本文へ移動

日本神話

イズハヤオ(出早雄命)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

出早雄命  / イズハヤオノミコト

国津神

タケミナカタの子。諏訪大社の門番神とされ、諏訪氏の祖神。

イズハヤオとは何の神様か

イズハヤオはひとことで言えば門を守る御子神です。タケミナカタヤサカトメの子とされます。

近世の伝承では次男で、父の世継ぎとして諏訪を治めたと伝わります。

諏訪大社上社本宮の摂社出早社では門番神として崇敬され、イボ取りに霊験があるとして小石を奉納する風習が残ります。

イズハヤオの漢字表記と読み方

読みは「いずはやお」です。「イズ(出・伊豆)」は出る、または厳めしい「ハヤ」は速い「オ」は男を指します。

勢いよく出る男神という形です。

上社の神楽歌集祝詞段根元記では、「イスハイ」「イツハエ」として出てきます。

幕末の諏訪旧跡志では「内県神 出速雄命」と表記されます。表記の揺れが大きい神です。

出早雄命(いずはやおのみこと)

一般に用いられる表記。

出速雄命(いずはやおのみこと)

別の表記。

伊豆速男神(いずはやおのかみ)

別の表記。

出止明神(いではやみょうじん)

諏訪上社物忌令之事での表記。

イズハヤオの物語

  1. 国の記録に残る神階
  2. 門番の神
  3. 弟から譲られる
  4. 皆神山の熊野出速雄神社

国の記録に残る神階

この神は、国史に名が残っています

貞観二年(八六〇年)二月五日 ─ 信濃国の馬背神・飄別神・妻科地神・駒弓神とともに、従五位下を授けられる。
貞観十五年(八七三年)四月五日 ─ 従五位上へ。
元慶二年(八七八年)二月七日 ─ 正五位下へ。

十八年で三段昇進しています。

諏訪の御子神のなかで、これほど記録の残る神は多くありません。中央から認められていたことを示します。

門番の神

諏訪大社上社本宮の摂社出早社での扱いが、この神の性格をよく表します。

諏訪大社の門番神として崇敬される。

父の社の入口を、子が守るという配置です。

そして、独特の信仰が伝えられています。

イボ取りに霊験がある。小石を奉納してイボの全快を祈願する。

病を祈る神としては、きわめて具体的です。大きな願いではなく、身近な悩みに応える神として親しまれてきました。

弟から譲られる

下社の社家武居氏の家伝には、興味深い話があります。

父神の寵愛を受けたこの神は、弟の意岐萩神から諏訪の地を譲り授けられた。
意岐萩神とともに、そこに鎮座した。

兄が弟から譲られるという、順序の逆転した話です。

意岐萩神は、ここでは武居氏の祖先とされます。つまり下社の家が、上社の神に土地を譲ったという筋になります。

家の由緒を語るとき、譲る側になることが誇りにもなりました。譲与の物語は、敗北とは限りません

皆神山の熊野出速雄神社

長野市松代町の皆神山にも、この神を祀る社があります。

熊野出速雄神社 ─ 海津地域開拓の祖神で、農耕の神とされる。

中世以降、北信地域の熊野修験の聖地として「熊野三社権現」と呼ばれました。

皆神山の神官家である関屋氏は、建武二年(一三三五年)の青沼合戦で建武政権に反乱を起こし、鎮圧されています。

以後、祭祀は松代の玉依姫神社の神主小河原氏が担い、江戸時代には天台本山派の修験として地域の山伏を支配しました。

イズハヤオの家系図と家族

イズハヤオの親: タケミナカタ八坂刀売神

イズハヤオのきょうだい: ヤキネタケミナカタヒコカミワケ

イズハヤオの妻・夫: タマルヒメ

イズハヤオの子・子孫: イズハヤヒメヤガタスクネ会津比売神親子とする系図がある

イズハヤオの性格と人物像

イズハヤオは、入口に立つ神です。

大きな物語はありません。国を譲ることも、戦うこともありません。ただ、父の社の門を守り、イボを取ってくれる神として親しまれました。

しかし、神階は正五位下まで昇っています。

身近な願いを聞く神が、国の記録にも名を残す。信仰の大きさは、物語の大きさとは別であることを示す例です。諏訪氏の祖神とされ、いまも各地の社に名が残ります。

イズハヤオを祀る神社

この神を祀る社は、長野県内に広く分布します。

諏訪大社上社本宮の出早社、岡谷市の出早雄小萩神社、上田市真田町の出早雄神社、下伊那郡高森町の出早神社、長野市松代町の熊野出速雄神社などです。

各地の御社宮司社十五社神社神明神社にも数多く祀られます。

県外の社に祀られる例もあります。

諏訪大社 上社本宮(すわたいしゃ かみしゃほんみや)

信濃国一宮

地図で開く

諏訪大社 上社本宮の住所: 長野県諏訪市中洲宮山1

諏訪大社 上社本宮の御祭神: 建御名方神

諏訪大社 上社本宮のご利益: 勝運

摂社の出早社にこの神が祀られる。門番神として崇敬される。

イボ取りに霊験があるとして小石を奉納する風習がある。

周辺の宿をさがす

諏訪大社 上社本宮へ参拝するときの、長野県諏訪市の宿を探せます。

広告を含みます

イズハヤオが現代に残した痕跡

イズハヤオの名は、社名と姓に残りました

出早社: 諏訪大社上社本宮の摂社。門番神として崇敬される。

早出氏: この神の後裔と伝える一族。神威を恐れて字を入れ替えたとされる。

皆神山: 長野市松代町の山。熊野出速雄神社が鎮座する。

イズハヤオのご利益

病気平癒

イボ取りに霊験があるとされたことによる。

厄除け

門番神として崇敬されたことによる。

開拓

信濃の開拓に功績をたてた御子神とされることによる。

イズハヤオについてよくある質問

イズハヤオとはどんな神様ですか。

タケミナカタとヤサカトメの子とされる神です。諏訪大社上社本宮の摂社・出早社では門番神として崇敬されます。

イボ取りとはどういうことですか。

出早社にはイボ取りに霊験があるとされ、小石を奉納して全快を祈願する風習が残っています。

国の記録に残っていますか。

日本三代実録に、貞観二年に従五位下、貞観十五年に従五位上、元慶二年に正五位下を授けられた記事があります。