三兄弟の次男。火が盛んなときに生まれ、以後登場しない。
ホスセリとは何の神様か
ホスセリの漢字表記と読み方
読みは「ほすせり」です。「ホ」は火、「スセリ」は勢いが盛んなことを指します。
三兄弟の名は、火の燃え方の三段階で付けられています。
火照命(ホデリ) ─ 火が照るとき
火須勢理命(ホスセリ) ─ 火が盛んなとき
火遠理命(ホオリ) ─ 火が衰えるとき
火須勢理命(ほすせりのみこと)
古事記での表記。
火闌降命(ほのすそりのみこと)
日本書紀での表記。兄弟の順序が異なる。
ホスセリの物語
火のなかで生まれる
コノハナサクヤヒメは、一夜で身ごもりました。ニニギはこれを疑います。
一夜で子ができるものか。国津神?の子ではないのか。
怒った彼女は、戸のない産屋を建て、内側から土で塗り固め、火を放ってその中で産みました。
天津神?の子であれば、火のなかでも無事に生まれるはず。
三柱とも無事に生まれ、疑いは晴れました。
生まれた順に、火の燃え方が名になっています。
真ん中だけが消える
このあと、物語は海幸山幸へ進みます。
ホデリ(海幸彦) ─ 海で漁をする
ホオリ(山幸彦) ─ 山で狩りをする
二人は道具を交換し、山幸彦が兄の釣針を失くしたことから物語が動き出します。海神の宮へ行き、潮を操る玉を得て、兄を従わせます。
ホスセリは、この物語に一度も出てきません。
生まれたことだけが記され、それきりです。
日本書紀では順序が違う
日本書紀では、兄弟の順序が異なります。
古事記 ─ ホデリ・ホスセリ・ホオリ
日本書紀 ─ ホノスソリ(=ホスセリ)が次男から長男の位置に来る一書?がある
書によって、誰が海幸彦なのかが揺れています。
三人という数は固定されているのに、中身が定まっていないという状態です。
このことから、三兄弟という枠が先にあり、名が後から当てはめられたとする見方があります。
三兄弟の真ん中という型
日本の物語には、三兄弟の真ん中が目立たないという型が繰り返し現れます。
長男 ─ 敗れる側/挑む側
次男 ─ 何もしない
三男 ─ 成功する
昔話の「三人兄弟」でも、活躍するのは末子です。末子成功譚と呼ばれます。
ホスセリは、その古い例にあたります。
真ん中がいることで、末子がいちばん下であることがはっきりします。数を作るための存在です。
ホスセリの家系図と家族
ホスセリの性格と人物像
ホスセリは、役割を与えられなかった神です。
火のなかで生まれるという印象的な場面に居合わせながら、その後は何もしません。名前は勇ましく「火の勢いが盛んなとき」ですが、その勢いを発揮する場面がありません。
神話における「数を揃えるための存在」がどう扱われるかを、はっきり示しています。
三人であることが必要で、真ん中に誰かがいなければならなかった。その位置にホスセリが置かれました。
ホスセリを祀る神社
ホスセリを主祭神とする社は、ほとんどありません。
宮崎や鹿児島の、天孫降臨?ゆかりの社で三兄弟をまとめて祀る形に名が見られる程度です。
兄のホデリは隼人の祖として、弟のホオリは神武天皇の祖父として祀られますが、この神にはその位置がありません。
ホスセリが現代に残した痕跡
ホスセリの名は、兄弟の枠のなかに残りました。
末子成功譚: 三兄弟の末子が成功する物語の型。真ん中は役割を持たないことが多い。
スセリ: 勢いが盛んなことを表す古語。スサノオの娘スセリビメの名にも含まれる。
ホスセリのご利益
火防
火中出生の伝えによる。
安産
母コノハナサクヤヒメの火中出産の伝えによる。
ホスセリについてよくある質問
ホスセリとはどんな神様ですか。
ニニギとコノハナサクヤヒメの子で、三兄弟の次男です。火が盛んなときに生まれたことからこの名が付きました。
なぜ海幸山幸の話に出てこないのですか。
理由は記されていません。三人兄弟という枠を作るために置かれた存在で、役割が与えられなかったとする見方があります。
日本書紀でも同じ扱いですか。
日本書紀では兄弟の順序が書によって異なり、この神が長男の位置に来る一書もあります。三人という数は固定されていますが、中身は揺れています。
ホスセリと併せて覚えたい言葉・用語
国津神(くにつかみ)
もともと地上にいた神々。出雲の神々が代表。
天津神(あまつかみ)
高天原に生まれた、あるいは高天原から降りてきた神々。
一書(あるふみ)
日本書紀が本文とは別に併記する異伝。「一書に曰く」の形で複数載る。
天孫降臨(てんそんこうりん)
アマテラスの孫ニニギが高天原から地上へ降りたこと。