伊勢神宮内宮の正宮を守る女神。オオミヤノメの別名とされる。
ミヤビノカミとは何の神様か
ミヤビノカミの漢字表記と読み方
読みは「みやび」です。「ミヤ」は宮、「ビ(ヒ)」は霊を指します。
宮の霊という形です。
いまの雅(みやび)という語も、もとは宮のようであることを指しました。
宮廷の作法にかなっている、上品である、という意味です。神の名と日常語が同じ音を持ちながら、意味の重なりははっきりしていません。
宮比神(みやびのかみ)
伊勢神宮での表記。
大宮売命(おおみやのめのみこと)
別名とする説。
天鈿女命(あめのうずめのみこと)
サルタヒコの妻として別名とする説。
ミヤビノカミの物語
興玉神と並ぶ
この神は、興玉神と同じ石畳の上に祀られます。
興玉神 ─ 西を向いて鎮座。
宮比神 ─ 北を向いて鎮座。
同じ場所にいながら、向きが違います。
興玉神はサルタヒコの別名とされます。そして宮比神は、アメノウズメの別名とされます。
サルタヒコとアメノウズメは、天孫降臨?のときに出会い、のちに夫婦になったと伝えられる二柱です。
その二柱が、伊勢の垣の内で並んで祀られているという配置になります。
大宮売か、天鈿女か
この神の正体には、二つの説があります。
オオミヤノメ(大宮売命) ─ 宮廷に仕える女官を神格化した神。
アメノウズメ(天鈿女命) ─ 岩戸の前で踊った神。サルタヒコの妻。
どちらも、宮に仕える女性という点で共通します。
オオミヤノメは、宮中の御巫祭神八座の一柱です。伏見稲荷大社にも祀られます。
アメノウズメは、猿女君という一族の祖とされます。猿女君は、宮廷の祭りで舞を担いました。
どちらの説も、宮仕えの女性の系譜につながります。
内物忌父が仕える
この神への奉仕には、決まった役がありました。
内物忌父ら ─ 大物忌父、宮守物忌父、地祭物忌父ほか。
建久年間の記録によれば、この人々が神饌を供する役目を担いました。
御垣内の乾(北西)にあり、巽(南東)の屋乃波比伎神と対をなしていました。
あちらは外物忌父が仕えます。
内と外、乾と巽。二つの神が、方角と役の両方で対になっていました。近世に外物忌父が絶え、この対応は意味をなさなくなります。
寛文九年からの移動
この神の鎮座地は、動いています。
寛文九年(一六六九年)以降 ─ 内玉垣の外の北西に鎮座。
明治二年(一八六九年)から ─ 板垣内の北西端に鎮座。
興玉神とともに、垣の内側へ移されたことになります。
さらに、式年遷宮のたびに二十年に一度、内宮の遷御にあわせて移動します。
社殿を持たない社が、繰り返し場所を変えながら千年以上続いている。伊勢の所管社は、そうした形で伝えられてきました。
ミヤビノカミの家系図と家族
ミヤビノカミの性格と人物像
ミヤビノカミは、仕える側の女神です。
物語はありません。正体さえ、二つの説のあいだで揺れています。それでも、正宮の守護神として第三位の座を与えられました。
名は「宮の霊」。宮そのものではなく、宮に付き添うものです。
宮中で女官が果たした役割が、そのまま神になったと考えられます。仕えることが神格になるという考え方は、日本の神々のなかでしばしば見られます。
ミヤビノカミを祀る神社
この神を祀るのは、内宮の御垣内にある所管社です。興玉神と同じ石畳の上に、北を向いて祀られます。
寛文九年以降は内玉垣の外の北西、明治二年からは板垣内の北西端に鎮座しています。
御垣内には立ち入れないため、参道から遥拝します。式年遷宮にあわせて、二十年に一度いっしょに移動します。
皇大神宮(伊勢神宮 内宮)(こうたいじんぐう)
神宮
御垣内の北西に、この神の所管社が鎮座する。
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ミヤビノカミが現代に残した痕跡
ミヤビノカミの名は、雅という語に残りました。
雅(みやび): もとは宮のようであること、宮廷の作法にかなうことを指した語。
猿女君: 宮廷の祭りで舞を担った一族。アメノウズメを祖とする。
御巫祭神八座: 宮中で祀られた八柱。オオミヤノメもその一柱。
ミヤビノカミのご利益
家内安全
正宮の守護神とされることによる。
芸能上達
アメノウズメの別名とする説による。
ミヤビノカミについてよくある質問
ミヤビノカミとはどんな神様ですか。
伊勢神宮内宮の御垣内に鎮座する所管社とその祭神です。正宮の守護神とされ、所管社三十社のうち第三位にあたります。
アメノウズメと同じですか。
オオミヤノメの別名、あるいはサルタヒコの妻であるアメノウズメの別名とされます。どちらも宮に仕える女性の系譜につながる神です。
興玉神とはどんな関係ですか。
同じ石畳の上に祀られますが、興玉神は西向き、宮比神は北向きです。興玉神はサルタヒコの別名とされ、二柱は夫婦の関係で読むこともできます。
ミヤビノカミと併せて覚えたい言葉・用語
天孫降臨(てんそんこうりん)
アマテラスの孫ニニギが高天原から地上へ降りたこと。