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ローマ神話

スムマーヌスとは何の神様か|家系図・物語

Summanus  / スムマーヌス

ローマ固有の神

夜に落ちる雷を司る神。祭日には車輪の形をした菓子を捧げた。

スムマーヌスとは何の神様か

スムマーヌスはひとことで言えば夜の雷の神です。

ローマ人は、雷を落ちた時刻で分けて考えました。ユーピテルが昼の雷、スムマーヌスが夜の雷を受け持ちます。

同じ雷でも、昼と夜で神が違いました。

名を「夕暮れ前の者」の意に取る説がありますが、確かなことはわかっていません。

ピュッロスとの戦いのころ、カピトリウムのユーピテル像の頭に雷が落ち、像が飛ばされる事件が起きました。これをきっかけに、前278年ごろ、キルクス・マクシムスの近くに神殿が建てられたと伝えられます。

祭日は6月20日。この日には車輪の形をした菓子が捧げられました。

そして、この神にはもう一つ大きな特徴があります。

共和政の終わりには、ローマ人自身が名の意味も神格も忘れていました。 アウグスティヌスがそう書き残しています。

スムマーヌスのローマ名・ギリシャ名と読み方

日本語では「スムマーヌス」「スンマーヌス」「スムマヌス」の表記が使われます。ラテン語の綴りをそのまま写すか、発音に寄せるかで揺れています。

名の意味については、「夕暮れ前の者」の意に取る説があります。夜の雷を司ることと合う説明です。

ただし、この説明が正しいという確証はありません。

古代のローマ人自身が、この名の意味を説明できなくなっていました。 アウグスティヌスは、この神の名が人々のあいだでほとんど見つからなくなったと書いています。

わからないことがわかっている、という点がこの神の特徴です。 名の意味も、神殿の位置も、いまだに定まっていません。

一方で、祭日と供え物ははっきり伝わっています。6月20日と、車輪の形をした菓子です。

Summanus(スムマーヌス)

ラテン語の主格。夜に落ちる雷を司る神の名で、属格はスムマーニーとなる。名の意味は確定していない。

Summanalia(スムマーナーリア)

6月20日の祭日に捧げた車輪の形の菓子を指す語。神の名から作られている。

Aedes Summani(アエデス・スムマーニー)

スムマーヌスの神殿を指す語。キルクス・マクシムスの近くにあったと伝えられるが、位置は特定されていない。

スムマーヌスの物語

  1. 昼の雷と夜の雷 ─ 時刻で分けられた神
  2. 飛ばされた像 ─ 神殿が建てられたきっかけ
  3. 車輪の形の菓子 ─ 6月20日の供え物
  4. 忘れられた神 ─ なぜ記録が少ないのか

昼の雷と夜の雷 ─ 時刻で分けられた神

ローマ人は、雷が落ちたとき、それが昼か夜かを区別しました。

昼の雷を送るのはユーピテルです。夜の雷を送るのがスムマーヌスとされました。

一つの現象を、時刻で二つに割ったわけです。

こうした分け方は、ローマの古い祭祀の特徴です。海を沖と岸に分け、雷を昼と夜に分け、それぞれに名を与えます。

雷が落ちた場所は、囲われて触れてはならない土地とされました。そこに神が降りたとみなされたためです。このとき、昼か夜かによって、誰に対して儀式を行うかが変わります。

つまりこの区別は、理屈ではなく手続きの必要から生まれたものでした。

ローマの雷の占いは、エトルリア由来の技術が基礎になっています。エトルリア人は雷を細かく分類し、どの神が送ったかを読み取りました。スムマーヌスの位置づけも、その体系と関わるとみられています。

飛ばされた像 ─ 神殿が建てられたきっかけ

この神の神殿が建てられたきっかけは、一つの事件でした。

ピュッロスとの戦いのころ、カピトリウムの丘で異変が起きます。

ユーピテルの像の頭に雷が落ち、像が飛ばされた。

飛ばされた頭は探されました。神の像が壊されるという出来事は、国家の危機として受け取られます。

占いの結果、前278年ごろ、キルクス・マクシムスの近くに神殿が建てられたと伝えられます。

神殿は、災いへの応答として建てられました。 ローマではよくある形です。異変が起き、占いが行われ、その結果として神殿が建つ。

ただし、この神殿の位置は特定されていません。 キルクス・マクシムスの近くという記述だけが残り、遺構は見つかっていません。

奉献の日が6月20日で、それが祭日になったとみられています。

車輪の形の菓子 ─ 6月20日の供え物

スムマーヌスの祭日は6月20日です。

この日に捧げられたのが、車輪の形をした菓子でした。スムマーナーリアと呼ばれます。

小麦粉で作った、丸く輪の形をした供え物です。

なぜ車輪の形なのかについては、いくつかの説明があります。丸い形が雷を表すという説、天の運行を表すという説などです。

どれも決め手を欠いています。

ローマの祭では、供え物の形そのものが古い記憶を伝えている場合があります。形は残ったが、意味の説明は失われた。 この神ではその落差がとくに大きく出ています。

祭日が夏至に近いことにも注目されてきました。ただし、夜の雷を司る神と夏至を結ぶ確かな説明は伝わっていません。

いま確かなのは、6月20日に、輪の形をした菓子が捧げられていたという事実だけです。

忘れられた神 ─ なぜ記録が少ないのか

この神のいちばんの特徴は、ローマ人自身が忘れてしまったことです。

アウグスティヌスは、こう書き残しました。

夜の雷を送る神として、かつてはユーピテルより厚く祀られていた。しかしユーピテルの神殿が建つと人はそちらへ流れ、この神の名はほとんど見つからなくなった。

共和政の終わりには、名の意味も神格も、ローマ人にとってわからないものになっていました。

理由としては、ユーピテルの祭祀が国家の中心になっていく過程で、似た役目の神が吸収されたことが挙げられます。

役目の重なる神は、片方が残って片方が消えます。

それでも祭日と供え物は暦に書き込まれ、神殿の名も記録に残りました。制度としては続いていたが、意味がわからなくなっていたわけです。

古い神が消えていく過程を、これほどはっきり見せてくれる例は多くありません。

スムマーヌスの家系図と家族

スムマーヌスのきょうだい: ユーピテル昼の雷と夜の雷を分ける

スムマーヌスの性格と人物像

スムマーヌスには、物語も人柄も伝わっていません。

姿を描いた像もほとんど残らず、何をした神かという逸話もありません。

わかっているのは、役目と祭日と供え物だけです。

夜の雷という役目は具体的です。雷が落ちた時刻によって、誰に儀式を行うかが変わる。 その手続きのために、この神は必要でした。

研究上の位置づけとしては、エトルリア由来の雷の占いの体系と、ローマの祭祀の接点として扱われます。エトルリア人は雷を細かく分類したため、その体系との関わりが検討されてきました。

そしてこの神は、忘れられていく古い神の見本として引かれ続けています。 アウグスティヌスの記述があるおかげで、いつごろ忘れられたかまでたどることができるからです。

忘れられた記録が残っている神、と言うのがいちばん正確です。

スムマーヌスを祀った神殿と遺跡

スムマーヌスの神殿は、キルクス・マクシムスの近くにあったと伝えられます。

前278年ごろ、カピトリウムのユーピテル像に雷が落ちた事件をきっかけに建てられたとされます。

ただし、神殿の位置は特定されていません。

古代の記録には「キルクス・マクシムスの近く」という言い方が残るだけで、遺構は見つかっていません。そのため、ここでは住所の欄を空けています。

推測で場所を書くことはできません。 神殿があったことは確かですが、どこにあったかは確かめられていません。

祭日の6月20日は、この神殿の奉献の日にあたるとみられています。

スムマーヌスが現代に残した痕跡

スムマーヌスの名は、忘れられた神の例として引かれ続けています。

暦に残る6月20日: 古代の暦の写しにこの日の祭が書き込まれており、祭祀が続いていたことがわかる。

車輪の形の供え物: 輪の形の菓子という供え物の形が、古い祭祀の記録として語り継がれている。

アウグスティヌスの記述: 神が忘れられていく過程を書き残した数少ない例として、いまも研究で引かれる。

雷の占い: エトルリア由来の雷の分類が、ローマの手続きに取り込まれた例として扱われる。

スムマーヌスが司るもの

夜の雷除け

夜に落ちる雷を司る神として、落雷への備えの儀式で呼ばれた。

災いの祓い

雷が落ちた場所を清める手続きのなかで、時刻に応じて祈られた。

夜の守り

夜という時間そのものに結びついた神として、暗い時刻を司るとされた。

スムマーヌスが登場するゲーム・アニメ

作品でのスムマーヌスは、名前が出てくること自体がまれです。

物語も姿も伝わっていないため、描きようがありません。

逆に、忘れられた神という設定そのものが使われることがあります。

近年の作品では、忘れられたがゆえに力を失った神という筋書きに、この神の名が引かれることがあります。アウグスティヌスの記述が知られているためです。

スムマーヌスが登場するゲーム

神話を扱う対戦型ゲーム

夜の雷を司る神として、名前が登場することがあります。

ローマを扱う歴史戦略ゲーム

古い祭祀の要素として、忘れられた神の名で現れることがあります。

スムマーヌスが登場する絵画・彫刻

雷を投げる神の像

雷を持つ神の図像は数多く残りますが、この神と特定できるものは多くありません。

雷の分類を描いた図

雷の落ちた方角と時刻を読み取る技術が、近世の図版で紹介されています。

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スムマーヌスについてよくある質問

スムマーヌスはどんな神ですか。

夜に落ちる雷を司る神です。ユーピテルが昼の雷を、スムマーヌスが夜の雷を受け持つと考えられました。祭日は6月20日で、車輪の形をした菓子を捧げました。

名前の意味は何ですか。

確かなことはわかっていません。夕暮れ前の者の意に取る説がありますが、確証はありません。共和政の終わりには、ローマ人自身が意味を説明できなくなっていました。

神殿はどこにありましたか。

キルクス・マクシムスの近くと伝えられますが、位置は特定されていません。前278年ごろ、カピトリウムのユーピテル像に雷が落ちた事件をきっかけに建てられたとされます。

なぜ忘れられたのですか。

ユーピテルの祭祀が国家の中心になるにつれ、役目の重なるこの神が吸収されたためとみられます。アウグスティヌスは、人がユーピテルの神殿へ流れて名が見つからなくなったと書いています。

なぜ車輪の形の菓子を捧げたのですか。

はっきりした理由は伝わっていません。丸い形が雷を表すという説や、天の運行を表すという説がありますが、いずれも決め手を欠いています。