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日本神話

祓戸大神(はらえどのおおかみ)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

祓戸大神  / ハラエドノオオカミ

天津神

祓を司る神々の総称。大祓詞では四柱が罪穢を流し、呑み、吹き、消す。

ハラエドノオオカミとは何の神様か

祓戸大神はひとことで言えば穢れを消す仕組みそのものです。祓戸とは祓を行う場所のことで、そこに祀られる神という意味になります。

神職が祭祀の前に唱える祓詞では、イザナギが筑紫の日向でをしたときに生まれた神々を指します。

延喜式の大祓詞に見える四柱を指すこともあり、こちらは罪穢が消えるまでの四段の手順を、そのまま四柱の神の名で語ります。

ハラエドノオオカミの漢字表記と読み方

読みは「はらえどのおおかみ」です。「ハラエ」は祓「ド(戸・所)」は場所を指します。

祓を行う場所の神という、位置から付けられた名です。

個々の神の名ではなく、働きの場が神の名になっている点が特徴です。

祓詞では「祓戸大神等(たち)」と複数形で呼ばれます。はじめから一柱ではないことが、言葉の形に残っています。

祓戸大神(はらえどのおおかみ)

祓詞での呼び名。

祓戸神(はらえどのかみ)

短く呼ぶ形。

祓戸四神(はらえどよんしん)

大祓詞の四柱を指すときの呼び名。

祓所(はらえど)

祓を行う場所を指す語。神名の由来。

ハラエドノオオカミの物語

  1. 四柱が受け持つ四つの段
  2. 記紀に名が見えない神々
  3. 本居宣長の当てはめ
  4. 祓詞と大祓詞は別のものを指す

四柱が受け持つ四つの段

大祓詞は、罪や穢れが消えていく道筋を四つに分けて語ります。

瀬織津比売 ─ 川から海へ流す。
速開都比売 ─ 河口や海の底で待ち構え、呑み込む。
気吹戸主 ─ 呑み込まれたのを見て、根の国へ息を吹き送る。
速佐須良比売 ─ 根の国でさすらわせ、失わせる。

流す・呑む・吹く・消す。四つの動作が順につながっています。

消えるまでを一柱で担わせず、受け渡していく形にしたところに、この祝詞の特徴があります。

記紀に名が見えない神々

この四柱のうち、記紀に名が出てくるのは一柱だけです。

速開都比売 ─ 古事記の速秋津比売にあたる。
他の三柱 ─ 記紀に見えない。

祝詞研究の青木紀元は、他の三柱について、大祓詞の文章の綾とともに生まれた観念的な神々であり、宗教的というより文芸的な性格が強い、と述べています。

つまり、祝詞を書くなかで生まれた神である可能性が高いということです。

記紀のどの神にあたるかについては古くから議論があり、決着していません。

本居宣長の当てはめ

江戸時代の本居宣長は、四柱を記紀の神に当てはめようとしました。

瀬織津比売 ─ 八十禍津日神。
速開都比売 ─ 伊豆能売。
気吹戸主 ─ 神直日神。
速佐須良比売 ─ 須勢理毘売命。

ただしこれは当てはめであって、同じ神だと決まったわけではありません。

吉田神道の中臣祓抄では、速佐須良比売をスサノオの別名とします。中臣祓訓解や倭姫命世記は、気吹戸主を神直日神・大直日神と同じ神とします。

読む人ごとに答えが違うという状態が、いまも続いています。

祓詞と大祓詞は別のものを指す

同じ「祓戸大神」でも、どの祝詞で言うかによって指す相手が変わります。

祓詞 ─ イザナギの禊で生まれた神々全体。
大祓詞 ─ 瀬織津比売ら四柱。

ややこしいのは、禊のときにはほかにも多くの神が生まれている点です。禍津日神直毘神綿津見三神住吉三神、そして三貴子

しかし祓詞では、これらを祓戸大神に含めません。

祓を担う神だけが選び出されている、ということになります。

ハラエドノオオカミの家系図と家族

ハラエドノオオカミの親: イザナギ禊より成る

ハラエドノオオカミの性格と人物像

祓戸大神は、顔を持たない神です。

物語がありません。事績もありません。あるのは役割だけです。流す、呑む、吹く、失わせる。四つの動作が順に並んでいるだけです。

それでも、日本の神社で毎日いちばん多く名を呼ばれている神のひとつです。

祭祀の前には必ず祓が行われ、そのたびに祓詞が唱えられます。物語を持たないまま、実務のなかで生き続けた神といえます。

ハラエドノオオカミを祀る神社

祓戸大神を祀る社としては、滋賀県大津市の佐久奈度神社がよく知られます。天智天皇八年、中臣金が祓戸の神を祀ったのが始まりと伝えられ、瀬織津姫・速秋津姫・気吹戸主・速佐須良姫の四柱を祀ります。

多くの神社では、境内の一角に祓戸社として小さく祀られます。

参拝の順路として、まず祓戸社で身を清めてから本殿へ向かうという作法を案内する社もあります。

大神神社(おおみわじんじゃ)

大和国一宮

地図で開く

大神神社の住所: 奈良県桜井市三輪1422

大神神社の御祭神: 大物主大神

大神神社のご利益: 厄除け

摂社の綱越神社が祓戸大神を祀る。おんぱら祭で知られる。

周辺の宿をさがす

大神神社へ参拝するときの、奈良県桜井市の宿を探せます。

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ハラエドノオオカミが現代に残した痕跡

祓戸大神の名は、祝詞のなかに残りました

大祓詞: 六月と十二月の晦日に唱えられる祝詞。四柱の役割が記される。

祓詞: 祭祀の前に唱える短い祝詞。祓戸大神等に祈る。

夏越の祓: 六月晦日の行事。茅の輪をくぐって半年の穢れを祓う。

ハラエドノオオカミのご利益

厄除け

罪穢を祓う働きによる。

心身清浄

祭祀の前に必ず祓を行うことによる。

ハラエドノオオカミについてよくある質問

祓戸大神とはどんな神様ですか。

祓を司る神々の総称です。大祓詞では瀬織津比売・速開都比売・気吹戸主・速佐須良比売の四柱を指し、罪穢を流し、呑み、吹き、消す働きを分担します。

一柱の神ではないのですか。

一柱ではありません。祓詞では「祓戸大神等」と複数形で呼ばれます。四柱を指す場合と、イザナギの禊で生まれた神々全体を指す場合があります。

なぜ記紀に名が見えないのですか。

四柱のうち記紀に対応が見えるのは速開都比売だけです。他の三柱は大祓詞の文章のなかで生まれた神である可能性が指摘されています。

ハラエドノオオカミと併せて覚えたい言葉・用語

(みそぎ)

水で身を洗い、穢れを落とすこと。イザナギはこれによって三貴子を生んだ。

根の国(ねのくに)

地の底にあるとされる国。スサノオが最終的に治める。黄泉の国と同一視されることもある。

三貴子(さんきし)

イザナギが最後に生んだ三柱、アマテラス・ツクヨミ・スサノオのこと。この三柱だけが特別に貴い神として扱われる。