ」は女性を表す語とされます。

つまり名前が鋳造という技術をそのまま指しています。日本神話のなかで、技術名が神名になっている数少ない例です。

伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)

古事記での表記。

石凝姥命(いしこりどめのみこと)

日本書紀および多くの神社での表記。

天糠戸神(あめのぬかどのかみ)

日本書紀の一書では、この神の子がイシコリドメとされる。

イシコリドメの物語

  1. 八咫鏡を作る ─ 岩屋戸の中心装置
  2. 鏡が果たした役割 ─ 自分の姿を見せる
  3. 三種の神器となる
  4. 鏡作部の祖として ─ 技術者の系譜

八咫鏡を作る ─ 岩屋戸の中心装置

アマテラスが天の岩屋戸に隠れたとき、オモイカネの策のなかでイシコリドメに与えられた役は鏡を作ることでした。

天の安河の川上にある天の堅石を取り、天の金山の鉄を取って、鍛冶の天津麻羅を探し求め、伊斯許理度売命に命じて鏡を作らせ──

材料の調達から鍛冶職人の手配まで、具体的に記されています。日本神話でもっとも技術的な描写です。

こうして作られたのが八咫鏡でした。

鏡が果たした役割 ─ 自分の姿を見せる

この鏡が、岩屋戸を開かせる決め手になります。

ウズメの舞に神々が笑い、不審に思ったアマテラスが戸を細く開けて問いました。ウズメが「あなたより貴い神がおいでになったので喜んでいるのです」と答え、そのとき──

天児屋命と布刀玉命が、その鏡を差し出してアマテラスに見せた。

映っていたのは自分自身でした。それを別の神だと思ったアマテラスが、もっとよく見ようと身を乗り出した瞬間、タヂカラオが引き出します。

太陽神を、自分の姿を見せることで外へ出した。 この仕掛けの中心にあったのが、イシコリドメの作った鏡です。

三種の神器となる

天孫降臨の際、アマテラスはこの鏡をニニギに授けました。そのとき、こう告げます。

この鏡は、もっぱら我が御魂として、我が前を拝むように、いつき祀りなさい。

鏡はアマテラス自身であると明言した場面です。

この鏡は八尺瓊勾玉、草薙剣とあわせて三種の神器となり、伊勢神宮の御神体として今日まで受け継がれています。

職人が作った一枚の鏡が、皇位の象徴になった。 日本神話で、作られた物がこれほど重い意味を持つ例は他にありません。

鏡作部の祖として ─ 技術者の系譜

イシコリドメは天孫降臨にも随伴し、五柱の伴神のひとりとして地上へ降りました。

そして鏡作部の祖神とされます。鏡作部は朝廷に仕えて鏡を製作した技術者集団で、大和の鏡作郷(現在の奈良県田原本町周辺)を拠点としました。

地名がそのまま「鏡作」であり、奈良県田原本町には鏡作坐天照御魂神社が今も鎮座しています。

また和歌山の日前神宮に伝わる日像鏡は、八咫鏡より前にこの神が鋳造したものと伝わります。失敗作だったので改めて八咫鏡を作ったという伝承もあり、職人の神らしい逸話が残されています。

イシコリドメの家系図と家族

イシコリドメのきょうだい: タマノオヤ五伴緒天津麻羅ともに鏡を作る

イシコリドメの性格と人物像

イシコリドメは、作ることで物語を動かした神です。

戦わず、踊らず、言葉も発しません。鏡を一枚作っただけです。

しかしその鏡がなければ、アマテラスは岩屋戸から出ませんでした。ウズメの舞も、タヂカラオの力も、鏡がなければ意味をなしません。仕掛けの中心にあったのは、この神の作った物です。

そして同じ鏡が三種の神器となり、伊勢神宮の御神体として千数百年受け継がれています。

神話に登場する職人が、これほど長く残る物を作った例は他にありません。 名前が技術そのものであることも含めて、作る側の神として一貫しています。

イシコリドメを祀る神社

イシコリドメを祀る社は、鏡や金属加工に関わる土地に分布しています。奈良の鏡作郷、和歌山の日前宮が代表です。

製造業や技術者の信仰を集める点が、他の神と異なる特徴です。

鏡作坐天照御魂神社(かがみつくりにいますあまてるみたまじんじゃ)

延喜式内大社/鏡作部の本拠地

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鏡作坐天照御魂神社の住所: 奈良県磯城郡田原本町八尾816

鏡作坐天照御魂神社の御祭神: 天照国照彦火明命・石凝姥命・天糠戸命

鏡作坐天照御魂神社のご利益: 技術向上・ものづくり・開運

鏡作部の本拠地に鎮座する社です。周辺は古代に「鏡作郷」と呼ばれ、地名がそのまま技術者集団の名でした。

御神体は三神像鏡とされ、ここで鏡が作られていたことを伝えています。

毎年2月には鏡開きにちなむ神事が行われ、鏡や金属加工に携わる企業の参拝があります。

奈良盆地のなかでも古い祭祀の跡が濃く残る地域にあります。

田原本町周辺には鏡作の名を持つ社が複数ある。近鉄田原本駅から徒歩圏。

周辺の宿をさがす

鏡作坐天照御魂神社へ参拝するときの、奈良県磯城郡田原本町の宿を探せます。

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日前神宮・國懸神宮(ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)

紀伊国一宮/八咫鏡より前に作られた鏡を祀る

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日前神宮・國懸神宮の住所: 和歌山県和歌山市秋月365

日前神宮・國懸神宮の御祭神: 日前大神・國懸大神(相殿に石凝姥命)

日前神宮・國懸神宮のご利益: 開運・厄除け・技術向上

ひとつの境内に二つの神宮が並び立つ社です。御神体は日像鏡日矛鏡

この二面は、イシコリドメが八咫鏡より前に鋳造した鏡と伝わります。先に作られた鏡を祀る社として、伊勢神宮と並ぶ格式を持つとされてきました。

相殿にイシコリドメが祀られており、作った神と作られた鏡が同じ社にいるという構成になっています。

和歌山電鐵日前宮駅からすぐ。二つの神宮を続けて参拝する。

周辺の宿をさがす

日前神宮・國懸神宮へ参拝するときの、和歌山県和歌山市の宿を探せます。

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イシコリドメが現代に残した痕跡

イシコリドメの名は、三種の神器のひとつに残りました。

八咫鏡: 天岩戸の儀式で作った鏡が、のちに三種の神器のひとつとなり、伊勢神宮の御神体とされる。

鏡作神社: 奈良県磯城郡田原本町。鏡作りの一族が祀った社。周辺には「鏡作」を冠する社が複数ある。

鏡職人の祖神: 金属加工・鏡製造の守護神として信仰された。

イシコリドメのご利益

技術向上・ものづくり

鏡作部の祖神であることによる。金属加工や製造業の信仰を集める。

開運・厄除け

鏡が邪気を祓うとされることによる。

眼病平癒

「よく映す」という鏡の性格から、目に関わる祈願がなされる。

美容

姿を映す鏡の神であることによる。

イシコリドメが登場するゲーム・アニメ

イシコリドメが登場するゲーム・アニメ

天岩戸を扱った作品

鏡を作る役として登場します。

三種の神器を扱った作品

八咫鏡の作り手として言及されることがあります。

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イシコリドメについてよくある質問

イシコリドメは何の神様ですか。

鏡と金属加工の神です。天の岩屋戸の際に八咫鏡を作り、鏡作部の祖神とされます。

八咫鏡を作ったのは誰ですか。

イシコリドメです。天の金山の鉄を材料に、鍛冶の天津麻羅とともに作りました。

八咫鏡は今どこにありますか。

伊勢神宮の内宮に御神体として祀られています。天孫降臨の際、アマテラスが「私の御魂として祀りなさい」と告げてニニギに授けたものです。

イシコリドメの名前の意味は。

「イシコリ」は石で作った鋳型で金属を凝り固めること、「ドメ」は女性を表します。鋳造という技術そのものが名になっています。

イシコリドメを祀る神社はどこですか。

奈良県田原本町の鏡作坐天照御魂神社が代表です。和歌山市の日前神宮・國懸神宮にも祀られています。

イシコリドメと併せて覚えたい言葉・用語

天の岩屋戸(あまのいわやと)

アマテラスが閉じこもった岩の洞窟。太陽が隠れて世界が闇になった。

三種の神器(さんしゅのじんぎ)

八咫鏡・草薙剣・八尺瓊勾玉の三つ。天孫降臨の際にニニギへ授けられた。

天孫降臨(てんそんこうりん)

アマテラスの孫ニニギが高天原から地上へ降りたこと。

草薙剣(くさなぎのつるぎ)

ヤマタノオロチの尾から出た剣。三種の神器のひとつ。天叢雲剣ともいう。