誓約で生まれた五男神の四番目。記紀に事績がない。
イクツヒコネとは何の神様か
イクツヒコネの漢字表記と読み方
読みは「いくつひこね」です。「イク」は活きる、「ツ」は〜の、「ヒコネ」は男神を指します。
活き活きとした天の男神という意味に読めますが、その内容を裏づける記述はありません。
兄のアマツヒコネと名の形がほとんど同じです。「アマツ(天の)」と「イクツ(活きる)」が入れ替わっているだけで、対になる名として作られたと考えられています。
活津日子根命(いくつひこねのみこと)
古事記での表記。
活津彦根命(いくつひこねのみこと)
日本書紀での表記。
イクツヒコネの物語
五男神のなかの空白
なぜ五柱でなければならなかったか
誓約では、女神が三柱、男神が五柱生まれます。
三柱 ─ 宗像三女神。海の道を守る。
五柱 ─ 天津神?の男神。
三と五という数は、古代の祭祀でよく使われる数です。奇数は縁起がよいとされました。
五柱という数を揃えるために、内容のない神が置かれたと見る説があります。
名を並べると、アマツヒコネとイクツヒコネが対になっており、数合わせの跡が読み取れます。
祀られている場所
事績がないにもかかわらず、この神を祀る社は各地にあります。
滋賀の日雲神社、三重の御門神社など、五男神をまとめて祀る形が多く見られます。
五柱そろって祀る。
個別の神格として信仰されたというより、誓約で生まれた一組として扱われたと考えられます。
単独で主祭神とする社は、ごくわずかです。
書かれなかった神
日本神話には、名前だけの神が数多くいます。
古事記に登場する神は約320柱とされますが、そのうち物語を持つのは一部にすぎません。大半は系譜の一行として現れ、二度と出てこない神です。
名を記す。それだけで意味があった。
古代において、名を記録に残すことは、その存在を確定させることでした。
イクツヒコネは、その最もはっきりした例といえます。
イクツヒコネの家系図と家族
イクツヒコネの性格と人物像
イクツヒコネは、性格を語れない神です。
物語も、事績も、子孫も伝わっていません。分かるのは、アマテラスとスサノオの誓約から生まれたということだけです。
しかしそのことが、かえってこの神を興味深いものにしています。
神話は、すべての登場人物に役割を与えるわけではありません。役割のない神がいるということ自体が、神話が人の手で編まれたものであることを示しています。
イクツヒコネを祀る神社
イクツヒコネを単独で祀る社は、ごくわずかです。
多くは五男神をまとめて祀る形で名が挙がります。滋賀・三重・京都などに例があります。
事績のない神が、それでも祀られ続けたことに意味があります。名が記録に残った以上、祀るべき神として扱われました。
イクツヒコネが現代に残した痕跡
イクツヒコネの名は、記録の中だけに残りました。
古事記: 誓約の場面に名が現れる。それ以降の記述はない。
五男三女神: 誓約で生まれた八柱の総称。まとめて祀られることが多い。
イクツヒコネのご利益
厄除け
五男神をまとめて祀る社での祈願による。
イクツヒコネについてよくある質問
イクツヒコネとはどんな神様ですか。
アマテラスとスサノオの誓約で生まれた五男神の四番目です。記紀に事績がまったくなく、五柱のうちもっとも記述が少ない神です。
なぜ何も書かれていないのですか。
理由は分かっていません。五柱という数を揃えるために置かれたとする説があります。兄のアマツヒコネと名の形がほとんど同じである点も、その根拠とされます。
祀っている神社はありますか。
五男神をまとめて祀る形で名が挙がる社が各地にあります。単独で主祭神とする社はごくわずかです。
イクツヒコネと併せて覚えたい言葉・用語
誓約(うけい)
神意を問うための占い。あらかじめ結果の意味を決めておき、どちらが起きるかで是非を判断する。
天孫降臨(てんそんこうりん)
アマテラスの孫ニニギが高天原から地上へ降りたこと。
天津神(あまつかみ)
高天原に生まれた、あるいは高天原から降りてきた神々。