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日本神話

アマツヒコネ(天津日子根命)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

天津日子根命  / アマツヒコネノミコト

太陽 天津神

誓約で生まれた五男神の三番目。多くの地方豪族の祖とされる。

アマツヒコネとは何の神様か

アマツヒコネはひとことで言えば豪族の祖です。アマテラススサノオ誓約で生まれた五男神のうち、三番目にあたります。

古事記に事績はありません。しかし系譜だけが異様に長いのが特徴です。

十以上の地方豪族が、この神を祖と称しています。物語を持たないまま、多くの一族の起点として機能しました。

アマツヒコネの漢字表記と読み方

読みは「あまつひこね」です。「アマツ」は天の「ヒコ」は男神「ネ」は親しみを込める語尾です。

つまり天の男神という、ほとんど内容のない名です。

五男神のうち三柱が「〜ヒコネ」という同じ形の名を持ちます。アマツヒコネ、イクツヒコネ、そしてアメノホヒの子アメノヒナドリも近い形です。個別の神格ではなく、系列としてまとめて作られた可能性が指摘されています。

天津日子根命(あまつひこねのみこと)

古事記での表記。

天津彦根命(あまつひこねのみこと)

日本書紀での表記。

アマツヒコネの物語

  1. 誓約で生まれる
  2. 十以上の一族の祖
  3. なぜ物語のない神が祖なのか
  4. 多度大社と天目一箇神

誓約で生まれる

スサノオが高天原に来たとき、アマテラスは武装して迎えました。攻めてきたのか、そうでないのかを確かめるため、誓約(うけい)を行います。

アマテラスがスサノオの剣を噛み砕いて吹くと、三柱の女神が生まれました。

スサノオがアマテラスの勾玉を噛み砕いて吹くと、五柱の男神が生まれました。

1. アメノオシホミミ
2. アメノホヒ
3. アマツヒコネ
4. イクツヒコネ
5. クマノクスビ

このうち三番目がアマツヒコネです。

十以上の一族の祖

古事記は、アマツヒコネの子孫としてこれだけの氏族を挙げます。

凡川内国造・額田部湯坐連・木国造・倭田中直・山代国造・馬来田国造・道尻岐閇国造・周芳国造・倭淹知造・高市県主・蒲生稲寸・三枝部造

十二の氏族です。

五男神のうち、これほど多くの一族の祖とされるのはこの神だけです。

国造(くにのみやつこ)は、大和政権が地方に置いた官職です。その多くが、この神を共通の祖としたことになります。

なぜ物語のない神が祖なのか

アマツヒコネには物語がありません。それでいて多くの一族が祖と称しました。

物語がないほうが、都合がよい。

事績のある神を祖とすると、その神の性格に縛られます。出雲の神を祖とすれば出雲系、海の神を祖とすれば海人系と見なされます。

しかし「天から生まれた」という以外に何もない神なら、どの一族が名乗っても差し支えありません。

系譜を天につなぐための、中身のない結節点として使われたと考えられています。

多度大社と天目一箇神

アマツヒコネは、三重の多度大社の主祭神です。

多度大社は北伊勢大神宮とも呼ばれ、伊勢神宮と深い関わりを持ちました。

お伊勢参らばお多度もかけよ、お多度かけねば片参り。

そう謳われたほど、伊勢参りとあわせて参られた社です。

また、天目一箇神(あめのまひとつのかみ)の父とされます。天目一箇神は鍛冶の神で、片目の神として知られます。片目は、高温の炎を見続ける鍛冶職人の職業病に由来するとする説があります。

アマツヒコネの家系図と家族

アマツヒコネの親: アマテラス誓約で成るスサノオ玉から成る

アマツヒコネのきょうだい: アメノホヒ五男神イクツヒコネ五男神

アマツヒコネの子・子孫: 天目一箇神

アマツヒコネの性格と人物像

アマツヒコネは、機能としての神です。

性格も逸話もありません。あるのは長い系譜だけです。しかしその系譜こそが、この神の役割でした。

古代において、系譜は身分そのものでした。天につながる祖を持つことが、一族の地位を保証しました。

物語を持たないことで、誰でも名乗れる祖になりました。日本神話には、こうした「系譜専用の神」が少なくありません。

アマツヒコネを祀る神社

アマツヒコネを祀る社は、三重の多度大社が中心です。

多度大社は北伊勢大神宮とも呼ばれ、伊勢参りとあわせて参られました。

この神を祖と称した十二の氏族の本拠地にも、関連する社が点在します。河内・紀伊・山城・周防など、分布は広い範囲に及びます。

多度大社(たどたいしゃ)

北伊勢大神宮

地図で開く

多度大社の住所: 三重県桑名市多度町多度1681番地

多度大社の御祭神: 天津彦根命

多度大社のご利益: 厄除け

「お伊勢参らばお多度もかけよ」と謳われた社。

上げ馬神事で知られる。

周辺の宿をさがす

多度大社へ参拝するときの、三重県桑名市の宿を探せます。

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アマツヒコネが現代に残した痕跡

アマツヒコネの名は、系譜に残りました

国造: 大和政権が地方に置いた官職。多くがこの神を祖と称した。

上げ馬神事: 多度大社の行事。馬が急坂を駆け上がる。

アマツヒコネのご利益

厄除け

多度大社の主祭神として広く信仰されたことによる。

産業守護

鍛冶の神である天目一箇神の父とされることによる。

雨乞い

多度大社で雨乞いの祈願が行われてきたことによる。

アマツヒコネについてよくある質問

アマツヒコネとはどんな神様ですか。

アマテラスとスサノオの誓約で生まれた五男神の三番目です。古事記に事績はありませんが、十二の地方豪族の祖とされています。

なぜ物語がないのに祖とされたのですか。

確かなことは分かっていません。性格の定まっていない神のほうが、どの一族でも名乗りやすかったとする見方があります。

どこに祀られていますか。

三重県桑名市の多度大社が主な社です。「お伊勢参らばお多度もかけよ」と謳われ、伊勢参りとあわせて参られました。

アマツヒコネと併せて覚えたい言葉・用語

誓約(うけい)

神意を問うための占い。あらかじめ結果の意味を決めておき、どちらが起きるかで是非を判断する。

高天原(たかまがはら)

天上にある神々の国。アマテラスが治める。