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ローマ神話

エポナとは何の神様か|家系図・物語

Epona  / エポナ

大地 外から迎えた神

ガリア由来の馬の女神。ローマの騎兵と馬丁が広く祀った。

エポナとは何の神様か

エポナはひとことで言えば馬の女神です。ガリア、すなわちケルトの世界から入ってきました。

名は馬を意味するケルト語から来ています。ローマの神々のなかでは、はっきり外来とわかる数少ない一柱です。

姿は、横座りで馬に乗る像、あるいは馬に囲まれて座る像で表されます。豊穣の角や麦の穂を手にする形もあり、実りの女神の面も持っていました。

祀ったのは、ローマの騎兵と馬丁です。

そのためライン川の流域からブリタンニアまで、碑文が広い範囲に残っています。ローマ市内にも碑文があります。

厩に小さな像を置く風習があり、アプレイウスはその場面を書き残しました。ユウェナリスも、この女神の名にかけて誓う人物を描いています。

ローマの暦に祭日が書き込まれた、ほとんど唯一のケルト系の女神です。 北イタリアで見つかったグアリドルムの暦に、12月18日として記されています。

エポナのローマ名・ギリシャ名と読み方

日本語では「エポナ」でほぼ定着しています。「エポーナ」と長音で書く形も見られます。

名は、を意味するケルト語から作られたとみられています。同じ語根は、ガリアの人名や地名にも現れます。

名前の意味が、そのまま神の役目になっている例です。

ケルト系の神は、ローマに入るときにローマの神の名に置き換えられることがよくありました。土地の神をローマの神と同一視して呼ぶやり方です。

ところがエポナは、ケルト語の名のままローマで祀られました。 これはめずらしいことです。

理由としては、馬の女神にあたるローマの神がいなかったことが挙げられます。置き換える相手が無ければ、そのままの名で呼ぶほかありません。

なお、この名はゲームに登場する馬の名としても知られていますが、それは近年の作品による用法です。

Epona(エポナ)

ラテン語での主格。もとはケルト語で、馬を意味する語から作られたとみられている。

Epona Regina(エポナ・レーギーナ)

女王エポナの意。碑文に見える呼び方で、この女神が高い位置づけを与えられていたことを示す。

Epona Augusta(エポナ・アウグスタ)

皇帝に関わる称号を添えた形。属州の碑文に多く、公の祭祀に組み込まれていたことがわかる。

エポナの物語

  1. 馬の女神 ─ ガリアから来た神
  2. 騎兵と馬丁の女神 ─ 軍とともに広がった
  3. ローマの暦に載った女神 ─ 12月18日
  4. 厩の小さな像 ─ アプレイウスとユウェナリス

馬の女神 ─ ガリアから来た神

エポナは、ガリアの神です。

ケルト語で馬を意味する語から名が作られており、名前の意味がそのまま役目になっています。

ガリアやゲルマニアの部族にとって、馬は財産であり、戦の力そのものでした。馬を守る神がいることには、実際的な意味がありました。

ローマ側には、馬を専門に守る神がいませんでした。

そのため、この女神は名を置き換えられずにローマへ入ります。 ケルト系の神としてはめずらしいことです。

姿は二通りに表されました。一つは横座りで馬にまたがる姿、もう一つは馬に囲まれて座る姿です。

手に豊穣の角麦の穂を持つ形もあります。馬の女神でありながら、実りの女神の面も持っていました。

母馬と仔馬を伴う像も残っており、家畜が増えることへの願いが込められていたとみられます。

騎兵と馬丁の女神 ─ 軍とともに広がった

エポナの信仰を広げたのは、ローマの軍でした。

とくに騎兵と、馬の世話をする馬丁が厚く祀ります。

馬とともに働く者にとって、馬の女神は身近な神でした。

ローマの騎兵部隊には、ガリアやゲルマニアの出身者が多く入っていました。彼らが自分たちの神を任地へ持ち込みます。

そのため碑文は、ライン川の流域からブリタンニアまで広い範囲に残りました。軍の駐屯地のある場所に、この女神の名が現れます。

ローマ市内にも碑文があります。 都に来た属州の兵が残したものとみられます。

厩に小さな像を置く風習もありました。アプレイウスは、厩の柱の窪みに置かれたこの女神の像が、花で飾られていた場面を書いています。

公の神殿ではなく、働く場所に置かれる神だった。 これがこの女神の広がり方の特徴です。

ローマの暦に載った女神 ─ 12月18日

エポナには、もう一つ大きな特徴があります。

ローマの暦に祭日が書き込まれていることです。

北イタリアで見つかったグアリドルムの暦に、12月18日としてこの女神の名が記されています。

ケルト系の女神で、ローマの暦に載った例はほとんどありません。

外から入った神が暦に載るということは、公の祭祀として認められていたことを意味します。

多くのケルト系の神は、土地の碑文に名を残しても、ローマの暦には入りませんでした。その意味で、エポナは外来の神としては例外的な位置にいます。

理由としては、軍を通じた広がりが挙げられます。帝国じゅうの駐屯地で祀られる神を、暦が無視できなくなったという見方です。

ただし、この暦は地方のもので、ローマ市の公の暦にこの祭日があったかどうかまではわかっていません。確かめられているのは、地方の暦に記されたという事実です。

厩の小さな像 ─ アプレイウスとユウェナリス

エポナが古代の文学に出てくる例は、二つ知られています。

一つはアプレイウスです。驢馬に姿を変えられた主人公が厩に入れられ、そこで柱の窪みに置かれた女神の像を見つけます。

像は、摘まれたばかりの花で飾られていた。

厩に神の像を置く風習が、この一節からわかります。花を供える者がいたことも読み取れます。

もう一つはユウェナリスです。この女神の名にかけて誓う人物を描きました。厩や馬に関わる者の誓いの神になっていたことがうかがえます。

どちらも、公の祭祀ではなく暮らしの場面での登場です。

碑文も同じ傾向を示します。奉納した者の多くは、騎兵や馬丁、御者といった馬とともに働く人々でした。

大きな神殿ではなく、厩の隅に置かれた神。 これがこの女神のいちばん確かな姿です。

そのため、祀った神殿の場所はいまも確かめられていません。

エポナの家系図と家族

エポナの性格と人物像

エポナには、物語がほとんど伝わっていません。

ケルトの神話は文字で書き残されなかったため、この女神の話も残らなかったとみられます。

残っているのは、像と碑文と、二つの文学の一節だけです。

そのぶん、図像は数多く残っています。 横座りで馬に乗る姿、馬に囲まれて座る姿、母馬と仔馬を伴う姿。石の浮き彫りや小さな青銅像が各地から出ています。

研究上の位置づけとしては、外来の神がローマにどう受け入れられたかの代表例として扱われます。

ふつう、外来の神はローマの神の名に置き換えられます。ところがこの女神は、ケルト語の名のままローマの暦にまで入りました。

置き換える相手がいなかったことと、軍を通じて広がったこと。この二つが理由として挙げられます。

いまも、ケルト系の神のなかでもっともよく知られた一柱です。

エポナを祀った神殿と遺跡

エポナを祀った神殿の場所は、確かめられていません。

これは資料が少ないためではなく、この女神の祀られ方によります。

祀られたのは、大きな神殿ではなく、厩や駐屯地でした。

アプレイウスは、厩の柱の窪みに置かれた小さな像が花で飾られていた場面を書き残しています。働く場所に置かれる神だったわけです。

碑文はライン川の流域からブリタンニアまで、広い範囲に残っています。ローマ市内にも碑文があります。しかし、その多くは奉納した人の名を刻んだ石であり、神殿の跡ではありません。

したがって、ここでは住所を挙げる欄を空けています。確かめられた場所が無いためです。

エポナが現代に残した痕跡

エポナの名は、馬に結びついた名として、いまも各所で使われています。

各地の奉納碑: ライン川流域からブリタンニアまで、駐屯地の跡からこの女神への奉納碑が出土している。

横座りの騎乗像: 馬に横向きに乗る図像が、この女神を見分ける目印として博物館で紹介されている。

ケルト系の神の代表: ローマに受け入れられた外来の神の例として、研究や展示で繰り返し取り上げられる。

ゲームに登場する馬の名: 馬の女神という性格から、近年の作品で乗る馬の名として使われ、広く知られるようになった。

エポナが司るもの

馬の守り

馬そのものを守る女神として、騎兵と馬丁が厩に像を置いて祀った。

旅の安全

馬に乗って移動する者の守りとされ、道すじの碑文に名が残る。

家畜の増え

母馬と仔馬を伴う姿や麦の穂を持つ姿から、実りと繁殖にも結びつけられた。

エポナが登場するゲーム・アニメ

作品でのエポナは、馬の名として使われることがいちばん多くなっています。

ゲームに登場する馬の名として広く知られ、そこから神の名だと知る人も少なくありません。

神そのものが主役になる作品は多くありません。

一方で、ケルトの神々を扱う展示や本では、必ずといってよいほど取り上げられます。像が数多く残っており、姿がはっきりしているためです。

エポナが登場するゲーム

ゼルダの伝説シリーズ

主人公が乗る馬の名として使われ、この名を広く知らせるきっかけになりました。

神話を扱う対戦型ゲーム

ケルト系の女神として、馬とともに描かれることがあります。

エポナが登場する絵画・彫刻

横座りで馬に乗る浮き彫り

ガリアやゲルマニアの各地から出土し、各国の博物館に収められています。

馬に囲まれて座る像

左右に馬を配して中央に座る構図が、もう一つの決まった表し方です。

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エポナについてよくある質問

エポナはどんな女神ですか。

ガリア由来の馬の女神です。名は馬を意味するケルト語から来ています。ローマの騎兵と馬丁がとくに厚く祀り、ライン川流域からブリタンニアまで碑文が残っています。

なぜケルトの名のままローマで祀られたのですか。

馬を専門に守るローマの神がいなかったため、置き換える相手がなかったとみられます。外来の神としては例外的に、ケルト語の名のままローマの暦にまで入りました。

エポナの祭日はいつですか。

北イタリアで見つかったグアリドルムの暦に、12月18日として記されています。ケルト系の女神でローマの暦に祭日が載った例は、ほとんどありません。

エポナを祀った神殿はありますか。

場所が確かめられた神殿はありません。祀られたのは厩や駐屯地で、厩の柱の窪みに小さな像を置く風習があったとアプレイウスが書き残しています。

ゲームに出てくる馬の名前と関係がありますか。

馬の女神という性格から名が使われたものです。近年の作品を通じてこの名が広く知られるようになりましたが、古代の祭祀とは別のものです。