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中国神話

鳳凰とは何の神様か|家系図・物語

鳳凰  / ホウオウ

大地 瑞獣

めでたい世に現れる鳥の王。竹の実だけを食べ、梧桐にしか止まらないとされる。

鳳凰とは何の神様か

鳳凰はひとことで言えば選ぶ鳥です。

四霊の一つで、麒麟と対で語られます。「鳳」が雄、「凰」が雌です。

姿は書物ごとに違います。中国最古の類語辞典『爾雅』は、頭は鶏、頷は燕、頸は蛇、背は亀、尾は魚で、黒・白・赤・青・黄の五色、高さは六尺ほどとします。『説文解字』はさらに多くの生き物を挙げます。

『山海経』南山経には、変わった記述があります。

頸に「徳」、翼に「義」、背に「礼」、胸に「仁」、腹に「信」の紋がある。

体に文字が書いてあるというのです。

食べ物と止まる場所も決まっています。竹の実でなければ食べず、梧桐でなければ止まらず、醴泉の水でなければ飲まない。竹の実は六十年から百二十年に一度しか実らないとされます。

選ぶことが、この鳥の徳です。

鳳凰の漢字表記と読み方

日本語ではほうおうと読みます。

西洋の不死鳥(フェニックス)とは、由来のまったく違う鳥です。 火に焼かれて生き返るという話は、鳳凰にはありません。翻訳のときに重ねられたものです。

朱雀とも別の存在です。 朱雀は南を受け持つ四神の一柱で、いつも南にいます。鳳凰はめでたい世に現れる瑞獣で、めったに現れません。姿が似ているため同一視されてきましたが、果たす働きが違います。

姿かたちは、中国と日本で変わりました。現代の中国では背丈が十二尺から二十五尺とされるのに対し、日本では四尺から五尺ほどに小さくなっています。

鳳凰(ほうおう)

一般的な表記。「鳳王」「鳳皇」とも書く。「鳳」が雄、「凰」が雌。

鳳(ほう)

雄を指す一字。日本の元号や人名にも用いられる。

朱鳥(すちょう)

朱雀の別名。姿が似ているため鳳凰と重ねられることがあるが、本来は別の存在。

鳳凰の物語

  1. 体に書かれた五文字 ─ 徳・義・礼・仁・信
  2. 選ぶ鳥 ─ 竹の実と梧桐
  3. 日本に残る鳳凰 ─ 屋根と紙幣

体に書かれた五文字 ─ 徳・義・礼・仁・信

鳳凰の姿の記述で、もっとも変わっているのが『山海経』南山経のものです。

鶏に似ている。 頸には「徳」、翼に「義」、背に「礼」、胸に「仁」、腹に「信」の紋がある。

五つの徳目が、体に模様として書かれている。

これは姿の描写というより、この鳥が何を意味するかを直接示したものでしょう。仁・義・礼・智・信は儒家が説いた五常にあたり、鳳凰はそれを体現する存在とされました。

姿そのものの記述は、書物ごとに大きく違います。『爾雅』は頭を鶏、頷を燕、頸を蛇、背を亀、尾を魚とし、『説文解字』は前を鴻、後を麟、頸を蛇、尾を魚、紋様を竜とします。

共通しているのは「複数の生き物を合わせた姿」という一点だけです。 どの生き物を選ぶかは、書き手によって違いました。

色は五色、声は五音を発するとされ、五という数がこの鳥にはつきまといます。

選ぶ鳥 ─ 竹の実と梧桐

鳳凰を鳳凰たらしめているのは、選ぶことです。

『詩経』には、こうあります。

鳳凰鳴けり、彼の高き岡に。 梧桐生ず、彼の朝陽に。

そこから「鳳凰は梧桐にあらざれば栖まず、竹実にあらざれば食わず」という言い方が生まれました。

決まりは三つです。

竹の実でなければ食べない。梧桐の木でなければ止まらない。醴泉(甘い泉の水)でなければ飲まない。

竹の実は、六十年から百二十年に一度しか実らないとされます。つまり、この鳥はほとんど食べられません。

『説文解字』は、飛ぶ道筋まで記します。東方の君子の国に生まれ、四海の外を高く飛び、崑崙山を過ぎ、砥柱で水を飲み、弱水で水浴びをし、日が暮れれば風穴に宿る、と。

すべてが選ばれています。 何を食べ、どこに止まり、どこを飛ぶか。この徹底が、鳥の王とされた理由です。

日本に残る鳳凰 ─ 屋根と紙幣

鳳凰は、日本の文化にもっとも深く入り込んだ中国の霊獣です。

平等院鳳凰堂の屋根には、一対の鳳凰が据えられています。堂の名そのものが、この鳥によります。金閣の頂にも鳳凰が立ちます。

紙幣にも使われました。一万円札の裏に描かれているのは、平等院鳳凰堂の鳳凰像です。

建物の頂点、通貨の裏。 いちばん高い場所と、いちばん人目に触れる場所。

天皇の乗り物である鳳輦にも、この鳥の名が付いています。

婚礼の衣装や調度、蒔絵、能の装束にも、鳳凰の意匠は繰り返し現れます。

日本では「めでたいものの代表」として、意味を問われずに使われ続けてきました。 竹の実しか食べないという原典の性格を知る人は多くありませんが、姿は誰もが知っています。

中国・韓国・台湾・ベトナム・シンガポール・モンゴルなど、漢字を使ってきた地域に広く行き渡っています。

鳳凰の家系図と家族

鳳凰のきょうだい: 麒麟四霊として対で語られる

鳳凰の性格と人物像

鳳凰の性格は、「妥協しないこと」に尽きます。

六十年に一度しか実らない竹の実しか食べず、梧桐にしか止まらず、甘い泉の水しか飲まない。生きていくのに、これほど不利な条件を自分に課している生き物はいません。

それが徳とされました。

選ばないことは、卑しい。

この価値観が、鳳凰という鳥の土台にあります。あり合わせのもので済ませない、という姿勢そのものが尊ばれたのです。

体に仁・義・礼・徳・信の紋があるという記述も、同じ方向を向いています。中身が外に出ている。 隠していません。

麒麟と対で語られるのも自然でしょう。麒麟は傷つけないことで、鳳凰は選ぶことで、それぞれ徳を示します。どちらも、何かをしないことによって尊い。

聖天子が現れるのを待って姿を見せる、という性格も、この延長にあります。待てることが、この鳥の力です。

鳳凰ゆかりの地と遺跡

鳳凰だけを祀る廟の住所を、一次情報で確かめられませんでした。 そのため、この欄には何も入れていません。

ただし、日本で鳳凰の姿を見られる場所は数多くあります。 京都府宇治市の平等院鳳凰堂は屋根に一対の鳳凰を据え、堂の名そのものがこの鳥に由来します。京都の金閣の頂にも鳳凰が立ちます。

いずれも「鳳凰を祀る堂」ではなく「鳳凰が飾られている場所」です。 区別が必要なため、欄には入れていません。

中国では、仙人たちが住むとされる崑崙山に棲むとも語られます。実在の場所ではありません。

鳳凰が現代に残した痕跡

鳳凰の名は、建物と紙幣に残りました。

平等院鳳凰堂: 京都府宇治市の阿弥陀堂。屋根に一対の鳳凰を据え、堂の名もこの鳥に由来する。

一万円札の裏: 平等院鳳凰堂の鳳凰像が描かれている。日本でもっとも人目に触れる鳳凰。

鳳輦: 屋根に鳳凰を飾った天皇の乗り物。祭りの神輿の形にも受け継がれた。

「鳳凰は梧桐にあらざれば栖まず」: 優れた人はふさわしい場所でなければ身を置かない、というたとえに用いられる。

鳳凰のご利益

開運

めでたい世に現れる瑞鳥として、運を開く願いを受ける。

夫婦円満

「鳳」が雄、「凰」が雌とされ、対の鳥として婚礼の意匠に用いられる。

平和

聖天子の世に現れるとされ、世の安らかさを願う対象になる。

延命長寿

卵が不老長寿の薬とされ、命の長きを願う対象とされてきた。

鳳凰が登場するゲーム・アニメ

創作では、鳳凰はほぼ確実に「炎」と「不死」を与えられます。 これは西洋の不死鳥と混ざったもので、原典の鳳凰に生き返る話はありません。

竹の実しか食べない、梧桐にしか止まらないという原典の性格は、ほとんど描かれません。選ぶ鳥という本来の姿は、意外なほど知られていないのが実情です。

鳳凰が登場するゲーム

女神転生シリーズ

四霊の一柱として登場します。

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幻想世界を扱う作品群

めでたい鳥の代表として、しばしば不死鳥と混ざった形で登場します。

鳳凰が登場するアニメ・漫画

火の鳥

手塚治虫の作品。血を飲むと不死になるという設定は西洋の不死鳥に近く、鳳凰の名で呼ばれる場面もあります。

中国神話を題材にした作品

四霊をそろえて登場させる構成が定番になっています。

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鳳凰についてよくある質問

鳳凰は何ですか。

めでたい世に現れるとされる霊鳥です。四霊の一つで、鳥の王とされます。「鳳」が雄、「凰」が雌です。複数の生き物を合わせた姿で描かれ、色は五色とされます。

鳳凰とフェニックスは同じですか。

別のものです。火に焼かれて生き返るという話は鳳凰にはありません。翻訳のときに重ねられたもので、由来がまったく違います。

鳳凰と朱雀の違いは何ですか。

朱雀は南を受け持つ四神の一柱で、いつも南にいます。鳳凰はめでたい世に現れる瑞獣で、めったに現れません。姿が似ているため同一視されてきましたが、果たす働きが違います。

鳳凰は何を食べるのですか。

竹の実だけとされます。六十年から百二十年に一度しか実らないとされる実です。止まるのは梧桐の木だけ、飲むのは醴泉という甘い泉の水だけとされ、すべてを選ぶことがこの鳥の徳とされました。