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日本神話

ヤキネ(八杵命)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

八杵命  / ヤキネノミコト

大地 国津神

タケミナカタの子。信濃開拓の神とされ、諏訪上社の禰宜大夫の祖。

ヤキネとは何の神様か

ヤキネはひとことで言えば子孫だけが伝わる神です。長野県諏訪地方の伝承に見え、タケミナカタヤサカトメの子とされます。

諏訪大社上社の五官祝のひとつ、禰宜大夫をつとめた小出氏の祖神と伝えられます。

しかし詳しい系図は残っておらず、全貌が分かりません

ヤキネの漢字表記と読み方

読みは「やきね」または「やぎね」です。「ヤ」は八、つまり数が多いこと「キネ(杵)」は米をつく道具を指します。

多くの杵という形です。

杵は、稲作に欠かせない道具です。

信濃国開拓の神とされることと、名の意味は結びつきます。ただし読みが二通りあり、阿波国の八桙神と同一視する説もあって、名の解釈は定まっていません。

八杵命(やきねのみこと)

神氏系図での表記。

八杵命(やぎのみこと)

別の読み方。

八桙神(やほこのかみ)

阿波国の八桙神社の祭神。同一視する説がある。

ヤキネの物語

  1. 諏訪の御子神たち
  2. 五官祝という役職
  3. 矢木神社と失われた神陵
  4. なぜ記録が少ないのか

諏訪の御子神たち

タケミナカタとヤサカトメには、多くの子がいたと伝えられます。

諏訪大社上社前宮の若御子社には、二十二柱が祀られる。
下社春宮・秋宮の若宮社には、十三柱が祀られる。

この神は、そのうちの一柱です。

信濃国の開拓に功績をたてた十三柱の御子神に数えられることもあります。

諏訪の信仰では、こうした御子神が地域ごとに祀られ、それぞれの土地の神官の家の祖とされました。神々の系図が、そのまま人の家の系図になっています。

五官祝という役職

諏訪大社上社には、五官祝と呼ばれる五つの神職がありました。

神長官 ─ 守矢氏。
禰宜大夫 ─ 小出氏。
権祝 ─ 矢島氏。
擬祝 ─ 伊藤氏。
副祝 ─ 長坂氏。

この神は、禰宜大夫の小出氏の祖神と伝えられます。

それぞれの家が、それぞれの祖神を持ちます。家の由緒を神の系譜で示すという仕組みです。

ただし小出氏の詳しい系図は残っておらず、この神についても子孫の名以外はほとんど分かりません。

矢木神社と失われた神陵

下諏訪町矢木に、この神を祀る矢木神社があります。

信濃国開拓の神とされる。
神陵が付近にあると伝わる。

しかし、その正確な位置は分かっていません

地名の「矢木」と神名の「八杵」は音が通じます。神の名が地名になったのか、地名から神の名が作られたのかは決められません。

諏訪では、こうした対応が数多く見られます。神と土地が切り離せない形で伝わっている、ということでもあります。

なぜ記録が少ないのか

この神は、他の史書にまったく見えません

記紀 ─ 名なし。
延喜式 ─ 名なし。
三代実録 ─ 名なし。

現れるのは、諏訪の系図地元の社伝だけです。

理由は、国の記録に載る機会がなかったことにあります。

神階を受けたり、式内社の祭神として登録されたりすれば、名は国の書に残ります。しかしこの神は、家の内側の神でした。

祀る社が長野県以外に存在するかどうかも、はっきりしていません。土地の外へ出なかった神の典型です。

ヤキネの家系図と家族

ヤキネの親: タケミナカタ八坂刀売神

ヤキネのきょうだい: イズハヤオモリタ

ヤキネの性格と人物像

ヤキネは、家の神です。

国の記録に名はありません。物語もありません。あるのは、誰の子で、誰の親かという一行と、ひとつの家がその子孫を名乗ったという事実だけです。

それでも、その家は明治まで諏訪大社の神事を担い続けました。

神話としては何も持たない神が、現実の職掌を千年支えた。日本の神々のなかには、こうした働き方をする存在が数多くいます。

ヤキネを祀る神社

この神を祀る社は、長野県内に限られます。

下諏訪町矢木の矢木神社が中心で、信濃国開拓の神とされます。

諏訪大社の上社前宮若御子社、下社春宮・秋宮の若宮社にも、御子神の一柱として祀られます。

長野県以外に祀る社があるかどうかは、はっきりしていません。

諏訪大社 下社春宮(すわたいしゃ しもしゃはるみや)

信濃国一宮

地図で開く

諏訪大社 下社春宮の住所: 長野県諏訪郡下諏訪町193

諏訪大社 下社春宮の御祭神: 建御名方神・八坂刀売神

諏訪大社 下社春宮のご利益: 開運

この神の父母を祀る。摂社の若宮社に御子神十三柱が祀られる。

周辺の宿をさがす

諏訪大社 下社春宮へ参拝するときの、長野県諏訪郡下諏訪町の宿を探せます。

広告を含みます

諏訪大社 下社秋宮(すわたいしゃ しもしゃあきみや)

信濃国一宮

地図で開く

諏訪大社 下社秋宮の住所: 長野県諏訪郡下諏訪町5828

諏訪大社 下社秋宮の御祭神: 建御名方神・八坂刀売神

諏訪大社 下社秋宮のご利益: 開運

摂社の若宮社に御子神十三柱が祀られる。

周辺の宿をさがす

諏訪大社 下社秋宮へ参拝するときの、長野県諏訪郡下諏訪町の宿を探せます。

広告を含みます

ヤキネが現代に残した痕跡

ヤキネの名は、神官の家に残りました

五官祝: 諏訪大社上社の五つの神職。禰宜大夫の小出氏がこの神を祖とする。

矢木: 長野県下諏訪町の地名。矢木神社が鎮座する。

八桙神社: 徳島県の式内社。祭神をこの神と同一視する説がある。

ヤキネのご利益

五穀豊穣

名の「杵」と、信濃開拓の伝えによる。

開拓

信濃国開拓の神とされることによる。

ヤキネについてよくある質問

ヤキネとはどんな神様ですか。

タケミナカタとヤサカトメの子とされる神です。諏訪大社上社の五官祝のひとつ、禰宜大夫をつとめた小出氏の祖神と伝えられます。

どんな事績がありますか。

ほとんど記されていません。下諏訪町の矢木神社で信濃国開拓の神とされ、神陵が付近にあると伝わりますが、位置は不明です。

記紀に出てきますか。

記紀にも延喜式にも名は見えません。諏訪の系図と地元の社伝にのみ現れる神です。