ニギハヤヒに従って天降った三十二神の一柱。三嶋県主の祖。
アメノカミタマとは何の神様か
アメノカミタマはひとことで言えば読み方が定まらない神です。先代旧事本紀に登場します。
読みは「あま」「あめ」、「かみ」「かむ」「かん」など諸説あり、どれが正しいか決まっていません。
天神本紀では三嶋県主らの祖、神代本紀では葛野鴨県主らの祖。同じ書のなかで扱いが揺れています。
アメノカミタマの漢字表記と読み方
読みは「あまのかんたま」とも「あめのかむたま」とも読まれます。
「アマ/アメ」は天、「カミ/カム/カン」は神、「タマ」は霊を指します。
天の神の霊という形ですが、読みが三通りに分かれます。
先代旧事本紀は、平安時代初期に成立したとされる書です。古事記・日本書紀にない伝えを多く含みますが、その分だけ読みの伝承が確かでない箇所もあります。
天神玉命(あまのかんたまのみこと)
先代旧事本紀での表記。読みには諸説ある。
天神玉命(あめのかむたまのみこと)
別の読み方。
アメノカミタマの物語
三十二人の防衛
同じ書のなかで祖が変わる
この神の位置づけは、書のなかで揺れます。
天神本紀 ─ ニギハヤヒに随伴。三嶋県主らの祖。
神代本紀(神代系紀) ─ 神皇産霊尊の子。葛野鴨県主らの祖。
同じ書が、二つの違うことを書いています。
三嶋は摂津、葛野は山城です。どちらの一族の祖なのかが定まりません。
さらに、三十二人のなかには天神魂命という神もいます。別名を三統彦命といい、やはり葛野鴨県主らの祖とされます。
名も職掌も重なる神が、同じ列にいます。
三嶋と葛野
この神が祖とされる二つの一族は、どちらも要地にいました。
三嶋県主 ─ 摂津の三島。いまの大阪府北部。淀川の北岸。
葛野鴨県主 ─ 山城の葛野。いまの京都市西部。桂川の流域。
いずれも水運と農耕の要地です。
三島にはミシマノミゾクイがおり、用水を引いて田を開く名を負います。
葛野には賀茂の一族がおり、上賀茂・下鴨の両社を奉じました。
淀川水系でつながる二つの土地が、この神の名を通して結ばれています。
なぜ記録が少ないのか
この神には、事績がありません。
記紀 ─ 名なし。
先代旧事本紀 ─ 名と、祖とする一族のみ。
祀る社も、確認されていません。
理由は、氏族の系譜のなかの一名だからです。
先代旧事本紀の三十二人は、それぞれの一族が自らの祖を書き入れた結果だと考えられています。列に加わることが目的であり、事績は必要ありませんでした。
読みさえ定まらないのは、声に出して呼ばれる機会が少なかったことを示しているのかもしれません。
アメノカミタマの家系図と家族
アメノカミタマの性格と人物像
アメノカミタマは、列に加わった神です。
事績はありません。祀る社もありません。読み方さえ、三通りに分かれます。
それでも、ニギハヤヒに従って天降った三十二人のなかに名があります。
その列に加わることが、一族にとっての証明でした。名を書き入れることが目的だった神といえます。系譜という文書が、何のために作られたのかを教えてくれます。
アメノカミタマゆかりの地と遺跡
この神を祀る社は、確認されていません。
先代旧事本紀に名が現れるだけの神です。
祖とされる三嶋県主は摂津の三島、葛野鴨県主は山城の葛野を本拠としました。前者ゆかりの社に大阪府茨木市の溝咋神社、後者ゆかりの社に京都の賀茂社があります。
アメノカミタマが現代に残した痕跡
アメノカミタマの名は、先代旧事本紀に残りました。
天神本紀: 先代旧事本紀の一篇。ニギハヤヒに随伴した三十二人を記す。
三嶋県主: 摂津の三島を治めた一族。この神を祖とする。
葛野鴨県主: 山城の葛野を治めた一族。この神を祖とする伝えもある。
アメノカミタマのご利益
子孫繁栄
三嶋県主・葛野鴨県主らの祖とされることによる。
五穀豊穣
祖とされる一族が水運と農耕の要地にいたことによる。
アメノカミタマについてよくある質問
アメノカミタマとはどんな神様ですか。
先代旧事本紀に登場する神です。ニギハヤヒの防衛として随伴して天降った三十二人のうちの一柱で、三嶋県主らの祖とされます。
読み方は何ですか。
定まっていません。「あま」「あめ」、「かみ」「かむ」「かん」など諸説あります。
なぜ祖とされる一族が二つあるのですか。
先代旧事本紀の天神本紀では三嶋県主らの祖、神代本紀では神皇産霊尊の子で葛野鴨県主らの祖とされ、同じ書のなかで扱いが揺れています。