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日本神話

天美佐利命(あめのみさり)とは何の神様か|家系図・物語

天美佐利命  / アメノミサリノミコト

大地 国津神

粟鹿大明神元記に記される、粟鹿神社の祭神。

アメノミサリとは何の神様か

アメノミサリはひとことで言えば一つの書だけが知る神です。兵庫県朝来市の粟鹿神社に伝わる粟鹿大明神元記において、同社の祭神とされます。

記紀にも先代旧事本紀にも、同名の神は見えません

この一書だけが、名を伝えています。

アメノミサリの漢字表記と読み方

読みは「あめのみさり」です。「アメノ」は天のを指しますが、「ミサリ」の意味ははっきりしません

「サル(去る)」「サリ(去り)」と読むこともできますが、根拠はありません。

粟鹿大明神元記は、出雲系の神名を独自の字で写します。オミヅヌ意弥都奴フテミミ布弖弥美と書くように、この名も他書と対応しない可能性があります。

天美佐利命(あめのみさりのみこと)

粟鹿大明神元記での表記。

アメノミサリの物語

  1. 粟鹿大明神元記という書
  2. 但馬国一宮
  3. 記紀にない系譜
  4. なぜ記録が少ないのか

粟鹿大明神元記という書

この神を伝えるのは、たった一つの文書です。

粟鹿大明神元記 ─ 和銅元年(七〇八年)の奥書を持つとされる。

古事記の成立が和銅五年(七一二年)ですから、それより古いことになります。

ただし、奥書の年紀をそのまま信じてよいかは議論があります。

この書は、出雲系の系譜について古事記とは異なる伝えを数多く含みます。

アメノフユキヌ → 天布由伎奴。四世孫とする。
オミヅヌ → 意弥都奴。
フテミミ → 布弖弥美。

世代の数も、字も違います

但馬国一宮

粟鹿神社は、但馬国を代表する古社です。

兵庫県朝来市山東町粟鹿。
但馬国一宮とされる。
延喜式神名帳に名神大社として記される。

丹波から但馬へ抜ける街道の要にあります。

名の「粟鹿(あわが)」は、鹿が粟を穂に付けて山から下りてきたという伝えに由来するといいます。

日下部氏が代々奉仕したと伝えられ、その系譜が粟鹿大明神元記に記されています。

記紀にない系譜

粟鹿大明神元記の価値は、記紀と違う点にあります。

記紀は、大和の朝廷がまとめた書です。それに対してこの書は、但馬の一社に伝わった記録です。

同じ出雲の神々について、別の数え方を伝えています。

古事記でスサノオの五世孫とされるアメノフユキヌを、この書は四世孫とします。一代少ないのです。

どちらが古い形かは決められません。しかし、中央の書がすべてではなかったことは確かです。

この神も、その別系統の伝えのなかにいます。

なぜ記録が少ないのか

この神について書けることは、ごくわずかです。

粟鹿大明神元記に、粟鹿神社の祭神として記される。

それだけです。

同書は、垂仁天皇の御代に荒ぶる神であったこの神を大彦速命が申し出て祀ったという創建の由来を伝えますが、それ以上の系譜も性別も記されていません。

理由ははっきりしています。伝える書が一つしかないからです。

もしその書が失われていれば、この神の名は完全に消えていました。一冊の文書が、一柱の神の存在を支えているという状態です。

各地の社に、こうした神がどれほどいたかは分かりません。

アメノミサリの家系図と家族

アメノミサリのきょうだい: アメノフユキヌ同じ書が伝える出雲の神オミヅヌ同じ書が伝える出雲の神

アメノミサリの性格と人物像

アメノミサリは、細い糸でつながった神です。

記紀に名はありません。ほかの書にもありません。粟鹿神社に伝わる一つの文書だけが、この名を伝えています。

文書が一つ失われれば、神が一柱消える。

日本の神々の多くが、そうした条件のもとで伝わってきました。いま名の残る神は、たまたま書き留められ、たまたま焼けなかった存在です。この神は、そのことをはっきり教えてくれます。

アメノミサリを祀る神社

この神を祀るのは、兵庫県朝来市山東町の粟鹿神社です。

但馬国一宮とされ、延喜式神名帳に名神大社として記されます。

丹波から但馬へ抜ける街道の要にあり、古くから重んじられました。日下部氏が代々奉仕したと伝えられ、その系譜が粟鹿大明神元記に記されています。

アメノミサリが現代に残した痕跡

アメノミサリの名は、一冊の文書に残りました

粟鹿大明神元記: 粟鹿神社に伝わる文書。和銅元年の奥書を持つとされる。

粟鹿神社: 兵庫県朝来市の社。但馬国一宮とされる。

アメノミサリのご利益

国土安泰

但馬国一宮の祭神とされることによる。

交通安全

丹波から但馬へ抜ける街道の要に鎮座することによる。

アメノミサリについてよくある質問

アメノミサリとはどんな神様ですか。

兵庫県朝来市の粟鹿神社に伝わる粟鹿大明神元記において、同社の祭神とされる神です。他の文献に同名の神は見えません。

粟鹿大明神元記とはどんな書ですか。

和銅元年の奥書を持つとされる文書です。出雲系の系譜について、古事記とは異なる名と世代の数え方を伝えます。

なぜ記録が少ないのですか。

伝える書が一つしかないためです。粟鹿大明神元記が創建の由来を伝えるほかは、系譜も性別も記されていません。

アメノミサリと併せて覚えたい言葉・用語

一書(あるふみ)

日本書紀が本文とは別に併記する異伝。「一書に曰く」の形で複数載る。