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日本神話

アシナヅチ・テナヅチ(足名椎命・手名椎命)とは何の神様か|家系図と物語

足名椎命・手名椎命  / アシナヅチノミコト・テナヅチノミコト

大地 国津神

クシナダヒメの両親。ヤマタノオロチに娘を奪われ続けた老夫婦。

アシナヅチ・テナヅチとは何の神様か

アシナヅチ・テナヅチはひとことで言えば娘を守れなかった親です。

スサノオが出雲に降りたとき、泣いている老夫婦として現れます。八人いた娘が毎年ヤマタノオロチに食われ、最後の一人も奪われようとしていました。

名の「ナヅチ」は撫でること。足を撫でる者・手を撫でる者という、娘を慈しむ姿がそのまま神名になっています。

アシナヅチ・テナヅチの漢字表記と読み方

読みは「あしなづち・てなづち」です。「ナヅ」は撫でる、「チ」はを表します。

足を撫でる者、手を撫でる者。

子の手足を撫でて慈しむ姿を表した名とされます。神名が親の仕草になっている、めずらしい例です。

足名椎命(あしなづちのみこと)

古事記での父神の表記。

手名椎命(てなづちのみこと)

古事記での母神の表記。

アシナヅチ・テナヅチの物語

  1. 泣いている老夫婦
  2. 娘を差し出す
  3. 須賀の宮の首長になる
  4. 足名椎・手名椎の表記は資料で変わる
  5. 父はオロチ退治の後に何を任されたか

泣いている老夫婦

高天原を追われたスサノオは、出雲の肥河のほとりに降りました。

箸が流れてくるのを見て、川上に人がいると知ります。行ってみると、老夫婦が娘を挟んで泣いていました

なぜ泣いているのか。

八人いた娘が、毎年ヤマタノオロチに食われ、今年は最後の一人が奪われるところでした。

娘を差し出す

スサノオは「その娘を私にくれるか」と尋ねます。

老夫婦は名も知らぬ相手に戸惑いますが、アマテラスの弟であると聞いて承諾しました。

スサノオはクシナダヒメ櫛に変えて自分の髪に挿し、オロチを迎え撃ちます。

娘を守れなかった親が、救い手に娘を託すという筋です。

須賀の宮の首長になる

オロチを退治したのち、スサノオは須賀の地に宮を建てました。

このときアシナヅチを宮の首長に任じ、稲田宮主須賀之八耳神という名を与えます。

娘を失い続けた親が、宮を守る立場になる。

記紀に、普通の親としての姿が描かれる神はほとんどいません。この二柱は、その数少ない例です。

足名椎・手名椎の表記は資料で変わる

古事記では足名椎・手名椎、日本書紀では主に脚摩乳・手摩乳と表記されます。さらに日本書紀の一書には、夫婦の組み合わせや神名が異なる伝承もあります。

読みが同じでも、表記の違いは単なる誤字ではありません。複数の伝承を日本書紀が併記した結果です。名前の意味も「手足を撫でる親」とする説だけでなく、稲田や田の畔との関係を見る説があります。

父はオロチ退治の後に何を任されたか

オロチ退治後、スサノオは須賀に宮を造り、足名椎をその宮の首長に任じて稲田宮主須賀之八耳神という名を与えます。老夫婦は救われて終わるだけではなく、父神が新しい宮の運営を担うところまで古事記に書かれています。

この後半まで読むと、子を慈しむ親という像に加え、土地と祭祀を預かる神としての位置づけも見えてきます。

アシナヅチ・テナヅチの家系図と家族

アシナヅチ・テナヅチの子・子孫: クシナダヒメ

アシナヅチ・テナヅチの性格と人物像

アシナヅチ・テナヅチは、神話の中の生活者です。

力もなく、策もなく、ただ娘を撫でて泣いていました。それが名になっています。

記紀の神々の多くは、生む・戦う・治めるという役を持ちます。この二柱にあるのは慈しむという一つの働きだけです。だからこそ、読む者に近い存在として記憶されてきました。

アシナヅチ・テナヅチを祀る神社

島根県出雲市の須佐神社は、公式の御祭神案内に足摩槌命・手摩槌命を明記しています。娘の稲田比売命、婿にあたる須佐能袁命と同じ社に祀られています。

八重垣神社はスサノオとクシナダヒメとの縁で有名ですが、祭神欄に両親を確認せず「合わせて祀る」と書くことはできません。この記事では祭神が明示された社を掲載します。

須佐神社(すさじんじゃ)

式内社

地図で開く

須佐神社の住所: 島根県出雲市佐田町須佐730

須佐神社の御祭神: 須佐能袁命・稲田比売命・足摩槌命・手摩槌命

須佐神社のご利益: 家内安全・子孫繁栄

公式の祭神案内に足摩槌命と手摩槌命が明記される。

周辺の宿をさがす

須佐神社へ参拝するときの、島根県出雲市の宿を探せます。

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アシナヅチ・テナヅチが現代に残した痕跡

この二柱の名は、慈しむという言葉に残りました

「撫でる」: ナヅチの「ナヅ」と同じ語。子を慈しむ動作を表す。

アシナヅチ・テナヅチのご利益

縁結び

娘クシナダヒメとスサノオの結婚に関わったことによる。

子育て

子を撫でて慈しむという名の意味による。

五穀豊穣

稲田宮主の名を与えられたことによる。

アシナヅチ・テナヅチについてよくある質問

アシナヅチ・テナヅチとは誰ですか。

クシナダヒメの両親です。八人の娘をヤマタノオロチに食われ、最後の一人も奪われようとしていたところにスサノオが現れました。

名前の意味は何ですか。

「足を撫でる者・手を撫でる者」です。子の手足を撫でて慈しむ姿を表した名とされます。

どこに祀られていますか。

島根県の八重垣神社をはじめ、スサノオとクシナダヒメを祀る社にあわせて祀られる例が多くあります。

足名椎・手名椎は夫婦ですか。

古事記ではクシナダヒメの父母として登場します。日本書紀の一書には神名や組み合わせが異なる伝承も併記されています。

足名椎・手名椎を実際に祀る神社はありますか。

島根県出雲市の須佐神社が、公式の祭神案内に足摩槌命・手摩槌命を明記しています。スサノオと稲田比売命も一緒に祀られます。

アシナヅチ・テナヅチと併せて覚えたい言葉・用語

高天原(たかまがはら)

天上にある神々の国。アマテラスが治める。

一書(あるふみ)

日本書紀が本文とは別に併記する異伝。「一書に曰く」の形で複数載る。