タケミナカタの第五子。水内を開いた祖神とされる。
モリタとは何の神様か
モリタの漢字表記と読み方
読みは「もりた」です。「モリ」は守る、「タ」は田とも読めます。
田を守る神という読み方は、水内開拓の伝えとよく合います。
ただし、宇達神を祀る長野市下宇木の宇達神社では、宇達神は泥土立神が転じたものだと伝えます。
読みも表記も揺れが大きく、名の由来は定まっていません。
守達神(もりたのかみ)
一般に用いられる表記。
宇達神(うたつのかみ)
日本三代実録に見える式外社の神。同神とされる。
安達神(あだちのかみ)
貞観五年の神階記事に見える名。
守田ノ神(もりたのかみ)
守矢氏系譜が守宅神の別名として挙げる名。
モリタの物語
水内という土地
この神が開いたとされるのは、水内郡です。
いまの長野市とその周辺。
千曲川と犀川が合流する土地。
二つの大きな川が出会う場所であり、水の恵みと水の害が同居する地でした。
長野市七二会の守田神社は、水内郡の式内社守田神社の論社にあたります。
式内社とは、延喜式神名帳に名の載る社のことです。その候補が複数ある場合、論社と呼びます。この社もその一つです。
神階の記録
この神は、国の記録に名が残っています。
貞観五年(八六三年)二月 ─ 従五位下の安達神に従五位上を加える。
貞観七年(八六五年)三月十二日 ─ 従五位上の宇達神に従四位下を加える。
いずれもこの神を指すとされます。
日本三代実録の貞観五年二月十四日条には、式外社として宇達神が記されます。
式外社とは、延喜式神名帳に載っていないのに神階を受けた社のことです。制度の外側で力を持っていた神ということになります。
守宅神との混同
この神をめぐる最大の問題が、守宅神との区別です。
守達神(モリタ) ─ タケミナカタの子。
守宅神(モリタカ) ─ 洩矢神の子。
親が正反対です。
それにもかかわらず、明治初期の神長守矢氏系譜は、守宅神の別名として守田ノ神を挙げます。
そのため両者は同一視されることがあります。進入した側の子と、迎え撃った側の子が、名の似ることで重ねられているのです。
諏訪の系譜には、こうした重なりが数多くあります。
モリタの家系図と家族
モリタの性格と人物像
モリタは、川の合流点の神です。
物語はありません。あるのは、水内を開いたという一行と、神階を受けたという記録だけです。
しかし神階の記録は、この神が実際に信仰を集めていた証拠です。
神階を受けた安達神・宇達神の社は延喜式神名帳に載らないのに、従四位下まで昇っています。制度の外にありながら、朝廷が無視できない力を持っていた。書かれた物語の量と、実際の勢いは一致しないことを教えてくれる神です。
モリタを祀る神社
この神を主祭神とするのは、長野市七二会の守田神社です。水内郡の式内社・守田神社の論社にあたります。
諏訪大社上社前宮の若御子社、茅野市と岡谷市の十五社神社にも祀られます。
宇達神を祀る長野市下宇木の宇達神社では、宇達神を泥土立神の転訛と伝えており、同神とみるかどうかで解釈が分かれます。
モリタが現代に残した痕跡
モリタの名は、神階の記録に残りました。
水内郡: 長野市周辺の古い郡名。この神が開いたと伝えられる。
日本三代実録: 平安時代の国史。貞観五年と七年の神階昇進を記す。
式外社: 延喜式神名帳に載らないのに神階を受けた社。同神とされる安達神・宇達神の社がそれにあたる。
モリタのご利益
開拓
水内を開いた祖神とされることによる。
五穀豊穣
名を「田を守る」と読むことによる。
モリタについてよくある質問
モリタとはどんな神様ですか。
タケミナカタとヤサカトメの子で、長野市七二会の守田神社では第五子とされ、水内を開いた祖神と伝わります。
守宅神と同じですか。
別の神です。守達神はタケミナカタの子、守宅神は洩矢神の子であり、系譜上の立場が正反対です。ただし名が似るため同一視されることがあります。
国の記録に残っていますか。
日本三代実録に、貞観五年に安達神へ従五位上、貞観七年に宇達神へ従四位下を加えた記事があり、いずれもこの神とされます。