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北欧神話

スクルドとは何の神様か|家系図・物語

Skuld  / スクルド

巨人

運命の三女神の三女。ワルキューレとしても戦場に立つ。

スクルドとは何の神様か

スクルドはひとことで言えば二つの顔を持つノルンです。運命の女神ノルンの三姉妹の三女にあたります。

名は「負債」「義務」を意味し、そこから「まだ果たされていないこと」、つまり未来を指すようになりました。

この女神が姉たちと決定的に違うのは、ワルキューレとしても数えられる点です。新エッダギュルヴィたぶらかし』第36章は、ロタ、グズとともに戦場へ馬を進め、戦死者を選び取り、戦いの帰結を決めると記します。

運命を定める者が、そのまま人の死を選び取る。 北欧神話の運命観がもっともはっきり出ているところです。

『巫女の予言』のワルキューレの名寄せにも、この名が挙がっています。

スクルドの名前の表記と読み方

古ノルド語では Skuld。助動詞 skulu(〜するはずだ、〜せねばならない)から作られた名です。英語の shall、ドイツ語の sollen と同じ語根にあたります。

注目すべきは、この語がいまも「借金」「負い目」を意味して使われていることです。スウェーデン語の skuld、デンマーク語の skyld はどちらも負債を指します。

未来とは、まだ払っていないもの。 三姉妹の三女の名は、時間をそう捉えています。

Skuld(スクルド)

古ノルド語の表記。動詞 skulu(〜すべき・負う)に由来する。

Sculd(スクルド)

写本に見られる別綴り。

Skyld(スキュル)

デンマーク語で「負い目」「罪」を意味する語。同じ語根から出ている。

スクルドの物語

  1. 三女であり、ワルキューレでもある
  2. 負債としての未来
  3. 姉妹のうち、誰がいちばん語られたか

三女であり、ワルキューレでもある

新エッダは、ノルンの一覧とワルキューレの一覧の両方にこの名を挙げます。

最も若いノルン、スクルドは、ワルキューレでもある。
グズとロタと、最も若いノルンであるスクルドは、常に馬を進めて戦死者を選び、戦いの帰結を決める。

姉たちは泉のほとりを離れません。三女だけが戦場に出ます。

まだ来ていない時間を司る者が、誰を死なせるかを決める。 定めることと、実行することが、この一柱で重なっています。

負債としての未来

北欧語で未来を表すのに、「負っているもの」という語が選ばれた点は重く見る値打ちがあります。

未来は、これから起こる楽しみではありません。すでに決まっていて、まだ支払われていないものです。

この感覚は、サガの英雄たちの落ち着きにつながります。死ぬ日が決まっているなら、恐れる理由がない。

運命の定めた以外の死に方をする者はいない。

北欧の物語に諦めの暗さが少ないのは、この考え方に支えられているからでしょう。

姉妹のうち、誰がいちばん語られたか

三姉妹のなかで、後世にもっとも取り上げられたのはこの三女です。

理由は二つあります。ひとつは、未来を担当するとされたこと。もうひとつは、ワルキューレとして戦場に出るため、姿を描きやすいことです。

ウルズは泉と概念に溶け、次女ヴェルザンディには逸話がありません。三女だけが、馬に乗って現れます。

デンマークの伝説では、フロールヴ・クラキ王の異母妹スクルドが魔術で兄を滅ぼす話がありますが、この人物と運命の女神が同じかどうかは定まっていません。 名が同じだけの別人とみる説が有力です。

スクルドの家系図と家族

スクルドの親: ノルン三姉妹の三女

スクルドのきょうだい: ウルズ姉妹ヴェルザンディ姉妹

スクルドの性格と人物像

スクルドは、冷たい神ではありません。

定めを告げるだけの姉たちに対し、この三女は戦場へ出ます。誰を死なせるかを選び、その場に立ち会う。

決めた責任を、自分で引き受けているとも読めます。

一方で、選ばれる側からすれば、これ以上に恐ろしい存在もいません。運命の女神が、そのまま死を運ぶ者としてやってくるのですから。

未来という言葉に「まだ払っていない」という意味を重ねた北欧の人々にとって、この一柱はきわめて筋の通った存在だったはずです。 借りはいつか取り立てられる。取り立てに来るのが、この女神でした。

スクルドゆかりの地と遺跡

スクルドを祀った場所はありません。 定めは祈って変わるものではないとされたためです。

ワルキューレを表すとされる小さな銀の像や護符が、デンマークやスウェーデンの遺跡から出土していますが、どれが特定の一柱を表すかを示す銘はなく、この女神と結びつけることはできません。 位置についても特定されていません。

スクルドが現代に残した痕跡

この名は、北欧の言葉のなかで「負債」を意味する語として、いまも日常に残っています。

スウェーデン語の skuld: 「借金」「負い目」を意味する日常語。名の語源がそのまま生きている。

英語の shall: 同じ語根から出た助動詞。もとは「負っている」を意味した。

三姉妹の名の採用: 現代の作品では三姉妹の名がそろって使われることが多く、三女の名がとくに好んで用いられる。

スクルドが司るもの

予知

まだ果たされていないことを司る運命の女神とされる。

勝敗を決めること

ワルキューレとして戦場に馬を進め、戦いの帰結を決める。

死後の栄誉

戦死者を選び取る役を負い、選ばれた者はヴァルハラへ迎えられる。

スクルドについてよくある質問

スクルドは未来を司る女神ですか。

名が「まだ果たされていないこと」を意味するため、そう説明されます。ただし原典が時制を割り当てているわけではありません。

スクルドはワルキューレですか。

そうです。新エッダはノルンの一覧とワルキューレの一覧の両方にこの名を挙げ、戦場で戦死者を選ぶと記します。

スクルドの名前はどういう意味ですか。

「負債」「負っているもの」です。スウェーデン語やデンマーク語では、いまも借金を意味する語として使われています。

三姉妹のうち誰がいちばん有名ですか。

後世の作品ではスクルドが最も多く取り上げられます。未来を担当するとされ、また馬に乗る姿を描きやすいためです。

スクルドと併せて覚えたい言葉・用語

新エッダ(しんエッダ)

1220年頃にアイスランドのスノッリ・ストゥルルソンが著した散文の書。神話を体系的に整理しており、現在の北欧神話の理解はこの書に多くを負う。