豊かさの女神。サートゥルヌスの妃で、その祭は大神官と巫女だけが入れた。
オプスとは何の神様か
オプスはひとことで言えば蓄えられた豊かさです。ギリシャ名はレア。
名は「力」「富」「助け」を意味する語と同じ形をしています。サートゥルヌスの妃とされました。
祭日は二つあります。
8月25日 … オピコンシーウィア(刈り入れた穀物を納める祭)
12月19日 … オパーリア(サートゥルナーリアの中に置かれた祭)
オピコンシーウィアは、レギアの一室で行われました。
この部屋に入れるのは大神官とウェスタの巫女だけです。巫女は特別な頭巾をかぶって入りました。
誰も見ていない場所で行われる祭。
ローマの祭祀のなかで、ここまで閉じられたものは多くありません。
祈るとき、人々は大地に手で触れました。 豊かさが地の下から来ると考えられていたためです。
オプスのローマ名・ギリシャ名と読み方
日本語では「オプス」「オープス」が使われます。
ラテン語では力・富・助けを意味する語と同じ形です。複数形は、財産や資産を指しました。
助けを求める、という言い方にもこの語が使われる。
音楽の作品番号を表す語も同じ系統ですが、こちらは「仕事」を意味する別の語からで、この女神とは関係がありません。 混同されやすいところです。
コンシーウァは「種をまく」を意味します。コーンススの名と同じ語幹です。
Ops(オプス)
ラテン語。力・富・助けを意味する語と同じ形。
Ops Consiva(オプス・コンシーウァ)
「種をまくオプス」。8月25日の祭での呼び名。
オプスの物語
誰も見ていない祭 ─ レギアの一室
8月25日のオピコンシーウィアは、ローマの祭のなかでもっとも閉じられたものでした。
場所はレギアです。フォルム・ロマーヌムにある、大神官の役所です。
その中の一室に、入れるのは二人だけでした。
大神官と、ウェスタの大巫女。
巫女はスッフィブルムと呼ばれる特別な白い頭巾をかぶって入ります。
中で何が行われたかは、記録に残っていません。
古代の著述家も書いていません。書けなかったのか、知らなかったのか、それも分かりません。
祭の名のコンシーウァは「種をまく」を意味します。刈り入れた穀物を納め、次にまく種を確かめる祭だったと推測されます。
推測です。 ローマの祭祀には、こうした「中身の分からない祭」がいくつもあります。
地に手を触れて祈る ─ 珍しい作法
ローマ人が神に祈るときの作法は、だいたい決まっていました。
頭を布で覆い、手のひらを上に向けて掲げる。
天の神に向かう形です。
オプスへの祈りは違いました。
座って、手で大地に触れます。
ウァロがこの作法を書き残しています。
豊かさは、地の下から来るものだから。
天の神と地の神で、体の向きそのものが逆になっています。
同じ作法は、冥界の神々への祈りにも見られます。犠牲を捧げるときも、天の神には高い祭壇、地の神には地面の穴を使いました。
祈りの姿勢が、神の居場所を示していました。
ローマの宗教では、こうした身体の使い方が細かく決められています。間違えれば祈りは無効になり、初めからやり直しになりました。
サートゥルヌスの妃 ─ 黄金時代の対
オプスは、サートゥルヌスの妃とされます。
サートゥルヌスは種をまく神、オプスは蓄える神です。
まく神と、収める神。
一年の農事の始まりと終わりが、夫婦として組まれています。
祭日の配置も対応しています。
- サートゥルナーリア … 12月17日から
- オパーリア … 12月19日
サートゥルナーリアの真ん中に、この女神の祭が置かれています。
ギリシャの神々と重ねられたとき、サートゥルヌスはクロノス、オプスはレアになりました。
ただし、ローマ側の二柱にはギリシャのような物語がありません。
子を呑む夫。石を渡してごまかす妻。
その話はギリシャから入ったものです。
ローマ側にあるのは、8月に納め、12月に祝うという農事の周期だけでした。
オプスの家系図と家族
オプスの性格と人物像
オプスは、「蓄え」に姿を与えた神です。
物語も、姿の決まりもありません。
あるのは、閉じられた祭と、地に触れて祈る作法だけです。
この二つは、どちらもこの女神が地の下に属することを示しています。
穀物は地の下の穴に納める。神も地の下にいる。
コーンススと役目が重なりますが、こちらは納める行為、オプスは納められた豊かさそのものを指します。
ローマ人は、一つの働きをさらに細かく分けて、それぞれに神を置きました。
この細かさは、しばしば笑いの種にされました。しかし、農事に生きる人にとっては、どの段階で何が失われるかを言い分ける方法でもありました。
オプスを祀った神殿と遺跡
オプスの神殿は、カピトリウムの丘にあったと記録されます。
しかし、位置は特定されていません。
この女神の祭祀の中心は、独立した神殿ではなくレギアの一室でした。
神殿ではなく、役所の中の部屋。
ローマの古い祭祀には、こうした形のものがいくつもあります。祀る場所より、祀る手続きのほうが決まっていました。
レギア(Regia)
オピコンシーウィアが行われた大神官の役所
レギアの住所: イタリア ローマ フォロ・ロマーノ 聖なる道沿い(北緯41.8919 東経12.4864)
レギアの祀られた神: オプス・コンシーウァ、マールス
レギアに残るもの: 基礎と床の一部
レギアのご利益: 豊かさ
ローマの大神官の役所です。伝えでは王の住まいだった建物とされます。
その中の一室で、8月25日のオピコンシーウィアが行われました。
入れるのは大神官とウェスタの大巫女だけです。 中で何が行われたかは記録に残っていません。
同じ建物には、マールスの聖なる槍も納められていました。
フォロ・ロマーノの入場券で見学できる。ウェスタ神殿の隣にある。
オプスが現代に残した痕跡
オプスの名は、富と助けを意味する語として残りました。
富・資産を指す語: ラテン語の複数形が財産を意味し、ヨーロッパの諸言語に受け継がれた。
助けを求める言い方: 同じ語幹から、援助・救援を意味する語が生まれた。
豊かさを表す語: 有り余ることを意味する語も、同じ系統から出ている。
オプスが司るもの
豊かさ
蓄えられた実りそのものを司る。
蓄えの守り
刈り入れた穀物を納める祭が置かれた。
助け
名は「助け」を意味する語と同じ形をしている。
オプスが登場するゲーム・アニメ
作品に出ることは、ほとんどありません。
物語を持たない神であり、祭の中身も記録に残っていないためです。
中で何が行われたか分からない祭。
描きようがありません。
一方、富と助けを意味する語としては、この名の系統がいまも使われています。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
オプスについてよくある質問
オプスは何の女神ですか。
蓄えられた豊かさの女神です。名は力・富・助けを意味する語と同じ形をしています。サートゥルヌスの妃とされました。
オピコンシーウィアとは何ですか。
8月25日の祭です。レギアの一室で行われ、入れるのは大神官とウェスタの大巫女だけでした。中で何が行われたかは記録に残っていません。
なぜ地に手を触れて祈るのですか。
豊かさが地の下から来ると考えられていたためです。天の神には手のひらを上に掲げますが、この女神には座って大地に触れました。
音楽の作品番号と関係がありますか。
ありません。作品番号を表す語は「仕事」を意味する別のラテン語から来ています。形が似ているため混同されやすいところです。