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ローマ神話

ルーミーナとは何の神様か|家系図・物語・祀った神殿

Rumina  / ルーミーナ

大地 ローマ固有の神

乳を与える女神。この神の無花果の木の下に、双子は流れ着いた。

ルーミーナとは何の神様か

ルーミーナはひとことで言えば授乳の女神です。名は乳房を意味する古い語につながるとされます。

パラティヌスの丘のふもとに、ルーミナーリスの無花果と呼ばれる木がありました。

籠に入れられて流された双子が、この木の根に引っかかった。
そこへ牝狼が来て、乳を与えた。

ローマ建国の物語で、もっとも知られた場面です。

この女神への供え物には、葡萄酒を使いませんでした。

乳を供える。

授乳を司る神に酒は合わない、という考え方です。ローマの祭祀では珍しい例で、古い形を残しているとされます。

木は共和政の時代まで生きていたと記録されます。枯れかけると凶事の前触れとされ、そのたびに書き留められました。

牝狼が双子に乳を与える像は、いまもローマ市の紋章です。

ルーミーナのローマ名・ギリシャ名と読み方

日本語では「ルミナ」「ルーミーナ」が使われます。

乳房を意味する古い語につながるとされます。同じ語幹から、牛が食べ物を反芻することを指す語が生まれました。

反芻。もう一度噛み直すこと。

考えを繰り返し巡らせることを指す語も、同じ系統です。

古代のローマ人のなかには、この名をティベリス川の古い名に結びつける者もいました。どちらが正しいかは分かっていません。

Rumina(ルーミーナ)

ラテン語。乳房を意味する古い語につながるとされる。

Ficus Ruminalis(フィークス・ルーミナーリス)

この女神の無花果。双子が流れ着いた木。

ルーミーナの物語

  1. 無花果の木の下 ─ 双子が流れ着く
  2. 葡萄酒を使わない祭 ─ 古い形の証拠
  3. 木が枯れると凶事 ─ 記録され続けた一本

無花果の木の下 ─ 双子が流れ着く

ローマ建国の物語で、もっとも知られた場面です。

アルバ・ロンガの王位を奪ったアムーリウスは、兄の孫にあたる双子を殺そうとしました。

籠に入れて、ティベリス川に流させます。

しかし、川は増水していた。
籠は流れの外へ押し出され、岸辺の木の根に引っかかった。

その木が、ルーミナーリスの無花果です。

そこへ牝狼が来て、双子に乳を与えました。

この場面が、なぜ授乳の女神の木の下なのか。

答えは単純です。授乳の女神の木の下だから、乳を与える話になったという順序が考えられます。

ローマの建国の物語は、すでにあった聖域や地名から逆算して組み立てられた部分があります。

- ルーミーナの無花果 → 乳を与えられた話
- ルペルカール(狼の洞窟) → 牝狼の話
- パリーリアの祭日 → 建国の日

地形と祭が先にあり、物語が後から付けられました。

葡萄酒を使わない祭 ─ 古い形の証拠

ローマの祭では、ほぼつねに葡萄酒が供えられます。

祭壇に注ぎ、犠牲の獣にかけ、参列者が飲みます。

ルーミーナへの供え物だけが違いました。

葡萄酒を使わない。乳を供える。

授乳を司る神に酒は合わない、という理屈です。

この決まりは、古い形を残しているとされます。

理由があります。葡萄酒がローマに広まったのは、比較的後の時代です。それ以前の祭には、乳や水を使うものがありました。

酒を使わない祭は、酒が来る前の祭。

同じ形の例が他にもあります。

- ある種の祭では、乳と蜜だけを供える
- 女性が葡萄酒を飲むことを禁じた古い掟がある

ローマ人は、古い作法を変えませんでした。 意味が分からなくなっても、手順はそのまま残されます。

祭の作法が、時代の層を保存していました。

木が枯れると凶事 ─ 記録され続けた一本

ルーミナーリスの無花果は、共和政の時代まで生きていたと記録されています。

そして、枯れかけるたびに書き留められました。

木が萎れた。国に何かが起こる前触れである。

タキトゥスは、この木が58年に枯れかけ、そのあと新しい芽を出したと書いています。

一本の木の様子が、国家の記録に残っています。

ローマ人は、こうした兆しを細かく記録しました。

- 雷が落ちた場所
- 牛が言葉を話したという報告
- 血の雨が降ったという報告

いずれも元老院に報告され、対応が決められます。

兆しが出れば、祭を行って鎮める。

兆しを無視することは、国家の怠慢とされました。

木そのものの位置は、はっきりしていません。 パラティヌスの丘のふもとという記録と、フォルムの中という記録があり、移されたとする説もあります。

ルーミーナの家系図と家族

ルーミーナの性格と人物像

ルーミーナは、姿も物語もない女神です。

あるのは、一本の木と、乳を供えるという決まりだけです。

しかし、その木がローマ建国の物語の舞台になりました。

双子が流れ着いた木。牝狼が乳を与えた場所。

女神は語られず、その木だけが語られます。

牝狼が双子に乳を与える像は、いまもローマ市の紋章です。市庁舎にも、街灯にも、下水の蓋にも刻まれています。

しかし、そこに授乳の女神の名は出てきません。

神の名は消え、その場所と場面だけが残りました。

ローマの古い神には、この形のものがいくつもあります。祭日だけが残ったパレース、語だけが残ったテルミヌス

残り方は、それぞれ違います。

ルーミーナを祀った神殿と遺跡

ルーミーナの神殿はありません。

祀られたのは無花果の木そのものです。

木の下に祭壇を置き、乳を供える。

木の位置については記録が食い違っています。パラティヌスの丘のふもととする記録と、フォルムの中とする記録があり、移されたとする説もあります。

ここに挙げたルペルカールは、その木のすぐ近くにあったとされる洞窟です。この女神を祀った場所ではありません。

ルペルカール(Lupercal)

牝狼が双子に乳を与えたとされる洞窟

地図で開く

ルペルカールの住所: イタリア ローマ パラティーノの丘のふもと(北緯41.8893 東経12.4871)

ルペルカールに残るもの: 洞窟とされる空間

ルペルカールのご利益: 建国の記憶

パラティーノの丘のふもとにある洞窟です。牝狼が双子に乳を与えた場所とされました。

すぐ近くにルーミナーリスの無花果があったと伝えられます。

2月15日のルペルカーリアは、ここから若者が走り出す祭でした。

2007年、この洞窟とされる空間が丘の下から見つかったと発表されましたが、同定については議論が続いています。

パラティーノの丘の見学区域にある。内部は原則として公開されていない。

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ルーミーナが現代に残した痕跡

ルーミーナの名は、牝狼の像反芻を意味する語に残りました。

カピトリーノの牝狼: 双子に乳を与える牝狼の青銅像。ローマ市の紋章として、いまも街のいたるところで使われている。

反芻を意味する語: 同じ語幹から、牛が食べ物を噛み直すことを指す語が生まれた。考えを巡らせることを指す語も同じ系統。

ローマ市の紋章: 牝狼と双子の図が、市庁舎から下水の蓋まで、街のあらゆる場所に刻まれている。

ルーミーナが司るもの

授乳

乳を与えることを司る。供え物にも乳が使われた。

乳幼児の守り

育つ子どもを守る女神とされた。

建国の記憶

この女神の木の下に、双子が流れ着いたとされる。

ルーミーナが登場するゲーム・アニメ

この女神の名が作品に出ることはありません。

代わりに、牝狼が双子に乳を与える図が、ローマそのものを表す記号になりました。

女神は消え、場面だけが残った。

ローマ市の紋章として、街のいたるところで見ることができます。

ルーミーナが登場する美術

カピトリーノの牝狼

ローマを象徴する青銅像。双子の像は後の時代に加えられたものです。

ルーミーナが登場するゲーム・アニメ

ローマを扱う作品

牝狼と双子の図像が、ローマの記号として繰り返し使われます。

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ルーミーナについてよくある質問

ルーミーナは何の女神ですか。

授乳の女神です。名は乳房を意味する古い語につながるとされます。この女神の無花果の木の下に、ロームルスとレムスが流れ着いたとされました。

なぜ葡萄酒を供えないのですか。

授乳を司る神に酒は合わないという考え方によります。葡萄酒がローマに広まる前の古い形を残しているとされます。

ルーミナーリスの無花果はどこにありましたか。

記録が食い違っています。パラティヌスの丘のふもととする記録と、フォルムの中とする記録があり、移されたとする説もあります。

ローマ市の紋章の牝狼と関係がありますか。

あります。牝狼が双子に乳を与えたのは、この女神の木の下とされました。ただし紋章にこの女神の名は出てきません。

ルーミーナと併せて覚えたい言葉・用語

カー(kꜣ/生命力)

人と一緒に生まれ、死後も供物を受け取る生命力。クヌムがろくろで人を作るとき、肉体とカーの二体を同時に形作った。