イザナギとイザナミが生んだ野の神。別名を野椎神という。
カヤノヒメとは何の神様か
カヤノヒメの漢字表記と読み方
読みはかやのひめのかみです。別名の野椎神は一般にのづちのかみと読みます。「野ツ霊」、すなわち野の精霊と解する説があります。
後世の妖怪「野槌」やツチノコとのつながりを語る説話はありますが、古事記の野椎神が妖怪へ零落したと確定する資料ではありません。神話・民俗説・現代の創作を分けて扱います。
鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)
古事記での表記。
野椎神(のづちのかみ)
古事記に併記される別名。
草祖草野姫(くさのおやかやのひめ)
日本書紀での表記。「草の祖」とされる。
カヤノヒメの物語
古事記で確認できる親子関係
カヤノヒメと野槌・ツチノコの関係
「野椎」と「野槌」の音が近いため、野を転がる蛇状の妖怪やツチノコの源流として紹介されることがあります。しかし、古事記は姿を蛇とも槌とも記しません。
民俗学的な関連説は検索者の関心に答える材料ですが、同一の存在と断定できる話ではないと明示します。妖怪図鑑側へ内部リンクする場合も「関連説」としてつなぎます。
草野姫・野椎神という別名
古事記は鹿屋野比売神を野の神、日本書紀は草の祖・草野姫と表現します。茅は屋根材や祭具に使われ、野は生活資源を得る重要な空間でした。
名前の違いは別人を意味するのではなく、草そのものと草が生える野のどちらに焦点を当てるかの違いとして整理できます。
オオヤマツミとの間に生まれた八柱
古事記に並ぶのは、天之狭土神・国之狭土神、天之狭霧神・国之狭霧神、天之闇戸神・国之闇戸神、大戸惑子神・大戸惑女神です。天と国、男と女のような対を作る名称が続きます。
山と野に「因りて持ち別けて」生んだ文の主語には読みの議論がありますが、少なくともククノチとの八柱ではないことは本文から確認できます。
カヤは茅葺きだけを指すか
「カヤ」はススキ・チガヤ・スゲなど、屋根葺きに用いる草の総称として使われます。特定の一種の植物名だけではありません。古代には屋根材、敷物、祭具など生活を支える素材でした。
カヤノヒメを単なる「雑草の神」とみると、管理された野から人が得ていた多様な資源という背景を落としてしまいます。
カヤノヒメの家系図と家族
カヤノヒメの性格と人物像
カヤノヒメは、足元の神です。
木のように目立つものではなく、地面を覆う草を担当します。名になった萱も、屋根や飼料という地味だが欠かせない用途を持つ植物です。
そして後世、妖怪の名にもなりました。祀られなくなった神がどうなるかを示す例として、しばしば取り上げられます。
カヤノヒメを祀る神社
和歌山県の伊太祁曽神社の主祭神は五十猛命で、カヤノヒメ本人の代表社ではありません。草木の神という共通点だけで祭神を置き換えないため、従来の神社カー?ドを外しました。
カヤノヒメが現代に残した痕跡
カヤノヒメの名は、妖怪と地名に残りました。
野槌(のづち): 槌のような姿の蛇とされる妖怪。別名の野椎神が零落したものとする説がある。
茅場(かやば): 萱を刈るための土地。東京の茅場町など、地名に残る。
カヤノヒメのご利益
草原・萱・野を名に持つため草木や農業と結びつけられますが、古事記は具体的な祈願を記しません。祭神としての現在の祈願内容を確認できないものは、ご利益にしません。
カヤノヒメについてよくある質問
カヤノヒメとククノチは夫婦ですか。
古事記はそのように記しません。八柱を生む相手は山の神オオヤマツミです。ククノチは直前に生まれる木の神です。
カヤノヒメと野椎神は同じ神ですか。
同じ神です。古事記が鹿屋野比売神の別名を野椎神と明記しています。日本書紀では草野姫とも記されます。
カヤノヒメはツチノコの正体ですか。
確定していません。野椎と野槌の音から関連づける説はありますが、古事記は蛇状の姿や妖怪への変化を記しません。
カヤノヒメの子は誰ですか。
古事記ではオオヤマツミとともに、天之狭土・国之狭土、天之狭霧・国之狭霧、天之闇戸・国之闇戸、大戸惑子・大戸惑女の八柱を生みます。
カヤノヒメは草の神ですか、野の神ですか。
古事記では野の神、日本書紀では草の祖・草野姫とされます。茅などの草と、それが生える野の両面に関わる神として理解できます。
カヤノヒメと併せて覚えたい言葉・用語
カー(kꜣ/生命力)
人と一緒に生まれ、死後も供物を受け取る生命力。クヌムがろくろで人を作るとき、肉体とカーの二体を同時に形作った。