神に供える食物の神。稲荷と狐が結びついた原因とされる。
ミケツとは何の神様か
ミケツの漢字表記と読み方
読みは「みけつ」です。「ミ」は尊敬の接頭語、「ケ(饌・食)」は食べ物、「ツ」は〜のを指します。
「ケ」は、朝餉(あさげ)・夕餉(ゆうげ)の「ゲ」と同じ語です。食事そのものを意味しました。
伊勢神宮の外宮では、いまも毎日二回、日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)が行われます。
1,500年にわたって、一日も欠かさず続けられているとされます。
御饌津神(みけつのかみ)
一般的な表記。
三狐神(みけつのかみ)
狐の字を当てた表記。稲荷と狐の結びつきの根拠とされる。
御食津神(みけつのかみ)
「食」の字を当てた表記。
ミケツの物語
神饌という考え方
日本の祭祀の中心は、神に食事を供えることです。
米、酒、餅、魚、野菜、果物、塩、水。
神は、食べます。
これは日本の神の重要な性格です。抽象的な存在ではなく、もてなすべき客として扱われます。
直会(なおらい)という習慣もあります。祭りのあと、神に供えたものを人が食べる行事です。神と同じものを食べることで、力を分けてもらうという考え方です。
狐の字が当てられる
ミケツに、「三狐神」という字が当てられた記録があります。
ミ=三、ケ=狐、ツ=神
なぜ「ケ」に狐の字を当てたのか。
狐の古い呼び名が「ケツ」あるいは「ケ」であったとする説があります。
この表記が広まった結果、稲荷の使いは狐という理解が定着したとされます。
文字の当て方が、信仰の中身を変えた例です。
稲荷と狐の関係
稲荷神社にはかならず狐の像があります。しかし、狐は神ではなく、神の使いです。
狐が稲荷と結びついた理由は、いくつか挙げられます。
三狐神の表記 ─ 文字による結びつき
田の害獣を食べる ─ 鼠を捕るため農民に喜ばれた
稲刈りの頃に姿を見せる ─ 収穫期に里へ下りてくる
尾が稲穂に似る ─ 見た目の連想
複数の理由が重なったと考えられています。どれか一つが決め手というわけではありません。
外宮の朝夕の供え
伊勢神宮の外宮では、日別朝夕大御饌祭が毎日行われます。
朝と夕の二回。1,500年間、一日も欠かさずとされる。
火を起こすところから始めます。古式の火鑽(ひきり)で火を作り、井戸から水を汲み、米を炊きます。
戦争中も、災害のときも続けられたと伝えられます。
トヨウケビメが外宮に祀られているのは、アマテラスの食事を用意する神だからです。ミケツという名の意味が、そのまま制度になっています。
ミケツの家系図と家族
ミケツの親: オオトシ
ミケツの性格と人物像
ミケツは、行為の名がそのまま神になった例です。
神に食事を供えるという行為を指す言葉が、神格として扱われました。
日本の神は、食べます。その一点が、日本の祭祀の形をすべて決めています。社に参れば供え物をし、祭りのあとには直会があります。
そして「三狐神」という当て字が、稲荷と狐を結びつけました。文字が信仰を変えたという点で、この神は特異な位置にあります。
ミケツを祀る神社
ミケツは、トヨウケビメやウカノミタマの別名として祀られます。単独で祀る社は多くありません。
伊勢神宮の外宮は、この働きを制度にした社といえます。毎日朝夕、神に食事を供える祭りが続けられています。
稲荷社では、この名が狐との結びつきの起点になったとされます。
豊受大神宮(伊勢神宮 外宮)(とようけだいじんぐう)
伊勢神宮の外宮
アマテラスの食事を司る神を祀る。毎日朝夕の御饌祭が続けられている。
内宮とは別の場所にある。
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ミケツが現代に残した痕跡
ミケツの名は、当て字として残りました。
三狐神: ミケツに当てられた表記。稲荷と狐が結びついた原因とされる。
直会: 祭りのあと、神に供えたものを人が食べる行事。
朝餉・夕餉: 「ケ(饌)」が食事を意味した名残。
ミケツのご利益
五穀豊穣
食物を司る神であることによる。
商売繁盛
稲荷と結びついたことによる。
家内安全
食に困らないことへの祈りによる。
ミケツについてよくある質問
ミケツとはどんな神様ですか。
神に供える食物を司る神です。トヨウケビメやウカノミタマの別名として用いられます。
なぜ稲荷に狐がいるのですか。
「三狐神」という当て字が広まったこと、狐が田の鼠を捕ること、収穫期に里へ下りることなど、複数の理由が重なったと考えられています。
狐は神様なのですか。
狐は神ではなく、神の使いです。稲荷社の主祭神は宇迦之御魂大神で、狐はその使いとされます。