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中国神話

麒麟とは何の神様か|家系図・物語

麒麟  / キリン

大地 瑞獣

徳のある世にだけ現れる一角の獣。生き物を踏まないほど優しいとされる。

麒麟とは何の神様か

麒麟はひとことで言えば傷つけないことが尊い獣です。

四霊の一つ。聖人の世にだけ現れるとされ、鳥の長である鳳凰と対で語られます。

姿は鹿に似て背が高く、顔は竜に似て、牛の尾と馬のひづめを持ち、頭に角があります。背の毛は五色に彩られ、体には鱗があるとされます。

生きた草を踏まず、生きた虫を踏まない。

強いのではなく、傷つけないことが尊い。 これが麒麟という獣の性格をすべて表しています。罠にかけることはできず、傷つけたり死骸に出くわしたりするのは不吉とされました。

「麒」が雄、「麟」が雌とされます。

日本語で首の長い動物を「キリン」と呼ぶのは、この獣の名を当てたものです。 明の鄭和が東アフリカから連れ帰った動物を麒麟に見立てた話が伝えられ、日本語の呼び名は明治時代の訳語の選定でこの字が採られました。

麒麟の漢字表記と読み方

日本語ではきりんと読みます。

同じ音で「騏驎」という別の語があります。 こちらは足の速い名馬を指し、一日に千里を走るとされました。「騏驎も老いては駑馬に劣る」ということわざの騏驎は、こちらです。獣の麒麟とは別のものなので、混同しないよう注意が要ります。

首の長い動物を「キリン」と呼ぶのは日本語と朝鮮語だけで、中国語では「長頸鹿」(長い首の鹿)と呼びます。

麒麟には色による種類もあるとされ、青いものを聳孤、赤いものを炎駒、白いものを索冥、黒いものを角端、黄色いものを麒麟と呼びます。

麒麟(きりん)

一般的な表記。「麒」が雄、「麟」が雌とされるが、通常は二字で一つの獣を指す。

獲麟(かくりん)

『春秋』の記述が終わる場面の呼び名。麒麟が捕らえられた出来事を指す。

騏驎(きりん)

足の速い名馬を指す語。鹿の偏を馬に変えた別の字で、獣の麒麟とは別のもの。

麒麟の物語

  1. 踏まない獣 ─ 殺生を嫌う
  2. 獲麟 ─ 孔子が筆を擱いた日
  3. キリンという名 ─ 鄭和とアフリカ

踏まない獣 ─ 殺生を嫌う

麒麟を語るとき、最初に出るのがこの一句です。

足元の虫や草を踏むことさえ恐れる。

性質は非常に穏やかで優しく、殺生を嫌うとされます。角の先には肉がついていて、それは相手を傷つけないためだと説明されます。

神聖な幻の獣と考えられており、動物を捕らえる罠にかけることはできません。 麒麟を傷つけたり、死骸に出くわしたりすることは、不吉なこととされました。

『礼記』は、王が仁のある政治を行うときに現れる神聖な生き物とし、鳳凰・霊亀・応竜とともに四霊と総称しています。

現れること自体が、政治への評価になる。 麒麟が姿を見せたという記録は、しばしば王朝の正しさを示す証拠として用いられました。

幼くして優れた才を示す子どもを「麒麟児」と呼ぶのも、この獣の尊さによります。

獲麟 ─ 孔子が筆を擱いた日

麒麟のもっとも有名な場面は、捕らえられたときです。

孔子が編んだとされる歴史書『春秋』は、ある出来事をもって記述を終えています。

聖人のいない、泰平とは言えない時代に麒麟が現れた。 捕らえた人々は麒麟を知らず、気味悪がって打ち捨ててしまった。

これを知った孔子は深く落胆し、筆を擱いたとされます。この場面を獲麟といい、そこで『春秋』は終わります。

現れるべきでない時に現れ、誰にも分かってもらえなかった。 孔子自身の境遇と重ねて読まれてきました。

「獲麟」は、物事の終わりを指す語として日本語にも入っています。

後世には、孔子の誕生の際にも麒麟が現れたという伝えが加えられました。生まれるときにも、書き終えるときにも麒麟がいる。孔子の生涯を挟む獣として語られています。

キリンという名 ─ 鄭和とアフリカ

日本語で首の長い動物を「キリン」と呼ぶのには、経緯があります。

明の鄭和は、宝船の艦隊を率いて七度にわたり南海へ航海しました。その途上、東アフリカから首の長い動物を持ち帰り、永楽帝に献上したと伝えられます。

伝説の麒麟に姿が似ていた。 現地の言葉で「首の長い草食動物」を指す語の音にも似ていた。

そのため「実在の麒麟」として珍重されたと言われます。ただし、この話の信憑性ははっきりしていません。

日本語の呼び名が定まったのは、はるか後です。明治時代、田中芳男ら博物学者による訳語の選定の中で「麒麟」が案として出され、最終的に採用されました。

中国語では「長頸鹿」と呼び、麒麟とは呼びません。この字を当てたのは日本語と朝鮮語だけです。

ビールの銘柄に麒麟の名が使われたのも、めでたい獣としての性格によります。

麒麟の家系図と家族

麒麟のきょうだい: 鳳凰四霊として対で語られる

麒麟の性格と人物像

麒麟の性格は、「何もしないことが最大の働き」という点にあります。

戦いません。争いません。虫も草も踏みません。捕らえることもできません。

それでいて、麒麟が現れることには最大級の意味があります。王に徳があるという証明だからです。

何かをするのではなく、いることによって示す。

これが麒麟という獣の働き方です。

興味深いのは、現れ方を選べないことです。獲麟の場面では、聖人のいない時代に現れてしまい、誰にも分かってもらえずに打ち捨てられました。

尊いものが、時を誤ると顧みられない。 孔子がこの場面で筆を擱いたのは、それを自分のこととして受け取ったからだと読まれてきました。

角の先に肉がついているという記述も見逃せません。武器を持ちながら、それを使えないようにしてある。 麒麟という獣の全部が、この一点に凝縮されています。

麒麟ゆかりの地と遺跡

麒麟だけを祀る廟の住所を、一次情報で確かめられませんでした。 そのため、この欄には何も入れていません。

ただし、日本の社寺で麒麟の像や彫刻を見られる場所は数多くあります。 日光東照宮の陽明門や拝殿には麒麟の彫刻と絵が施され、太宰府天満宮の手水舎のそばには幕末の博多の商人たちが寄付した麒麟像が立ちます。東京の日本橋にも、繁栄を象徴する麒麟像があります。

いずれも「麒麟を祀る社」ではなく「麒麟が飾られている場所」です。 区別が必要なため、欄には入れていません。

鳥取県などに伝わる麒麟獅子舞は、麒麟の獅子頭を用いる獅子舞です。

麒麟が現代に残した痕跡

麒麟の名は、動物の名と、めでたい言葉に残りました。

キリン(動物): 首の長い動物の日本語名。明治時代の訳語の選定で、この獣の名が当てられた。中国語では「長頸鹿」と呼ぶ。

麒麟児: 幼くして優れた才を示す子どもを指す語。大相撲の四股名にも用いられた。

獲麟: 『春秋』が終わる場面。物事の終わりを指す語として日本語にも入っている。

麟の花押: 織田信長が用いた花押。「麟」の字を図案化したもので、天下統一への願いを表したとされる。

麒麟獅子舞: 鳥取県などに伝わる獅子舞。麒麟の獅子頭を用いる。

麒麟のご利益

子授け

優れた子を授かる願いに結び付けられ、麒麟児という語も生まれた。

開運

めでたい世に現れる瑞獣として、運を開く願いを受ける。

平和

仁のある政治のときに現れるとされ、世の安らかさを願う対象になる。

学問

孔子の生涯と結び付けられ、学びの守りとして仰がれる。

麒麟が登場するゲーム・アニメ

創作では、麒麟は「選ぶ者」として描かれることがあります。 徳のある世にだけ現れるという性格を、王を選ぶという働きに読み替えたものです。

殺生を嫌うという性質も、しばしば物語の制約として使われます。戦えない聖獣は、それ自体が筋書きを生みます。

麒麟が登場するゲーム

女神転生シリーズ

四霊の一柱として登場します。

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幻想世界を扱う作品群

一角の聖獣として、めでたい存在の代表に置かれます。

麒麟が登場するアニメ・漫画・映像

十二国記

麒麟が王を選ぶという設定が物語の骨格になっています。仁の獣という性格が正面から扱われた例です。

麒麟がくる

大河ドラマの題名。太平の世に現れる獣として、戦国の終わりを願う意味が込められています。

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麒麟についてよくある質問

麒麟は何ですか。

聖人の世にだけ現れるとされる瑞獣です。四霊の一つで、鹿に似た体、牛の尾、馬のひづめ、頭に角を持つとされます。生きた草も虫も踏まないほど殺生を嫌うとされます。

麒麟と動物のキリンは関係がありますか。

名前を当てたものです。明の鄭和が東アフリカから連れ帰った動物を麒麟に見立てた話が伝えられ、日本語の呼び名は明治時代の訳語の選定でこの字が採られました。中国語では「長頸鹿」と呼びます。

獲麟とは何ですか。

孔子が編んだとされる『春秋』が終わる場面です。泰平とは言えない世に麒麟が現れ、捕らえた人々がそれと知らずに打ち捨てたことを知って、孔子が筆を擱いたとされます。物事の終わりを指す語にもなりました。

「騏驎も老いては」の騏驎は麒麟のことですか。

別のものです。「騏驎」は足の速い名馬を指す語で、鹿の偏を馬に変えた字を用います。獣の麒麟とは違います。