小豆島そのものの神名。名の「鐸」は銅鐸を指すとされる。
オオノデヒメとは何の神様か
オオノデヒメの漢字表記と読み方
読みは「おおのでひめ」、古くは「おほぬてひめ」と読まれました。
「オオ」は大、「ヌデ(ヌテ・ヌリテ)」は銅鐸、「ヒメ」は女神を指します。
銅鐸は、弥生時代に作られた青銅の鐘です。
小豆島にはかつて大鐸村という地名があり、村名にもこの語が残っていました。名と地名と出土品が三つそろっている、めずらしい例です。
大野手比売(おおのでひめ)
古事記での表記。
大野手比売(おほぬてひめ)
「手」を「ぬて」と読む別の読み方。
大鐸比売(おおぬてひめ)
「手」を「鐸」の字に当てる読み方。
オオノデヒメの物語
島に与えられた名
古事記の国生みでは、大八島のあとに六つの島が生まれます。
吉備児島 ─ 建日方別。
小豆島 ─ 大野手比売。
大島 ─ 大多麻流別。
女島 ─ 天一根。
知訶島 ─ 天之忍男。
両児島 ─ 天両屋。
島そのものが、神の名を持っています。
島と神を分けない書き方は、四国の四つの顔や、九州の四つの顔と同じです。土地に霊が宿るという考え方が、この形をとらせています。
三五郎池の銅鐸
この女神の名を裏づける発見があります。
小豆島の三五郎池の西側から、銅鐸が出土した。
神名の「ヌデ」が銅鐸を指すという説と、実物の出土が一致しました。
銅鐸は弥生時代の祭りの道具で、音を鳴らして神を招くために使われたと考えられています。
古墳時代に入ると作られなくなり、地中に埋められた例が多く見つかります。なぜ埋めたのかは分かっていません。名だけが、神話のなかに残りました。
島玉神として祀る
小豆島では、この女神は島玉神として祀られます。
島玉(しまたま) ─ 島そのものの霊。
国魂と同じ考え方です。
阿豆枳島神社 ─ 香川県小豆島町神懸通。
大野手姫神社 ─ 香川県土庄町肥土山。
阿豆枳(あづき)は、小豆と同じ音です。
さらに、福井県今立郡池田町の須波阿湏疑神社にも名が伝わります。瀬戸内海から北陸へ、名が渡っている形になります。
夫をめぐる異説
この女神の夫について、宝賀寿男の説があります。
諸系譜では、布留多摩命の娘として現れ、天日方奇日方命の妻日向賀牟度美良姫の別名とされます。
しかし宝賀は、これを疑いました。
天日方奇日方命との世代のずれがある。
越前に祀られていることとも合わない。
三輪氏の祖神とは位置づけられない、というのがその結論です。
代わりに、河内国の式内社鐸比古神社と鐸比売神社の存在から、鐸比古神・鐸比売神とは凡河内国造の祖の両親の異名ではないかと主張しました。
オオノデヒメの家系図と家族
オオノデヒメの性格と人物像
オオノデヒメは、音の神です。
事績はありません。夫も子もいません。あるのは、島の名と、銅鐸を指す語だけです。
しかしその銅鐸は、実際に島から出てきました。
神話の名と、地面から出た金属の鐘が結びつく。日本神話のなかで、考古学の成果と直接つながる神名は多くありません。この女神は、その数少ない例です。
オオノデヒメを祀る神社
この女神を祀る社は、香川県小豆島町の阿豆枳島神社と、土庄町の大野手姫神社です。
阿豆枳は小豆と同じ音で、島の名がそのまま社名になっています。
福井県今立郡池田町の須波阿湏疑神社にも名が伝わります。瀬戸内海の島の神が北陸に祀られている点は、海の道の広がりを示すものとして注目されます。
オオノデヒメが現代に残した痕跡
オオノデヒメの名は、銅鐸と地名に残りました。
銅鐸: 弥生時代の青銅の鐘。「ぬで」「ぬて」と呼ばれた。
大鐸村: 小豆島にかつてあった地名。神名と同じ語を持つ。
島玉神: 島そのものの霊。国魂と同じ考え方。
オオノデヒメのご利益
国土安泰
小豆島の島玉神とされることによる。
五穀豊穣
銅鐸が祭りの道具であったことによる。
オオノデヒメについてよくある質問
オオノデヒメとはどんな神様ですか。
古事記の国生みで小豆島の別名として登場する神です。イザナギとイザナミの子とされますが、夫や子孫の記述はありません。
名前の意味は何ですか。
「ぬで」「ぬて」は銅鐸を指す語です。小豆島にはかつて大鐸村という地名があり、三五郎池の西側から実際に銅鐸が出土しています。
祀っている神社はありますか。
香川県小豆島町の阿豆枳島神社と、土庄町の大野手姫神社です。福井県池田町の須波阿湏疑神社にも名が伝わります。