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日本神話

アメノナエマス(天苗加命)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

天苗加命  / アメノナエマスノミコト

大地 天津神

香取神宮の神職首座をつとめた香取氏の祖神。

アメノナエマスとは何の神様か

アメノナエマスはひとことで言えば社を守る家の祖です。香取神宮の神職首座、すなわち大宮司や大禰宜を代々つとめてきた香取氏の祖神にあたります。

祭神としては、香取神宮の摂社又見神社に祀られます。

名の「苗」は稲の苗「加(ます)」は増すこと。苗が増えるという、農耕にまつわる名です。

アメノナエマスの漢字表記と読み方

読みは「あめのなえます」です。「アメノ」は天の「ナエ」は苗「マス」は増すを指します。

苗が増えるという、そのままの名です。

香取は利根川の下流にあり、古くから米の産地でした。

弘化二年(一八四五年)の下総国旧事考は、朝彦命の別名を「苗加(ナヘマス)命」と記しています。二つの名が同じ神を指すという伝えです。

天苗加命(あめのなえますのみこと)

一般に用いられる表記。

苗加命(なへますのみこと)

下総国旧事考での表記。

朝彦命(あさひこのみこと)

下総国旧事考が別名とする。

アメノナエマスの物語

  1. 又見神社に祀られる
  2. 香取の神の名は定まらない
  3. 不開殿という摂社
  4. なぜ記録が少ないのか

又見神社に祀られる

この神を祀るのは、香取神宮の摂社です。

又見神社(またみじんじゃ)。若御児神社ともいう。

若御児とは、子の神を指す言い方です。

主祭神フツヌシの社に対して、それに仕える家の祖が子として祀られる形になります。

香取神宮には、この社のほかにも多くの摂社・末社があります。側高神社は第一の摂社とされ、その祭神を忌部氏系のアメノヒワシとする説もあります。

香取の神の名は定まらない

この神が仕えた香取神宮の主祭神は、記録によって呼び名が変わります。

常陸国風土記 ─ 天より降り来たれる神、名は普都大神。
日本書紀の一書 ─ 経津主神、または斎主、斎の大人。
延喜式の春日祭祝詞 ─ 伊波比主命。
古語拾遺・先代旧事本紀 ─ 経津主。

四つ以上の名が並んでいます。

古い神ほど、名が一つに定まりません。この神の祖である香取氏は、その定まらない神に仕え続けた家ということになります。

不開殿という摂社

香取神宮の本殿の近くに、かつて不開殿(あけずどの)という摂社がありました。

不開殿とは、鹿島神宮の正殿を指す。
毎年三月、祭神がこの殿に神幸したという。

香取と鹿島は、利根川をはさんで向かい合う二つの大社です。

フツヌシとタケミカヅチという、国譲りで組んで働いた二柱を祀ります。

斎主が世にあったころ、その住居のかたわらに神籬を設け、常にフツノミタマの神に奉仕していたと伝えられます。

なぜ記録が少ないのか

この神について確かに分かるのは、香取氏の祖であるということだけです。

記紀 ─ 名なし。
古語拾遺 ─ 名なし。
延喜式 ─ 名なし。

現れるのは、社伝と江戸時代の地誌だけです。

理由は、祭祀を担う側の神だったからです。

祀られる神ではなく、祀る家の祖です。国の書に載る必要がありません。それでも家が続くかぎり、名は伝えられます。

千葉県館山市の安房神社の近くにあった香取神社は、大正五年まで存在し、その祭神は宇豆毘古(槁根津日子)だったと伝えられます。

アメノナエマスの家系図と家族

アメノナエマスのきょうだい: 天日鷲神ともに香取の摂社に関わる

アメノナエマスの性格と人物像

アメノナエマスは、仕える側の神です。

物語はありません。神階も受けていません。ただ、香取神宮の神職首座を代々出した家の祖として名が残りました。

名は「苗が増える」。実りを願うだけの、静かな名です。

剣の神を祀る大社にあって、その家の祖の名が農耕を指しているというのは示唆的です。武の社を支えたのは、稲を作る土地の力だったということかもしれません。

アメノナエマスを祀る神社

この神を祀るのは、香取神宮の摂社又見神社です。若御児神社ともいいます。

香取神宮以外に、この神を祀る社はほとんど確認されていません。

千葉県館山市の安房神社の近くには、大正五年まで香取神社(梶取神社)がありましたが、その祭神はフツヌシではなく、アメノトミに従って来たという宇豆毘古だったと伝えられます。

又見神社(またみじんじゃ)

香取神宮の摂社

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又見神社の住所: 千葉県香取市香取1480

又見神社の御祭神: 天苗加命・武沼井命・天押雲命

又見神社のご利益: 勝運

この神を筆頭の一柱として祀る。本殿後方の石室は市の史跡。

周辺の宿をさがす

又見神社へ参拝するときの、千葉県香取市の宿を探せます。

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香取神宮(かとりじんぐう)

下総国一宮

地図で開く

香取神宮の住所: 千葉県香取市香取1697-1

香取神宮の御祭神: 経津主大神

香取神宮のご利益: 勝運

摂社の又見神社にこの神が祀られる。香取氏が神職首座をつとめた。

周辺の宿をさがす

香取神宮へ参拝するときの、千葉県香取市の宿を探せます。

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アメノナエマスが現代に残した痕跡

アメノナエマスの名は、社家の系図に残りました

香取氏: 香取神宮の大宮司・大禰宜を代々つとめた家。この神を祖とする。

又見神社: 香取神宮の摂社。若御児神社ともいう。

下総国旧事考: 弘化二年の地誌。朝彦命の別名を苗加命とする。

アメノナエマスのご利益

五穀豊穣

名の「苗が増える」による。

子孫繁栄

香取氏の祖神であることによる。

アメノナエマスについてよくある質問

アメノナエマスとはどんな神様ですか。

香取神宮の神職首座をつとめた香取氏の祖神です。香取神宮の摂社である又見神社に祀られます。

記紀に出てきますか。

名は見えません。社伝と、弘化二年の下総国旧事考などの地誌に現れる神です。

名前の意味は何ですか。

「苗が増える」です。「ナエ」は稲の苗、「マス」は増すことを指します。香取が古くからの米の産地であることと結びつけて読めます。

アメノナエマスと併せて覚えたい言葉・用語

一書(あるふみ)

日本書紀が本文とは別に併記する異伝。「一書に曰く」の形で複数載る。

国譲り(くにゆずり)

オオクニヌシが葦原中国の統治権を天津神に明け渡した出来事。