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日本神話

アメノツキノミタマ(天月神命)とは何の神様か|家系図・物語・祀る神社

天月神命  / アメノツキノミタマノミコト

天津神

ツクヨミとは別系統の月神。壱岐で祀られた。

アメノツキノミタマとは何の神様か

アメノツキノミタマはひとことで言えばもうひとつの月神です。ツクヨミとは異なる系統に属し、壱岐での信仰に由来します。

先代旧事本紀の天神本紀によれば、高御魂命の子で、ニギハヤヒに従って天降った三十二人のうちの一人。壱岐県主の祖にあたります。

対馬の日神アメノヒノミタマと、日と月で対をなします。

アメノツキノミタマの漢字表記と読み方

読みは「あめのつきのみたま」です。「アメノ」は天の「ツキ」は月「ミタマ」は御霊を指します。

天の月の霊という、そのままの名です。

対馬のアメノヒノミタマと、「ヒ」と「ツキ」だけが違います。

同じ形で作られた名であることが、一目で分かります。二柱は、玄界灘の二つの島の神として対応しています。

天月神命(あめのつきのみたまのみこと)

先代旧事本紀での表記。

月神(つきのかみ)

日本書紀の顕宗天皇紀での呼び方。

アメノツキノミタマの物語

  1. 顕宗天皇紀の託宣
  2. 歌荒樔田と月読神社
  3. 日と月がそろって現れる
  4. ツクヨミとの違い

顕宗天皇紀の託宣

日本書紀の顕宗天皇紀に、この神が関わる記事があります。

遣任那使阿閉事代に、月神が憑いてこう告げました。

我が祖先の高皇産霊命は、鎔けあっていた天地を創造した功績がある。民地を私に奉れ。
請うままに献上するならば、福慶があるだろう。

阿閉事代が都へ戻って奏上すると、山城国葛野郡の歌荒樔田が月神のために与えられました。

祭祀を行ったのは、壱岐県主の祖・押見宿禰です。

島の一族が、都の近くに土地を得て神を祀ったことになります。

歌荒樔田と月読神社

与えられた歌荒樔田は、いまどこにあたるのでしょうか。

京都市西京区、松尾大社の境外摂社・月読神社と考えられている。

つまり、壱岐の月神が京都に移されたということです。

月読神社は、いまも松尾大社の南に鎮座します。ツクヨミを祀る社として知られますが、その起こりは壱岐にありました。

壱岐にも月読神社があり、こちらが本社にあたるとされます。長崎県壱岐市芦辺町の箱崎八幡神が、延喜式神名帳の月読神社の流れを汲むともされます。

日と月がそろって現れる

顕宗天皇紀には、日神の記事も並んでいます。

月神 ─ 阿閉事代に憑き、歌荒樔田を得る。
日神 ─ 同じ阿閉事代に憑き、磐余の田を得る。

同じ人物に、日と月が続けて憑いています

研究者の北條勝貴は、この対応を重視しました。

祖神がともに高皇産霊であること。祭祀を担う氏族がともに玄界灘の島を本拠とし、卜部を出すこと。

壱岐と対馬の日月信仰が、ある時期に一緒に畿内へ移されたのではないか、という見方です。

ツクヨミとの違い

記紀のツクヨミと、この神は別の神です。

ツクヨミ ─ イザナギで、右目から生まれた。三貴子の一柱。
アメノツキノミタマ ─ 高御魂命の子。壱岐県主の祖。

系統がまったく違います。

ツクヨミは記紀の主要な神でありながら、事績がほとんど記されないことで知られます。

一方この神は、具体的な託宣と、土地を得た記録を持ちます。

中央の月神は語られず、地方の月神は行いが記録された。奇妙な逆転が起きています。

アメノツキノミタマの家系図と家族

アメノツキノミタマの親: タカミムスヒ

アメノツキノミタマのきょうだい: アメノヒノミタマ日と月で対をなす

アメノツキノミタマの性格と人物像

アメノツキノミタマは、土地を求めた神です。

人に憑き、はっきりと要求を告げました。祖先の功績を挙げ、田を寄こせと言いました。そして、実際に得ました。

神話のなかで、これほど具体的な交渉をする神は多くありません。

壱岐という小さな島の神が、都の近くに拠点を得ました。地方の一族が中央に食い込む過程が、託宣という形で記録されているとみることもできます。

アメノツキノミタマを祀る神社

この神を祀るのは、京都市西京区松室山添町の月読神社です。松尾大社の境外摂社にあたります。

日本書紀が伝える歌荒樔田は、この社の地と考えられています。

長崎県壱岐市芦辺町の箱崎八幡神社は、延喜式神名帳に記された月読神社の流れを汲むとされます。壱岐と京都を、この神の名が結んでいます。

月読神社(つきよみじんじゃ)

松尾大社の境外摂社

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月読神社の住所: 京都府京都市西京区松室山添町15

月読神社の御祭神: 月読尊

月読神社のご利益: 安産

この神を祀る社。日本書紀が伝える歌荒樔田はこの地と考えられている。

周辺の宿をさがす

月読神社へ参拝するときの、京都府京都市の宿を探せます。

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松尾大社(まつのおたいしゃ)

二十二社

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松尾大社の住所: 京都府京都市西京区嵐山宮町3

松尾大社の御祭神: 大山咋神・市杵島姫命

松尾大社のご利益: 醸造守護

境外摂社として月読神社を管する。

周辺の宿をさがす

松尾大社へ参拝するときの、京都府京都市の宿を探せます。

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アメノツキノミタマが現代に残した痕跡

アメノツキノミタマの名は、月読神社に残りました

歌荒樔田: 山城国葛野郡の地。月神のために与えられた。

壱岐県主: 壱岐を治めた一族。この神を祖とする。

卜部: 亀の甲を焼いて占う職。壱岐・対馬から多く出た。

アメノツキノミタマのご利益

開運

月の神としての性格による。

航海安全

玄界灘の島で祀られたことによる。

アメノツキノミタマについてよくある質問

アメノツキノミタマとはどんな神様ですか。

ツクヨミとは別系統の月神で、壱岐での信仰に由来します。先代旧事本紀では高御魂命の子で、壱岐県主の祖とされます。

ツクヨミと同じですか。

別の神です。ツクヨミはイザナギの禊で右目から生まれた三貴子の一柱、この神は高御魂命の子で壱岐県主の祖です。

京都の月読神社との関係は何ですか。

日本書紀によれば、月神のために山城国葛野郡の歌荒樔田が与えられました。その地が、松尾大社の境外摂社である月読神社にあたると考えられています。

アメノツキノミタマと併せて覚えたい言葉・用語

三貴子(さんきし)

イザナギが最後に生んだ三柱、アマテラス・ツクヨミ・スサノオのこと。この三柱だけが特別に貴い神として扱われる。

(みそぎ)

水で身を洗い、穢れを落とすこと。イザナギはこれによって三貴子を生んだ。