東を守る青い竜。春と木にあてられ、四神の筆頭に置かれる。
青竜とは何の神様か
青竜はひとことで言えば東の空の星をつないだ竜です。
四神の一つで、東・春・青・木を受け持ちます。蒼竜とも呼ばれます。
もとは星の姿です。二十八宿のうち東の空に並ぶ七つの星宿(角・亢・氐・房・心・尾・箕)を線でつなぐと竜の形に見える。天文の区分が、そのまま神獣になりました。
中央に黄、北に黒、東に青、西に白、南に赤。
五行説がこう色を割り当てたことで、東と青竜が結び付きました。四神の信仰は、五行説の影響を受けながら戦国時代ごろに形になったと考えられています。
「青」はもともと緑を指す色でした。 青山・青林のように草木の色を表す語です。春を「青春」と呼ぶのも同じ流れにあります。
道教で人格神とされたときの名は孟章で、竜族の始祖とされました。
青竜の漢字表記と読み方
日本語ではせいりゅう、またはしょうりゅうと読みます。
表記は「青竜」と「青龍」の両方が使われます。龍が正式な字で、竜はその略した字です。
「青」の原義は緑です。 青山・青林のように、草木の色を表す語でした。現代の日本語で青が藍色を指すことが多いため、緑がかった竜として描かれる例に驚くことがありますが、原義に照らせばそちらが本来の姿です。
蒼竜という呼び名も同じで、「蒼」は青緑を指します。
俳句では、春の季語青帝(蒼帝)がこの神獣と同じものを指します。
青龍(せいりゅう)
正式な表記。「しょうりゅう」とも読む。旧字体では「靑龍」と書く。
蒼竜(そうりゅう)
同じ神獣の別の呼び名。「蒼」も青緑を指す。
孟章(もうしょう)
道教で人格神とされたときの名。神君の号が添えられる。
青竜の物語
星をつないで竜にする
青竜のはじまりは、空にあります。
中国の天文では、月の通り道を二十八に分けた二十八宿という区分がありました。その二十八を七つずつ四組に分け、それぞれを四神の名で呼びます。
東の七宿は、角・亢・氐・房・心・尾・箕。これを線でつなぐと、
角が角、心が心臓、尾が尾。
竜の形になります。名前そのものが、竜の体の部位です。
心宿の中心にある赤い星は、西洋の星座ではさそり座のアンタレスにあたります。日本では「あかぼし」とも呼ばれてきました。
四神は、想像された獣が先にあったのではなく、星の並びに形を見たものだと考えられています。 白虎・朱雀・玄武も同じ成り立ちです。
星が先で、神が後。これが四神を理解するうえでの土台になります。
五行と結び付く ─ 東・春・木
星の並びに色と方角を与えたのは、五行説です。
万物は木・火・土・金・水の五つからなるとする考え方で、それぞれに方角と色と季節が割り当てられました。
東は木、色は青、季節は春。
青竜がこの枠に入ります。木は芽吹くもの、春は始まりの季節、青(緑)は草木の色。すべてが一本につながります。
四神の信仰がまとまったのは戦国時代ごろとされ、漢代には墓の壁や瓦、鏡の背に盛んに描かれるようになりました。
これが朝鮮半島を経て日本にも伝わります。
明日香村のキトラ古墳では、石槨の東の壁に青竜が描かれています。奈良の薬師寺金堂の本尊台座にも四神がそろっています。描かれた場所が「東の壁」であることが、この神獣の意味そのものです。
いまも使われる名前
青竜の名は、神獣としてよりも言葉として広く残りました。
日本の地名・山号がその代表です。青龍山を山号とする寺は各地にあり、宮城の瑞巌寺、群馬の茂林寺、東京の林泉寺など、宗派を越えて用いられています。
武器の名としても知られます。青龍偃月刀は、関羽が持ったとされる大刀の名です。ただしこれは『三国志演義』の中の設定で、後漢の実物としては確かめられていません。
漢方には小青竜湯という処方があります。
神獣の名が、薬の名にまでなっている。
四神の中で、青竜がもっとも幅広く名前を貸してきました。 東・春・始まりという意味が、めでたい名として使いやすかったためと考えられます。
風水の四神相応でも、東を流れる川が青竜にあたるとされます。
青竜の家系図と家族
青竜の性格と人物像
青竜には、性格を語る物語がほとんどありません。
黄帝には戦いがあり、女媧には創造があり、九尾の狐には変身があります。青竜にはそれがない。東を守っている、という一点だけです。
これは資料が乏しいのではなく、四神がそういう存在だからです。四神は物語の登場人物ではなく、世界を四つに区切るための印として作られました。
東に青竜、南に朱雀、西に白虎、北に玄武。
この並びが揃っていることに意味があり、一柱ずつの事績は必要とされませんでした。
それでも青竜には、他の三神にない広がりがあります。竜という、中国でもっとも重い意味を持つ生き物の姿をしているからです。竜は皇帝の象徴であり、水を司り、天に昇ります。
道教が青竜を孟章という人格神とし、竜族の始祖としたのも、この重みゆえでしょう。印でありながら、印に収まりきらない。 それが青竜の位置です。
青竜ゆかりの地と遺跡
青竜だけを祀る廟の住所を、一次情報で確かめられませんでした。 そのため、この欄には何も入れていません。
四神は、単独で祀られるより四つそろえて描かれることのほうが多い神獣です。日本では、明日香村のキトラ古墳の石槨の東壁と、奈良の薬師寺金堂の本尊台座に姿が残ります。神田明神や秩父神社など、四神の彫像や絵を掲げる社も各地にあります。
ただし、これらは「青竜を祀る社」ではなく「青竜が描かれている場所」です。 区別して扱う必要があるため、欄には入れていません。
青竜が現代に残した痕跡
青竜の名は、地名・武器・薬に残りました。
青龍偃月刀: 関羽が持ったとされる大刀の名。『三国志演義』の中の設定で、後漢の実物としては確かめられていない。
小青竜湯: 漢方の処方の名。神獣の名が薬の名に用いられた例。
青龍山: 寺の山号として各地で用いられる。宮城の瑞巌寺、群馬の茂林寺などが知られる。
青春: 青は東と春の色。若い時期を指す語は、この結び付きから生まれた。
青竜のご利益
方位除け
東を守る神獣として、方角にまつわる災いを避ける願いを受ける。
開運
春と始まりを司ることから、物事の始まりを助けるとされる。
家宅守護
四神相応の考え方で、東の守りとして家と土地を守るとされる。
水の恵み
竜は水を司る生き物とされ、雨と水の恵みに結び付けられる。
青竜が登場するゲーム・アニメ
創作では、四神は「四体そろえる」ことに意味を持たされます。 一体ずつの性格より、東西南北がそろうことが重んじられるのは、原典と同じ扱い方です。
青竜はその中で、多くの場合筆頭に置かれます。竜という生き物の重みが、そのまま順序に出ています。
青竜が登場するゲーム
陰陽師や式神を題材にした作品
四神は召喚される存在として定番になっています。
青竜が登場するアニメ・漫画
四神を題材にした作品群
四人の守護者に四神を割り当てる構成が、繰り返し用いられています。
陰陽道を扱う作品
平安京の方位の守りとして、四神がそろって描かれます。
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青竜についてよくある質問
青竜は何の神様ですか。
東を守る神獣です。四神の一つで、春・青・木を受け持ちます。もとは東の空に並ぶ七つの星宿を竜の形に見立てたもので、五行説と結び付いて東と青が定まりました。
なぜ「青」なのに緑色に描かれるのですか。
「青」の原義が緑だからです。青山・青林のように草木の色を表す語で、五行では東の色にあてられます。春を「青春」と呼ぶのも同じ流れです。
青竜はどこで見られますか。
明日香村のキトラ古墳の石槨の東の壁と、奈良の薬師寺金堂の本尊台座に描かれています。神田明神や秩父神社など、四神の彫像や絵を掲げる社も各地にあります。
青竜と青龍偃月刀は関係がありますか。
名前を借りたものです。関羽が持ったとされる大刀ですが、これは『三国志演義』の中の設定であり、後漢の実物としては確かめられていません。