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日本神話

アメノウズメ(天鈿女命)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

天宇受売命  / アメノウズメノミコト

天津神

岩屋戸の前で舞い、アマテラスを外へ導いた神。

アメノウズメの姿を描いた図

春斎年昌 「天宇受売命(春の岩戸開き)」 1889年 / パブリックドメイン 出典

アメノウズメとは何の神様か

アメノウズメはひとことで言えば芸能の神です。天の岩屋戸の前で神懸かりして舞い、隠れたアマテラスを外へ導きました。日本における芸能の起源とされ、神楽や舞の祖神と位置づけられています。

もうひとつの重要な役割が、天孫降臨での交渉です。道を塞ぐ異形の神サルタヒコに、誰も近づけないなか、この神だけが進み出て素性を問いただしました。

アマテラスはこのときウズメを「おまえは女ではあるが、面と向かって相手に負けない神である」と評しています。力ではなく、場を制する力を買われた神です。

のちにサルタヒコの名を負って猿女君となり、その子孫は宮廷の神事で舞を担いました。

アメノウズメの漢字表記と読み方

読みは「あめのうずめ」です。「ウズ」は髪に挿す飾りを指すとされ、髪飾りをつけて舞う女神という意味に解されます。

のちに猿女君という名を負いますが、これはサルタヒコの名を受け継いだものです。男神の名を女神が負うという珍しい形で、その子孫は代々宮廷の神事に仕えました。

天宇受売命(あめのうずめのみこと)

古事記での表記。

天鈿女命(あめのうずめのみこと)

日本書紀での表記。神社の由緒書ではこちらが多い。

猿女君(さるめのきみ)

サルタヒコの名を負ってからの称。子孫の氏族名にもなった。

おかめ・おたふく()

後世、この神の面が「おかめ」として定着したとされる。

アメノウズメの物語

  1. 天の岩屋戸 ─ 世界が闇に沈む
  2. 舞う ─ 神懸かりして踊る
  3. 光が戻る ─ 笑いが太陽を呼び戻す
  4. サルタヒコとの対面 ─ 唯一近づけた神
  5. 猿女君となる ─ 名を負い、子孫が舞を継ぐ

天の岩屋戸 ─ 世界が闇に沈む

スサノオの乱暴に恐れたアマテラスが天の岩屋戸に隠れると、高天原葦原中国も闇に包まれました。夜が明けず、あらゆる災いが起こります。

八百万の神々は天の安河の河原に集まり、対策を練りました。知恵の神オモイカネが策を立てます。

常世の長鳴鳥を集めて鳴かせ、イシコリドメ八咫鏡を作らせ、勾玉を連ね、榊に掛けてフトダマが捧げ持ち、アメノコヤネが祝詞を唱える。

そして最後に置かれたのが、ウズメの舞でした。

舞う ─ 神懸かりして踊る

ウズメの舞は、古事記に驚くほど具体的に描かれています。

蔓を襷にかけ、笹の葉を手に持ち、岩屋戸の前に桶を伏せて踏み鳴らし、神懸かりして、胸をあらわにし、裳の紐を陰部まで押し下げた。

桶を踏み鳴らすのは、足で拍子を取ることです。日本最初の舞台装置ともいえます。

その姿に、八百万の神々が一斉に笑いました。

高天原が動み、八百万の神が共に笑った。

闇のなかで、神々の笑い声だけが響きました。

光が戻る ─ 笑いが太陽を呼び戻す

外の様子を不審に思ったアマテラスが、戸を細く開けて問いました。

私が隠れて、天も地も闇のはずなのに、なぜウズメは舞い、八百万の神は笑っているのか。

ウズメが答えます。

あなたより貴い神がおいでになったので、喜んで笑っているのです。

そう言いながら、フトダマとアメノコヤネが八咫鏡を差し出しました。

映った自分の姿を別の神だと思ったアマテラスが、もっとよく見ようと身を乗り出した瞬間、タヂカラオが手を取って引き出します。

力ではなく、笑いと好奇心で太陽を引き出した。 これが日本神話における秩序回復の方法です。

サルタヒコとの対面 ─ 唯一近づけた神

天孫降臨のとき、道の分かれ目に異形の神が立ちはだかりました。鼻が長く、目が赤く輝き、上は高天原を下は葦原中国を照らす。神々は誰も近づけません。

アマテラスとタカミムスヒはウズメを呼び、こう命じました。

おまえは女ではあるが、面と向かって相手に負けない神である。行って素性を問いただしなさい。

ウズメが進み出て名を問うと、その神はサルタヒコと名乗り、天孫を先導するために待っていたと答えました。

岩屋戸では笑わせ、ここでは問いただす。 どちらも武力ではなく、場に立って相手を動かす力です。

猿女君となる ─ 名を負い、子孫が舞を継ぐ

降臨を終えたあと、ニニギはウズメにこう命じました。

この神の素性を明らかにしたのはおまえだ。だからおまえが送り届け、その神の名を負って仕えなさい。

こうしてウズメは猿女君という名を負います。男神の名を女神が受け継ぐという、他に例のない形です。

二柱はのちに夫婦になったとも伝えられ、伊勢の猿田彦神社の境内には、ウズメを祀る佐瑠女神社が並んで建っています。

猿女君の子孫は代々宮廷の神事に仕え、舞を担いました。芸能を職とする家系の起源として位置づけられています。

アメノウズメの家系図と家族

アメノウズメの妻・夫: サルタヒコ

アメノウズメの性格と人物像

アメノウズメは、日本神話でもっとも度胸のある神です。

太陽が消えて世界が闇に沈み、八百万の神が途方に暮れている場面で、この神は桶を踏み鳴らして踊りました。深刻な事態に、笑いで応じたわけです。

天孫降臨で誰も近づけない異形の神が現れたときも、進み出たのはこの神だけでした。アマテラスの「面と向かって相手に負けない神」という評は、力の強さではなく、引かない気質を指しています。

日本神話の主要な神が、隠れたり、逃げたり、泣いたりするなかで、この神だけがまっすぐ前に出ます。

世界を救ったのが剣ではなく舞だった、という点は、日本神話の性格をよく表しています。

アメノウズメを祀る神社

ウズメを祀る社は、サルタヒコとあわせて祀られることが多いのが特徴です。伊勢の猿田彦神社と佐瑠女神社、鈴鹿の椿大神社と椿岸神社が代表例です。

また芸能の神という性格から、芸能関係者の奉納が目立つ社が多くあります。

佐瑠女神社(さるめじんじゃ)

猿田彦神社の境内社

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佐瑠女神社の住所: 三重県伊勢市宇治浦田2-1-10

佐瑠女神社の御祭神: 天宇受売命

佐瑠女神社のご利益: 芸能上達・縁結び・良縁

サルタヒコを祀る猿田彦神社の境内に並んで建つ社です。「猿女君」の名にちなんで佐瑠女神社と呼ばれます。

芸能の神として、俳優、歌手、芸人、舞踊家など芸能に携わる人の参拝が絶えません。奉納された提灯には多くの芸能関係者の名が並びます。

サルタヒコとウズメが並んで祀られているという関係が、そのまま境内の配置に表れています。

伊勢神宮内宮から徒歩圏。芸能関係者の奉納提灯が見どころ。

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佐瑠女神社へ参拝するときの、三重県伊勢市の宿を探せます。

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椿岸神社(つばききしじんじゃ)

椿大神社の別宮

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椿岸神社の住所: 三重県鈴鹿市山本町1871

椿岸神社の御祭神: 天之鈿女命

椿岸神社のご利益: 芸能上達・縁結び・夫婦円満

サルタヒコの総本宮である椿大神社の別宮です。ウズメを祀り、芸能の祖神として信仰されています。

社殿の前には「かなえ滝」があり、携帯の待ち受けにすると願いが叶うという評判で知られるようになりました。

本宮のサルタヒコと別宮のウズメを、あわせて参拝するのが習わしです。

本宮の椿大神社は伊勢国一宮。あわせて参拝する人が多い。

周辺の宿をさがす

椿岸神社へ参拝するときの、三重県鈴鹿市の宿を探せます。

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千代神社(ちよじんじゃ)

延喜式内社

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千代神社の住所: 滋賀県彦根市京町2-9-33

千代神社の御祭神: 天鈿女命

千代神社のご利益: 芸能上達・技芸向上

ウズメを主祭神とする古社です。延喜式にも名が見え、古くから祀られてきました。

芸能の神としての信仰が篤く、芸道を志す人の参拝を集めています。地元では「ちよさん」と呼ばれ親しまれています。

井伊直孝が彦根城下に移したと伝わり、現在も彦根の街なかに鎮座しています。

彦根城から徒歩圏。芸事の願掛けで訪れる人が多い。

周辺の宿をさがす

千代神社へ参拝するときの、滋賀県彦根市の宿を探せます。

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アメノウズメが現代に残した痕跡

アメノウズメの名は、芸能の始まりとして残りました。

神楽の起源: 天岩戸の前で舞った場面が、神楽の始まりとされる。全国の神社で奉納される神楽はこの系譜。

猿女君: この神の子孫とされる氏族が、宮中の神事で舞を担った。芸能を職掌とする家の始まり。

おかめ・お多福: ふくよかな女性の面は、この神の姿を写したものとされる。狂言や祭でいまも使われる。

椿大神社の別宮: 三重県鈴鹿市。サルタヒコを祀る本社の別宮に、この神が祀られている。夫婦とされるため。

アメノウズメのご利益

芸能上達・技芸向上

岩屋戸の前で舞った故事による。芸能関係者の信仰が篤い。

縁結び・夫婦円満

サルタヒコと夫婦になったという伝えによる。

開運・厄除け

闇を晴らして光を取り戻した故事による。

人間関係の改善

場を和ませ、相手に臆せず向き合った性格による。

アメノウズメが登場するゲーム・アニメ

アメノウズメが登場するゲーム

女神転生シリーズ

芸能の女神として登場します。

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モンスターストライク

日本神話シリーズの一柱として実装されています。

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アメノウズメが登場するアニメ・漫画・芸能

天岩戸を扱った作品

岩屋戸の場面は日本神話でもっとも絵になる場面のひとつで、この神の舞が中心に描かれます。

おかめの面

福を招く面として定着した「おかめ」は、この神の姿に由来するとされます。神楽や狂言でも用いられます。

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アメノウズメについてよくある質問

アメノウズメは何の神様ですか。

芸能の神です。天の岩屋戸の前で舞い、アマテラスを外へ導いた故事から、神楽や舞の祖神とされます。

アメノウズメはどんな踊りをしたのですか。

桶を伏せて踏み鳴らし、神懸かりして踊りました。胸をあらわにし、裳の紐を押し下げたと古事記は記します。その姿に八百万の神が一斉に笑いました。

アメノウズメとサルタヒコの関係は。

天孫降臨で道を塞ぐサルタヒコに、誰も近づけないなかウズメだけが進み出て素性を問いました。その縁でのちに夫婦になったと伝えられます。

猿女君とは何ですか。

ウズメがサルタヒコの名を負って得た称号です。その子孫は代々宮廷の神事に仕え、舞を担いました。

アメノウズメを祀る神社はどこですか。

三重県伊勢市の佐瑠女神社、鈴鹿市の椿岸神社、滋賀県彦根市の千代神社が代表です。

アメノウズメと併せて覚えたい言葉・用語

天の岩屋戸(あまのいわやと)

アマテラスが閉じこもった岩の洞窟。太陽が隠れて世界が闇になった。

天孫降臨(てんそんこうりん)

アマテラスの孫ニニギが高天原から地上へ降りたこと。

葦原中国(あしはらのなかつくに)

高天原と黄泉の国の間にある地上の世界。のちの日本の国土にあたる。

高天原(たかまがはら)

天上にある神々の国。アマテラスが治める。